いわな備忘録

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高橋選手・ニコライ氏の再結成を、ニコライ氏著書「キス・アンド・クライ」の文面を加味して考える。その3

2012-06-17 23:30:43 | フィギュアスケート全般
「その2」で紹介した文章の続きです。


↓【以下ネタバレ注意】↓ 以下、ニコライ・モロゾフ著「キス・アンド・クライ」の内容に関するネタバレが含まれています。宜しくお願い致します。


P122~ 抜粋


大輔との別れ


 大輔は報道陣に「ずっと頭で考えすぎていた。一つひとつ跳ぶ前にも考えすぎたし、ジャンプを跳びすぎたのも考えすぎたから」と言った。たしかに彼は考えすぎていた。百パーセントの自信がなかったからだ。考えすぎるとタイミングをはずしてしまう。普段は筋肉が覚えているので練習どおりにできるが、考えすぎると、体のあらゆるバランスが気になり始めて、失敗が増える。
 私はとても悲しかった。あれほど練習して、世界選手権で優勝が狙えるレベルまで仕上がっていたからだ。
 だが、私は悪い予測を招いた事態を何も変えることができなかった。勝てなければ、それは私の責任だ。私は状況をひっくり返せる立場にいたからだ。
 しかし、少し経つと私は、それは大輔と一緒に仕事をした人たちの責任もあるのではないかと感じた。だから、その人たちの顔を見るのが待ち遠しかった。1年頑張ってきたにもかかわらず、どうしてそんな問題を引き起こしたのか問いただしたかったからだ。
 実は四大陸選手権のあと、すでにエージェントとの間で意思疎通が取れていなかった私は、大輔と話し、
「君と一緒に仕事をしたくなかった。でも問題は君の落ち度ではない。他の人たちの責任だ」
 と言った。
 また、大輔と長光歌子コーチと契約を更新するかどうかについて話し合ったときも、私はこのエージェントと仕事はしたくないと言った。このエージェントがいる状況では、大輔の拘束時間をコーチである私がそうすることもできない。すると大輔は、このエージェントと仕事をすることはいいことだが、むしろ私とやりたいと言ってくれたのだ。
 私は嬉しくなった。以前のように心がつながったように思った。
 しかし、契約の状況について歌子にメールを送っても、返事は世界選手権前には何も決めたくないということだった。
 フィギュアスケートの世界では、お互いに悪意はなくとも、このように人間関係がこじれて問題が起こることがある。それは選手に影響する。選手が有名になればなるほど、いろいろなことが起こるものだ。選手は、エージェントにとってビジネスの手段になってくるし、選手自身も練習のための費用を稼がなければならない。練習なのか、金儲けなのか、そのバランスを見極め、軸足がぶれていはいけない。一つのチームが最後まで強く結束を保っていなければ絶対にいけないのだ。しかしエージェントと私はどうしても意見が合わず、時間が経てば経つほど溝が深まっていくようだった。
 選手の立ち位置を決め、チームの結束を強めるのはコーチである私の仕事であり、次に何をすべきか決めなければならない。実はこのとき、織田信成についても決めなければならなかった。
 信成と彼のエージェントと母親とは、世界選手権の前に東京で会った。信成を引き受けることについて話し合ったのだ。私は大輔という人間が好きで、それまでもっとも長く一緒に仕事をしてきた。信成に教えるなら大輔は私についてきてはくれないだろう。だから決めるのは苦しかった。しかし、大輔の周辺からは、世界選手権が終わるまで、ついに返事をもらうことができなかった。
 織田家との話し合いで、エージェントとどう折り合っていくかということについて、彼らは私の主張を百パーセント理解してくれた。だから私は信成の依頼を受け入れることを決めた。
 世界選手権のあと、私は大輔に、信成を引き受けたこと、彼がもうすぐトレーニング場のハッケンサックに来ることを言わねばならなかった。大輔はもう私とは一緒に練習したくないと言うだろうと思っていたが、案の定2カ月後、まさにそう言われた。
「僕は、同じ日本のライバルが同じコーチというのはちょっとキツイ」
 別れは電話だった。
 私たちは長い時間、一緒にフィギュアスケートという仕事に取り組むことを通じて、お互いに多くのことを学んだと思う。私は大輔を立派なスケート選手に成長させたと思うし、何より彼は私をコーチとして育ててくれた。彼と一緒に仕事をした期間のことを私はいつまでおずっと感謝の気持ちで思い起こすだろう。
 大輔はその電話の一週間後、報道陣に私と別れたことを報告した。「モロゾフは自分に自信を与えてくれた。感謝している」と言ってくれた。彼と過ごした3年間に、私こそ感謝していると、そう伝えたい。
 



・・・・長々と「キス・アンド・クライ」の文面を引用して、とりあえず、まず、何を伝えたかったというと、


かつて、高橋選手とニコライ氏がコンビ解消してしまったことを、例えば報道で言われているように、「ケンカ別れ」だのと簡単に結論づけたり、

たまにネット内で見かけるように、「織田選手がニコライ氏を奪っていった」だの「織田選手の横入りしたせいで・・・」だの、簡単に織田選手のせいにしてほしくなかったというのがあります。


