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きみの靴の中の砂

吉田健一とは何者ぞ




 生前、『ユリイカ』のインタヴューで植草甚一が、「孤島へ行くとしたら本は何をもっていきますか」と聞かれ、「そのとき吉田健一全集三十冊が出つくしていたら、それにしようかと思う」と答えている。

 ぼくは、吉田健一のことを普段から決して好きな文士ではないと思いつつ、また言いつつあったが、振り返ってみれば全集は常に身近に揃えてあったし、自分でも以外なことに過去のブログで気合いを入れて五回も触れていた。

 全くの文学の素人にとっては理解し難く、多少、文学をかじった者にとってはツッコミどころ満載の吉田健一である。だから、たまに彼と遊んでみたくなる。その前提として、吉田健一を『日本の作家』だと定義して始めると、確実に迷宮にはまり込むので御用心。荷風、漱石あたりの文学的立場に興味を示す、日本人の顔を持ったドナルド・キーン先生あたりだと思って読み解くなら、その異邦人的違和感は、いくらか緩和されよう。

 ところで冒頭の植草甚一の件であるが、諸事情いろいろ思い合わせてみると、それが決して意外な発言ではないことがあぶり出されてくるのが判ると思う。


 

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