(Op.20250312-2 / Studio31, TOKYO)
ぼくが高校生の頃、神田美土代町交差点の北東の角に尾張屋という『きしめん』専門店があった。売り切れると時間に関わらず早仕舞いするので、あまり悠長に構えて出かけて行くわけにはいかない。
出汁は結構濃い(江戸でいう信州系の)辛汁で —— 神田周辺の老舗蕎麦屋の出汁作りの流儀を踏襲したものとばかり思い込んでいたが —— いつだったか、名古屋に行った折り、あの『きしめん屋の味』を思い出しながら本場ものと食べ比べてみた。すると、本場も立派な辛汁で驚いた。
どちらかと言うと江戸の別流派である甘汁が好きなぼくは、永年の疑問は解けたものの、ちょっぴり寂しい思いがした。
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美土代町の交差点を挟んだお茶の水寄りに、当時、マーチン・ギターの代理店だったカワセ楽器(1970年頃に東京界隈でマーチン・ギターを弾いていた人のほとんどが、ギターをここから供給された)があって、土曜の午後など歩いていると、小室等、岩沢幸矢・二弓、山本コータローなどをよく見かけた。