・・・・・まあ、それこそ今更なんだけどね、苦笑。



まあ、この「キス・アンド・クライ」の文面を加味して考えたら考えたで、それはまたいろんな推察ができるかと思います。

高橋選手とニコライ氏の二人は、「ケンカ」、なんて、してなかったし、いつの間にか、「ケンカ」すらできない状態だったんじゃないかなと、個人的には推察しています。

かなしい。
かなしい別れ方、ですよね。
なんでこうなっちゃったんだろうってお互い感じていたのではないでしょうか。


高橋選手自身がどう感じているのかはともかくとして、

ニコライ氏としては、時間が経てば経つほど「もっとこうしてれば良かったんじゃないか」的な後悔の念は、強くなっていったというのがあると思いますよ。
今まで指導した男子シングルスケーターの中で高橋選手は、ニコライ氏にとっては、やはり一番。心底ほれ込んだ選手なんです。織田選手でもアモディオ選手でもないんですよ。
まったく、ニコライ、余計なこと言いやがって・・・・って感じですが、そんなニコライの気持ちは、織田選手やアモディオ選手も当然気付いていたんじゃないかな。まあ、レオノア選手を尻目に「ミキが一番」とかも普通に言いそうだからね。ある意味彼の平常運転発言ですな。

・・・・話がややそれて失礼・・・

んー、でも、どうなんでしょう。今、高橋選手には歌子コーチはもちろん、いろんな人たちが関わっていますよね。
高橋選手も、人に、恵まれているイメージがあるのですが、ニコライ氏、必要・・・ですかね?
当人同士はいいとしても、高橋選手の周囲との折り合いを今度はどうつけていくのでしょう?
コーチというよりも、アドバイザー的な一歩引いた立場になるのでしょうか?
吉とでるか、爆弾になるかは、わからないですよね。



高橋選手とニコライ氏が再度タッグを組むこと、そしてニコライ氏の発言に、織田選手がどう思ったかは、わからない、ですね。
なぜかというと、ニコライ氏と織田選手がどうしてコンビ解消したか、どちらからも明確には語られていないから・・・。
でも多分、そんなに影響はないと思っています。


織田選手が、2008年5月、謹慎明けにファンに向けて発したメッセージのリンクを貼ります。

関西大学HPより

↓以下一部抜粋↓


次は、ご存知だと思われますが、今年からコーチがニコライ・モロゾフコーチに変わりました。
モロゾフコーチやカナダのコーチであったリー・バーケルコーチと相談した結果、
自分で決めた決断です。
コーチのリー・バーケルは「君に何が起きても、ここに帰る場所があるから。」と、
優しい言葉をかけて頂き、自分がこのコーチの元で4年間練習を積むことができた事、
そしてこの人と出会えた事を、心から幸せに思いました。
モロゾフコーチは大学で一年先輩の高橋選手のコーチであり、
自分がその二人の間に入り、素晴らしい師弟関係を壊してしまった事を本当に後悔しています。
高橋選手は、僕が謹慎中だったにも関わらず優しくいつも通り接してくれて、
それを恩を仇で返すような結果になってしまい、高橋選手を傷つけてしまった事、
本当に本当に、申し訳ないです。
自分の決めた道にしっかりと自覚と責任を持って、練習に励んでいきたいです。
そして、いつか高橋選手にライバルと呼んでもらえるような選手になりたいです。

大ちゃん、これからも後輩として、スケーターとして、よろしくお願いします。




この文面も、正直釈然としないんですよ。

織田選手は、汚れ役を引き受けたのではないかとすら感じてしまうのは、ファンの欲目かもしれませんが・・・。





長くなったのでこのへんで。
織田選手ファンのモヤモヤがちょっと解消すればいいなあと思います。
いや、むしろ増やしてしまったか?
すんません。






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2 コメント

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辛いです (あいち)
2012-06-18 22:28:34
キスアンドクライ・・・私は読んだ事が無かったのですが、高橋君との絆というか深い愛情・・・本当はずっと手放したくなかったんだという気持ちが見え隠れしていたような気がします。

その気持ちを抱えながらここまできたけど、やっぱり高橋君への思いを捨てられず、このような結果になったんだなと思います。

でも私は織田君のファンなので、彼が、チーム高橋に加わった元コーチのことをどう思っているのか、そればかりが気になっていました。

高橋君に申し訳なかったと謝っていたが、もしそれを織田君が聞いたら・・・

モロゾフ氏の高橋君を思う気持ちから出た言葉だとはわかっているけれど・・・

未だに4年前に織田君が高橋君のコーチを奪ったとか、中にはあの大けがまでも織田君のせいにするようなコメントまで見かけます。

でも彼は自分がコーチを奪ったんだということをずっと背負いながら、だからこそ自分の決めた道を信じて、コーチを信じて真っすぐに突き進んでいたであろう事を思うと、

今回の事は何だかとっても辛いです。

でも高橋君があの頃よりもずっと大人になっているように、織田君だっていろいろ経験してずっと大人になっているので、きっと大丈夫だろうと・・・そう信じています。
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Unknown (いわな)
2012-06-19 20:06:51
あいちさん、いつもコメントありがとうございます。
なんかね、「高橋選手とニコライ氏が決別したのは、ニコライ氏が織田選手のコーチをすることになったから」っていうふうに、普通に認知されているのが一番耐えがたいんですよ。
すでに関係は破綻していたのに。
でもそういうふうに普通に認知されている原因は、高橋選手が「ニコライが織田選手のコーチをすることを受け入れられなかった」って発言しているからだと思うんですね。

なんとういか・・・考えれば考えるほど、いろいろと、憤ってしまうわけですよ・・・

またまとまりのない記事を書くかもしれません・・・
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