秋の夕暮れ。 イチ子さんが、庭の無花果の、まだ小さな実を摘まんで間引いていた。 いつもの年のように鳥に悪戯される前に、鳥たちに意地悪でもしようとしているのかと思いながら見ていた。 *** その摘まれた若い実は、一晩中、イチ子さんに砂糖で煮られ、翌日、デザートとなって、ぼく達のささやかな夕餉の食卓にのぼった。 【Harmony Grass / Teach Me How】