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芭蕉と近江商人 (哲野イサク)
2009-02-19 02:01:54
 随分おひさしぶりです。

今日はコメントでなく、質問です。確か勝海舟は日清戦争に批判的だったな、とおもって「氷川清話」(松浦玲・江藤淳 編 講談社学術文庫)で探していたら、つい脱線してしまって。P153からP154に「塚本定次」という人のことを褒めてあります。塚本は、どうも江戸時代から続く豪商で、時々海舟とおしゃべりを楽しんでいたようです。海舟が塚本を褒めるには、植林とか教育とか息の長い地味な仕事にお金を出して、地元の長期的発展を考え、実行したからのようです。

 この塚本が海舟に芭蕉についての解説をしたようなのです。関係箇所を引用すると、

 「おれのために、芭蕉翁に就いてよい解釈を与えてくれたのもやはりこの男だ。全体おれは平生から芭蕉という人はどうしても尋常のものではない、その余徳が深く人間(じんかん)に入って居ることは、ただ発句の高妙なるゆえのみではあるまい、きっとほかに何かそのわけがあるだろうと思って居ったところが、この塚本という男の言ふには、いはゆる近江商人なるももは、実にその芭蕉の教導訓示によりて出来たものだそうな。この事を聞いて、おれは積年の疑団が、ここに初めて氷解して、大いに釈然とした。」

 ところが私は全然釈然としない、有り体にいえばなのことだかわからない・・・。

 この項目の注に、恐らく松浦玲の文章だと思いますが、「その塚本が説明した松尾芭蕉と近江商人との関係は、なかなか興味深い。」といれてあります。

 ますます私にはわからない・・・。

ここの解釈をして戴くと、頭の中の小さな黒雲が払われて、さっぱりすると思い立ち、質問に及んだ次第です。
 
 
 
近江商人と芭蕉 (冬月)
2009-02-19 10:33:13
■哲野さんの疑問は、芭蕉の思想と近江商人の経済倫理の関係だと思うのですが、今、すぐにお答えできるほど、単純なお話ではない様に思いますので、じゃっかん、お時間をください。このテーマは、「経済倫理と思想・理念・イデオロギー」という形でくくれると思います。いくつかアプローチがありえると思うのですが、

1.芭蕉の直接の弟子に近江商人がいたかどうか
これを調べると、弟子が媒介となって、芭蕉の生き方や倫理が近江商人のグループに浸透していった可能性がでてくるかもしれません。まだ、調べつくしていませんが、芭蕉の近江の弟子は、武士階級や僧侶、医者が多かった印象があります。

2.近江商人の間で俳諧の流行があったかどうか たぶん、あったように思いますが、これがあると、当然、近江に縁のある芭蕉の影響がでてきますね。直接の弟子ではなくても影響力はあったでしょうから。

3.近江商人の経済倫理で今まで議論されてきたのは、浄土真宗との関わりです。マックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の影響下に、内藤莞爾が書いた論文(70年代、75年くらい?)がたぶん最初ですね。芭蕉の弟子にも、浄土真宗系の時宗の僧侶がいた気配がありますので、近江商人との関わり方は、複雑で重層的になってきます。

なかなか興味深い問題で、近江商人の経済倫理は、今の儲け主義とは違った理念と実践が一体の原初的な資本主義のありようを感じさせます。

 
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