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紙幣は棄損しても罪にならない、貨幣は棄損すると罪になる

2007-08-22 17:22:53 | 社会・政治・法律とか

紙幣と貨幣、単なる物理的形状、材質の違いに過ぎない。紙幣と貨幣を総称して通貨というわけだが、紙幣は何故棄損しても罪にならないのだろうか?
それは、通貨はその額面に価値があるからだ。材質の違いが左右される。
紙幣から額面という価値を取り除けば、単なる紙くずに過ぎない。しかし、貨幣はそうではない。金属としての価値が残るのだ。

参考までに、日本の通貨の原価を調べてみた。

通貨の種類  原価


10,000円札  18~22円
 5,000円札  14~16円
 2,000円札  14~16円
 1,000円札  13~15円
   500円玉  28~31円
   100円玉  25円
    50円玉  20円
    10円玉  10円
     5円玉  7円
     1円玉  3円


注目すべきは、5円玉と1円玉だ。
これらは作るのに赤字になるということを意味する。1円玉はアルミニウムで出来ているが、金属としての価値が額面を超えている。
紙幣は棄損したとしても額面に対して原価が圧倒的に低く、再生しても段ボールや新聞程度にしか出来ない。

通貨に関する法律は、刑法と貨幣損傷法というもの二つがある。

刑法
第十六章 通貨偽造の罪
(通貨偽造及び行使等)
第百四十八条  行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2  偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

(外国通貨偽造及び行使等)
第百四十九条  行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2  偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

(偽造通貨等収得)
第百五十条  行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。

(未遂罪)
第百五十一条  前三条の罪の未遂は、罰する。

(収得後知情行使等)
第百五十二条  貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。

(通貨偽造等準備)
第百五十三条  貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

第十八章 有価証券偽造の罪
(有価証券偽造等)

第百六十二条  行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2  行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。

(偽造有価証券行使等)
第百六十三条  偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2  前項の罪の未遂は、罰する。


貨幣損傷等取締法
○1  貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
○2  貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
○3  第一項又は前項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。


刑法における通貨偽造罪は、国家の経済を麻痺させまた不当に利益を得る行為であり、また国家に対する冒涜行為とも取れるもので有価証券偽造罪とはだいぶ罪の度合いが違うことがよくわかる。通貨偽造罪は、殺人罪に近いほどの重罪として扱われるのだ。
現在ではカラーコピーや、スキャナとプリンタを使って劣悪な質であれば誰にでも偽造が容易に出来るが、偽造紙幣に変わりはなく、これを行使した時点(本来は用意した時点)で発覚すれば罪の重さに後悔することとなる。もっとも、起訴されるかどうかに依るが…

さて、主題に戻して、紙幣は損傷しても自分が損をするだけ。しかし、貨幣を損傷した場合に関しては金属としての価値が残り続ける。従って、貨幣に限定された上記のような法律が存在する。

手っ取り早い話、1円玉や5円玉を大量に集めて溶かし、金属として売買すれば利益が出ると言うことだ。5円玉は合金なので少々難しいかも知れないが…を100万円分集め、溶かしてアルミの塊にすると300万円分の価値になってしまうということだ。
100万円分ともなると、1円玉1枚が1gであるから、1トンにも及ぶが決して不可能ではない。消費税が導入され、とりわけ1円玉は大量に製造されて流通している。
金属としての転売は十分に利益が出せる。それ故罪に問われる。
貨幣に穴を開けてキーホルダーにしている人を見たことがある。また、中学の時に技術などの授業で万力を使って10円玉などを折り曲げたりした者がいたが、これらはれっきとした犯罪行為だ。

 



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2 コメント

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コイン (森下礼)
2007-09-25 21:35:45
興味深い記事ですね。コインを損傷すると有罪なのは、初めて知りました。
 コインについては私のブログでも通貨としての、新しい使用法を考案しておりますので、ご覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070704

貴ブログは、共通にTBになったブログの文面から知りました。
コメントありがとうございます (もあ(管理人))
2007-09-26 16:21:56
コメントありがとうございます。
森下礼さんのブログ拝見させていただきました。
正確にはコインを棄損してそれが発覚し、起訴処分となった場合に有罪となるので、即座に有罪になるかは他の犯罪同様です。
ただ、通貨は国家の管理する経済の基盤ですから、それを狂わす行為である通貨の偽造や変造、貨幣の棄損は極めて重い罪となっていることが伺えます。
民主主義国日本において、人を殺したりする以外で、これほど重罪となるのは極めて珍しい条文の一つだと思います。

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