THE BEST OF ME

好きな音楽について書き綴ります。

LE CASSE

2007-12-02 | BELMONDO
今回ご紹介するのはジャン・ポール・ベルモンドの1970年主演作品
『華麗なる大泥棒』のサントラ盤です。

この2枚組みCDの中にはこの作品の他に
『プロフェッショナル』と『パリ警視J』の音楽も収録されており、
正確にはエンニオ・モリコーネが担当したベルモンド主演映画作品集です。

『華麗なる大泥棒』はベルモンドの他にオマー・シャリフ、ロベール・オッセン
ダイアン・キャノン、レナート・サルバトーリ、ニコール・カルファンらが共演し
監督のアンリ・ヴェルヌイユとベルモンドとは『ダンケルク』以来7年ぶりの顔合わせとなった作品です。

ロケはギリシャのアテネ他で行われ、レミ・ジュリアン率いるカー・スタント・チームによる
見事なカー・チェイス・シーンは本作の見所のひとつです。
ベルモンドは本作で初めてカー・スタントを経験し、
レミ・ジュリアンもベルモンドのスタントマンとしての素質を
1983年の"Tele Poche"誌のインタビューの中で評価しています。

また13分にも及ぶアテネ市街でのバスにしがみつきながらのチェイス・シーンは
今や“古典的”と言えるほど評価の高いものですが、
このシーンについてベルモンドは当時を振り返って笑いながらこう答えています。
“あのシーンではバスから停車中の車の屋根へ飛んでいったんだが、
中には撮影であることを知らされていない車の上も飛んだんだよ。”

私がいつ観ても驚愕させられるのは、
身を潜めて逃亡に成功したダンプカーの上から、そこに積んであった土砂ごと
ベルモンド自身が吹替えなしで数10メートル下まで落下していくのを
上と横、そして下からの3台のキャメラが同時にとらえたスタント・シーンです。
CG全盛の現代では考えられない映像です。

エンニオ・モリコーネの音楽は映画の雰囲気にぴったりの明るいラウンジ・ミュージックで
モリコーネ18番の「いつまでも終わってほしくないメロディー」が鳴り響きます。
バラード・ナンバーの“愛のテーマ”もギリシャの美しい風景にマッチした名曲です。

もう1曲私が注目するのが“The Daughter to the Edge”というナンバーで、
これは関西人なら誰もが耳にする「吉本新喜劇」のオープニング曲に見事にそっくりで、
どちらかがコピーしたのではないかと勘ぐってしまいました(笑)