goo blog サービス終了のお知らせ 

Better to act than worry! (案ずるより産むが易し)

定年退職後ゴアにやってきました。これも天の配剤と心得て異文化生活を体感中。

世界遺産の旅④「フマユーン廟」

2025-03-03 03:37:03 | 世界遺産の旅

 デリー出張中、3~4時間思いがけず時間が空いたので、この機を利用して世界遺産見学をすることにしました。できれば、オート(リキシャ)かタクシーを使って3カ所の世界遺産をまとめて見て回ろうという算段でした。

 道路に出て、早速Uberでオートを呼び出しました。料金は70ルピー(約120円)と表示が出ています。タクシーやオートの料金が異常に高いゴアではあり得ない値段です。早速オーダーすると数分でオートはやってきました。

 行き先は既に伝えてあるので、私は黙ってオートに乗り込み、ゆったりとデリーの風景とそよ風を楽しみました。そして、20~30分後、どうやらフマユーン廟に着いたようです。私はいつものようにUPIで支払い、「バイバーイ」と手を振って降りたのですが、オートのドライバーはなぜか携帯に釘付けになっています。私が遠ざかろうすると、後ろから何やらドライバーが叫んでいます。たまたま近くにいた人が、「フマユーンの入り口を間違えたらしい。タダにするから乗れって言ってますよ」と通訳してくれました。私がよくわからないまま急いでもう一度オートに乗りこむと、数分後反対側の場所にあった門に着き、そこで降ろしてくれました。そして、今度は黙って笑顔で去って行きました。律儀なドライバーさんでしたね。

(チケット売り場。左が外国人用)

 私はチケット売り場に直行しました。インドの観光地ではどこも外国人とインド人は入場料金が違うのです。フマユーン廟では、インド人は40ルピー、外国人は600ルピー(約1000円)でした。私は外国人窓口に並び、俗にいう「ピンクカード」を差し出しました。このカードはインド財務省から発行されたピンク色の身分証明書で、これをインドの公共施設で見せれば料金がタダになると言われています。けれど、このカード自体を知らない職員が多く、私はこれまでこれを見せてフリーパスで入れたことはありません。今回もダメもとでピンクカードを見せると、料金係は目を皿のようにしてカードの裏表に書かれている内容を読んでいましたが、最後に納得できたのか「オーケー」といってただで通してくれました。さすがデリーの職員さんですね。

(八角形のイサ・カーン廟。私のお気に入りです)

 敷地の中に入って、まず右手に見えたのが八角形の形をした美しいイサ・カーン廟です。イサ・カーン廟には、棺が置かれている講堂の周囲を巡るように回廊が作られています。その回廊も同じ8角形となっており、それぞれ8方向に向かって3つのアーチ型の開口部があります。回廊の天井部分もアーチ型になっているのが目を引きます。そして、柱にはそれぞれ細かな彫刻が施されているのがすばらしく、イスラム建築の見事さにたちまち圧倒されてしまいました。そのため、肝心のフマユーン廟に辿り着く前に、このイサ・カーン廟でかなり時間を費やしてしまいました。

(すばらしい天井)

 その後、お目当てのフマユーン廟に急いで行きました。ここは、16世紀ムガル帝国第2代皇帝フマユーンのお墓です。49歳で階段から転げ落ちて亡くなった皇帝を偲び、ペルシャ出身の妃がペルシャから建築家を招き、9年の歳月をかけ完成したものです。イスラム様式とインド様式が融合した独特のスタイルを持つ豪華な建物です。前後左右どこから見ても同じ形を見せるフマユーン廟の美しい建築は、100年後のタージ・マハルの建築様式にも影響を与えたといわれています。フマユーン廟はかなり大きく、地面からの高さ47m、幅91mもあります。ここにはフマユーンをはじめ、親族など150人が埋葬されているそうです。言ってみれば、一族が眠るお墓なのですね。

 (赤と白の豪華なフマユーン廟)

(豪華で絵になるフマユーン廟)

 この廟は、赤と白で作られているのが印象的です。赤は赤砂岩で権力を、白は大理石で清浄さを表すものとして、ムガル帝国時代のインド建築では権力者に好まれた素材だそうです。タージマハールの真っ白な大理石の建物とかなり雰囲気が違いますね。

(多くの棺)

(観光地では必ずインドの子どもたちの集団と出会います)

 独立直後もパキスタンとの間でかなり悲惨な緊張状況を経験しているインドですが、それでもデリー市内にあるイスラーム遺跡に手を付けませんでした。立派だと褒めたい気持ちですが、よく考えると、もし手を付け、間違って破壊行為でもしたら、インドは、それこそ世界中のムスリムを敵に回すことになり、独立の美酒に酔いしれるどころではなくなったことでしょう。インドがカシミール紛争で決して譲歩しない大きな理由は、もし、カシミールでパキスタンに譲歩したら、インド国内のイスラーム勢力にも独立の動きを勢いづけてしまうからだと聞いたことがあります。イスラーム問題はずっとインド国内にくすぶり続けているのですね。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 絶賛インド史にわか勉強中!... | トップ | 世界遺産の旅⑤「クトゥブ・ミ... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kazukomtng)
2025-03-03 06:58:51
此処で楽しませて貰い、教えても貰って感謝しています。
なんとなく、トルコを思い出す建物でした。
棺、ちょっと怖いなあ。
そして、インドについて、そうだったのか、と。
返信する
Unknown (カズコ)
2025-03-04 01:35:26
kazukomtngさま
こんにちは。
フマユーンの本物の棺は地下に安置されています。今でもイスラームは必ず土葬ですね。死後蘇る時、体がないと困るからだそうです。このイスラームの土葬問題は日本各地で大きな問題になりつつありますね。反対する日本人が多いそうです。埋葬の仕方一つとっても文化が違うと大きな軋轢を生じさせますから、異文化共存は本当に難しいですね。
返信する
Unknown (Taka)
2025-03-04 16:59:09
ピンクカード、私も使っています。どこへ行っても、説明して認めてもらわないと使えません。ところで、このカードを提示するとインド人料金になるんじゃなかったですか。無料ですか?
返信する
Unknown (カズコ)
2025-03-04 18:02:43
Takaさん
そうですよね。本来インド人料金なんだと思います。でも、今回私は100ルピーを出したのですが、チケット売り場の人が100ルピーとピンクカードを私に返してくれたのでタダになるんだと思ったのです。何しろ、初めての経験なのでよくわかりません。すんなりとはいきませんね。
返信する

コメントを投稿