最早、ジャン・コクトーの全集は古書肆からしか手に入らない。上梓された全集は、今から半世紀程前の東京創元社版が最後だったと思う。もっとも、主要作品さえ読めればいいというなら今でも文庫に数多ある。なにしろ日本では1920年代から翻訳されているほどの人気者。
日本の翻訳者も錚々たるもので、これだけの陣容であれば彼の墓参りをしたことのあるのはひとりやふたりで済むはずはない。
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フランス、ミィイ=ラ=フォレにあるサン=ブレーズ=レ=サンプル礼拝堂。そこにある彼の墓には、”Je reste avec vous” と刻まれている。
それはもう、この石の階段をのぼった先のこと。