今年はモンテヴェルディの生誕450年記念の年にあたります。
各所で彼の作品が演奏されるようで大変にぎやかですね。
コレギウム・ヨハネスでもモンテヴェルディの作品にあこがれるメンバーは多く、
マドリガーレのにぎやかさを愉しみ、ウリッセやオルフェオのドラマにドキドキしております。
が、さすがに演奏のできるものとなると限られるため、昨年くらいからいろいろ考えておりました。
さて、表題の演目ですが、モンテヴェルディの作曲によるミサ曲のうちの一つで、
あの大作「聖母マリアのための晩祷」と同じく1610年に出版されたミサ曲です。
ゴンベール (Gombert Nicolas 1495-1560)の同名モテットの旋律を主題にした6声の作品で、
同時に収録されている「聖母マリアのための晩祷」とともに、時の教皇パウルス5世に献呈される
予定だったといわれています。
献呈の理由は幾つか伝えられています。当時職場を変えるための就職運動の一環であるとか、
息子を良い音楽教育を受けさせるための嘆願運動の一環であるとか…。
なかなか実感のこもった理由が伝えられていますが、これらはうまくいかなかったことが
わかっています。ただ、出版はベネツィアで行われ、作品は無事に日の目を見ました。
作品は同時に出版された「聖母マリアのための晩祷」と比べてあらゆる点で相反しています。
なにしろオブリガート楽器がない。通奏低音は付されていますが、和声の充実としての機能よりは
時代の要請で付託されたもので、いわゆる「古い様式」、あるいは「第1作法」と当時分類された
様式で作曲されています。
もちろん「聖母マリアのための晩祷」は当時新式の様式とされた「第2作法」と呼ばれる
作曲様式で作られているのは、多くの場で指摘されているところです。
ただ、楽譜を読んでおりますと、「第1作法」と呼ばれる技法ではあるものの、パレストリーナや
オリジナルのゴンベールの作品では見られないであろう和声の進行や、歌詞のリズム感が
見いだせるような気がしてなりません。
2つの様式を高度な芸術性をもって作曲できることが、過渡期にあらわれた天才のなせる業と
思いますが、モンテヴェルディの才は、時代の要請に従い、伝統的な様式を生かすことに
あったのではないでしょうか。
伝統を否定せず、その豊かさを取り込んで時代の要請にも答えるというのは、
なかなかできることではないですね。
各所で彼の作品が演奏されるようで大変にぎやかですね。
コレギウム・ヨハネスでもモンテヴェルディの作品にあこがれるメンバーは多く、
マドリガーレのにぎやかさを愉しみ、ウリッセやオルフェオのドラマにドキドキしております。
が、さすがに演奏のできるものとなると限られるため、昨年くらいからいろいろ考えておりました。
さて、表題の演目ですが、モンテヴェルディの作曲によるミサ曲のうちの一つで、
あの大作「聖母マリアのための晩祷」と同じく1610年に出版されたミサ曲です。
ゴンベール (Gombert Nicolas 1495-1560)の同名モテットの旋律を主題にした6声の作品で、
同時に収録されている「聖母マリアのための晩祷」とともに、時の教皇パウルス5世に献呈される
予定だったといわれています。
献呈の理由は幾つか伝えられています。当時職場を変えるための就職運動の一環であるとか、
息子を良い音楽教育を受けさせるための嘆願運動の一環であるとか…。
なかなか実感のこもった理由が伝えられていますが、これらはうまくいかなかったことが
わかっています。ただ、出版はベネツィアで行われ、作品は無事に日の目を見ました。
作品は同時に出版された「聖母マリアのための晩祷」と比べてあらゆる点で相反しています。
なにしろオブリガート楽器がない。通奏低音は付されていますが、和声の充実としての機能よりは
時代の要請で付託されたもので、いわゆる「古い様式」、あるいは「第1作法」と当時分類された
様式で作曲されています。
もちろん「聖母マリアのための晩祷」は当時新式の様式とされた「第2作法」と呼ばれる
作曲様式で作られているのは、多くの場で指摘されているところです。
ただ、楽譜を読んでおりますと、「第1作法」と呼ばれる技法ではあるものの、パレストリーナや
オリジナルのゴンベールの作品では見られないであろう和声の進行や、歌詞のリズム感が
見いだせるような気がしてなりません。
2つの様式を高度な芸術性をもって作曲できることが、過渡期にあらわれた天才のなせる業と
思いますが、モンテヴェルディの才は、時代の要請に従い、伝統的な様式を生かすことに
あったのではないでしょうか。
伝統を否定せず、その豊かさを取り込んで時代の要請にも答えるというのは、
なかなかできることではないですね。