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きみの靴の中の砂

『どうやら羊程度に飽きっぽい』ということはなさそうだが...





 小さい頃から飽きっぽい性格が災いして、これといって長続きしたものは多くない。
 いつだったか、近所の植木好きの年寄りの真似をして始めた庭木の刈り込みも二時間ほどで飽きて、ツゲの木を丸く刈らずに、いびつなまま放置したとして近所のヒンシュクを買った時など、世の中によくいる、三日坊主と呼ばれる人達の何と悠長なことよと羨ましく思ったほどだった。

 ところで、男女の仲も飽きっぽい者同士の組み合わせとなると、たった一回お茶しただけで終わることもあるらしい。それなら、わざわざ会うこともなかろうにとも思うのだが、そのあたりは、彼等なりに二人きりで話してみないと分からないことが多少はあるのかも知れない。
 一方、両者とも情が深いとどういう顛末になるかは、生憎周りにそのような奇特なサンプルがないから分からない。

 ある動物学者の仮説に『羊のペアの恋愛感情が、もっとも人のそれに近い』というのがあって、男女の恋愛の揉め事は、すべて羊を使った実験で検証できるらしい ----- この学説の怪いところは、だったら手っ取り早く人間のペアで実験すれば良いものを、なんでわざわざ羊を使うのかというところだ。
 学者によると、首尾よくつがいになった羊も、三年経つ頃から雄の方が浮気を始めるらしい。そこが人間の恋愛感情に似ているから、その他の検証もすべて羊で行おうというのが理論の底辺にあるのだという。

 いずれにせよ、しばらく一緒に過ごすうちに自分が『どうやら羊程度に飽きっぽい』と気付く男は良くいるらしく、万が一、正式に結婚した後にそれに気付こうものなら、その後に長く辛い人生が待っているというのも年長者から良く聞かされる話のひとつではある。

 さて、自分のことを白状するなら、かつて近所でヒンシュクを買ったツゲの木のことを除けば、『どうやら羊程度に飽きっぽい』ということはなさそうだが...。もっとも、自己申告だからあてにならない場合もある。




【Rick Mathews / Movin' On Up】


 

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