さて、２０１２年のブログエントリーもおそらく最後。
２０１１年１２月から２０１２年１１月にリリースされた作品の総括もこれで終了です。
去年も一昨年も感じていたコトですが、今年は一段と強く感じられたのが、アイドルポップの進化でした。
昔の歌謡曲が担ってきた、イイ意味でのごった煮感を今に受け継ぐ、美味しいトコ取りなポップミュージック。それがアイドルの真骨頂だと思います。
まず、念願の紅白初出場を果たした“ももいろクローバーＺ”
昨年末にクリスマスライヴ会場とレーベルサイトの通販だけでリリースした「白い風」を皮切りに、「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」「Ｚ女戦争」「サラバ、愛しき悲しみたちよ」という３枚のシングルをリリース。レーベルサイトで『ももクロ★オールスターズ2012』というミニアルバムも出ました。
アイドルの王道で、尚且つ力強いミドルチューン「白い風」
前山田健一の遊び心とマーティ・フリードマンのギターが一体となった「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
やくしまるえつこらしいフックが随所に現れる大作「Ｚ女戦争」
個人的には、布袋寅泰最大のアタリ曲(笑)「サラバ、愛しき悲しみたちよ」
といったシングルＡサイドだけでなく、「サラバ～」のカップリング「黒い週末」の様にＡサイドを凌駕する名曲があったりするのも頼もしい限り。
ちなみに「黒い週末」、へヴィメタ・ハードロック好きには堪らないです。インスト聴いてたら、アイドルの曲だと思わない。人間椅子の和嶋氏のギターソロも素晴らしい。
ミニアルバムの曲では、玉井詩織のソロ「涙目のアリス」と有安杏果の「教育」が白眉。
林哲司渾身の８０年代アイドル＆シティポップテイストナンバー「涙目のアリス」は、オフコース的イントロからライトメロウ全開。
在日ファンクが手掛けた「教育」は、ＪＢマナーバリバリの極上ファンクチューン。杏果のクセの強いヴォーカルが実にカッコいい。
そろそろフルアルバムを期待したいところです。
続いて、先日武道館ライヴを終えた“東京女子流”
常に質の高いアレンジで、グルーヴィな楽曲をリリースし続ける彼女たちも、今年のアイドルポップを盛り上げた一角。
中２～高１というティーンエイジャーに、これだけ高度な楽曲を与え続けるスタッフの戦略と、それに応えるべく成長を続けるアイドル。ピークがどこにあるのか・・・・・・
アイドルを楽しむファクターの一つである、成長過程を楽しむコトができるのが魅力なんでしょうね。
カッコ良く、クールでエッジィな松井氏のアレンジだけでなく、長岡成貢楽曲の様なモノも増やしていってもらえると嬉しい。
今年いっぱいでの散開を決めた“Tomato n'Pine”
実に残念です。アゲハスプリングスという音楽制作集団のプロデュースが、彼女たちの良い意味での色の無いヴォーカルに実にマッチしていた。楽曲クオリティのアヴェレージで言えば、おそらく２１世紀史上でも屈指のアイドルだったと思います。
しかし、彼女たちは今年、最高のアルバムを残してくれました。『PS4U(ポップソングフォーユー)』というこの作品には、煌めく様なアイドルポップの名作が詰まっています。今年のみならず、２０１０年代を代表する１枚になると思うくらい。
上記の３グループには、コンセプチュアルな姿勢や、成長を楽しませるクオリティの高い楽曲、プロデュースワークの妙、そういった要素が垣間見えます。
そのアイドルポップの要諦を全て兼ね備えた先駆が、男性アイドルを牽引する彼ら。
そう、嵐です。
優れた楽曲と成長を続けるパフォーマンス。曲順やアレンジのディテールにまで神経の行き届いたプロデュース。
今年リリースされたシングルの中には、正直好みではない楽曲もありました(苦笑)
しかし、そんな中にもカップリングに名曲を忍ばせるスタッフ(笑)
そのイマイチだと思った曲でさえ流れで聴かせてしまう様に作られたアルバム。
正直、アルバム『Popcorn』がこんなにも素晴らしいモノになるとは正直驚いた。
もはや、アイドルというよりポップスターと言った方が良いかもしれません。
アイドルという限定されたカテゴリではなく、全てのJ－POPの中でも『Popcorn』は輝きを放つ一作として、今年を代表するアルバムと言っていいでしょう。
欲を言えば、彼らにもっと音楽と深く携わる仕事をしてもらいたいとも思うのです。
自分たちが、更に音楽を掘り下げる様な。
そして、もっともっと色々な優れたクリエイターやアレンジャー、プレイヤーと関わるコトを望みます。
これからの嵐をもっと高みに登らせる為にも。
今年も、数々の音楽と出会えた１年でした。
来年は、もっと沢山のグルーヴチューンを楽しめるとイイな。
そんな風に願っています。
