
結構、整理上手のつもりでいるからゴミみたいなものをコレクションすることはないのだが、サイズが栞にするに丁度良かったので、長い間身近に控え置いた映画の入場券の半券がある。
今はコンピュータ発券だから、こんな気の利いた半券はめずらしかろう。ちょっと気になったので検索してみると、どうやら1976年のリバイバル公開時のもののようだ。さぁて、どこの劇場で観たのか。記憶にない。ものによっては、ちゃんと覚えているものもあるのだが...。例えばルイ・マルの『鬼火(Le Feu follet)』は、今はもうない、駒込の三百人劇場だった。
『第三の男』を観た映画館は思い出せないのだけれど、誰と観たかは今でもちゃんと思い出せる。確かめてはないが、その相手本人は、一緒に観たことすら忘れているかもしれない。いや、まあ、そうとしか思えないのだが...。
【Anton Karas / The Third Man】