歌集冬麗

還暦をすぎてから日常の細事を日記のように詠み続けてきました

1-7 桔梗

2012年11月14日 | 第1章 赤穂の塩

 桔梗(きちこう)のあすは咲(ひら)かむちから秘めふくらみにけり色ふかめつつ




 陽にぬくむ蒲団に秋の蝶のゐて取り入るる手のしばしなづみぬ




 花終へしあぢさゐの下のあかまんま雨をふふみて紅鮮(こうあざ)らけし




 けさ切りし小菊に付きてきしならむ流しの隅のさみどりの蜘蛛




 陽に向かず傾(かし)ぎしままに畑(はた)に佇(た)つ野分(のわき)のあとのひまわりの花




 おほかたは葉を落としたる山法師のむかうに白く丸き月あり




 月明(げつめい)に湧きて溜まるやへちま水漉(こ)せばほのかに草の香のする




 夜(よ)を啼かぬ籠の鈴虫灯に見れば髭はそよろと動きてをりぬ




 美術館は蒼(あお)ぎる空の中にあり手を合はせたき半月浮けり