ニューバランスの“ビンテージシリーズ”「574」を買った。
なかば衝動買いに近いかんじで購入したため、
一応、オフィシャルサイトで「574」を調べてみた。
サイトでは、
「衝撃吸収性に優れたEVA素材を頑丈なPU素材に封入した構造。
ハイレベルの安定性とクッション性を実現。」とあった。
なんか良さげではある。
でも冷静に考えると
・EVAをPUに封入すると、どう良いのか。
・そもそもEVAやPU素材とはどんなものなのか。
・ハイレベルの安定性とクッション性とは、何と比べたものなのか。
など、疑問もうかぶ。
我ら小市民は、このような意味の分からない単語や言い回しを連発されると、
通常なら「怪しい」と思うものである。
が、しかし、大企業がこれらを使うと『最先端』に聞こえてしまう。
そして意味も理解出来ないまま「最先端=すごく良いもの」と解釈してしまうのだ...。
(本当にそうなのかもしれないが...)
そう、「売り言葉」ひとつが商品価値を左右するのである。
商売とは奥が深い...。
そして「売り言葉」といえば、その「574」を買ったお店でのやりとりを思い出す。
店内に入り、ナイキコーナーを少し見てニューバランスのコーナーへ。
ポップに「残り26cm・29cmのみ!!」と書かれた棚から「574」を手に取り眺めていると、
「最近、ニューバランスはとても人気があるので、
売り切れると、いつ入荷されるかわからないですよ」と背後から誰かが話しかけてきた。
その抑揚なく発せられた言葉に振り向くと、笑みひとつない30代半ばの男性店員が
先程、私が試着した『ナイキ』を持って立っていた。
「そんなに人気なんですか?」と聞き返すと、
その店員は、人気の訳を説明するのではなく、
品薄で手に入りにくい旨ばかりを繰り返し説明してきた。
めんどくさくなり、「他のも見たいので」と言いその場を一旦離れた。
結局、他の靴も一通り見てからコレ(574)に決めたのだが、
『574』の箱を手に取りレジヘ向かおうとしたとき、
「お決まりでしたら、レジまでお持ちします」と、またあの店員が出て来た。
その後、レジヘと向かうあいだにも、
「当店でもユニクロさんのヒートテックのような商品を出しており、
今セール中ですので、来年用にでもいかがですか?」と言って来たので、
「来年用??」と思いながらも「今日は結構です」と伝えると、
すかさず「防水スプレーはお持ちですか?」と聞いてくる。
これまた「持っています」と断ると、
さらに靴下をも薦めて来た...。
ニューバランスのコーナーからレジまでは10mも無いのに...だ。
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獲物の肉を骨までしゃぶるハイエナの姿が頭に浮かぶ。
それにしても、何と言うセールス根性。
そんなにノルマが大変なのか?
そんなに『ハイエナ営業』を徹底しているのか?
そんなに私にこの靴を履いてほしいのかぁぁぁっーー!!
まぁ、不信感まじりの疑問は尽きないが....それでも「574」に決めた。
実はと言うと、前々から目をつけていたのは「ナイキ」の靴であったのだが、
実際、履き比べてみると、その「ナイキ」は「574」に比べて、
幅が狭く、何と言うか足の甲の『生地』が軽い?薄い?感じがした。
当然、全ての「ナイキ」がそうという訳ではなく、
ワッフルトレーナーしかり、コルテッツしかり、
私の好きな「クラッシックタイプ」の復刻版が往々にしてそうなのだ。
デザインは『ナイキ』でも、
足全体をホールドしてくれる『ニューバランス』の履き心地に慣れた今、
『ナイキ』の感触がイマイチに感じてしまうのだ。
そうやって毎回、履き慣れた『ニューバランス』に落ち着いていくのだが、、、。
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いつもは大勢の客でにぎわう広い店内も、今日は客が少なく、
「ありがとうございました」と言うレジの若い女性店員の声が店内に響く。
商品を受け取りながら軽くお辞儀をし、お店を出ようと振り返ったとき、
出入り口へと続く通路上で、小太りの中年男性客が、
あの店員に接客を受けているのが見えた。
あまり印象の良くない店員だったので、
意識して見ないように通り過ぎようとしたのだが、
横を通り過ぎる際、思わずその店員と目が合ってしまったのだ。
ギョッ!!としたのと同時に、聞き覚えのあるフレーズが聞こえて来た。
「最近、アディダスは人気があるので、売り切れると、いつ入荷されるかわからないですよ」
と....
あの、抑揚のない声で。
きっとこの店では『クラリーノ』や『ケースイス』、『ビッグベン』ですら、
今も大人気で入手困難なのだろう.........。
(別にそれらが悪い商品という訳じゃないんだけど...。)