「晩年」

「晩年」太宰治／新潮文庫

『妻の裏切りを知らされ、共産主義運動から脱落し、心中から生き残った著
　者が、自殺を前提に遺書のつもりで書き綴った処女作品集。"撰ばれてある
　ことの　恍惚と不安と　二つわれにあり"というヴェルレーヌのエピグラフ
　で始まる『葉』以下、自己の幼・少年時代を感受性豊かに描いた処女作『
　思い出』、心中事件前後の内面を前衛的手法で告白した『道化の華』など
　15編より成る。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　』


お馴染み「ビブリア」の栞子さんが初版本を大事にしている小説。

ブクオフで買ったのですが、全然中身見ないで買ったら、めっちゃ書き込みが！！ペンで！！！
いや、面白いからいいんですけど、キレイな本と同じ350円はないわ～。笑
てゆーかこんな本でも買ってもらえるのね。
それとも、「買えませんが、こちらで処分しときますね～♪」とか言っといて売ってたんでしょうか。笑

「思い出」という作品で、主人公が"自分の容貌を家族らが気に入らなかった"と言っている辺りにあった書き込みで、
「顔は他人のためにある。自分では決してみることはできない。」
とあって、おぉお　そうだよねぇえ、と感心しましたw

「猿ヶ島」という作品が印象的でした。２匹の猿のお話です。
記載してある年号で調べてみましたが，ロンドン博物館付属動物園で日本の猿が2匹逃げた事実は見つけられませんでした。
そのニュースが実在していて、そこから太宰が想像してお話を作ったのだったら，もっとワクワクしたのになｗ

「道化の華」に出てくる大庭葉蔵というのは「人間失格」の主人公の名前でもあるんです。
太宰が自分のことを描くときに使った名前なのかしら？？
(この名前を聞くとどうしても脳内で生田斗真くんになるのですがｗ)


収録されている15編の内、解るものも解らないものもありました。
眠たくなったりもしましたが、私は元気です。

ジェイン・オースティンと太宰はもしかしたら，つきつめれば共通点が見つかるかもしれない，という気がしますｗ
まぁ，そうだったら楽しいなという希望ですがｗ
どちらもユーモア性がありますし，心理描写に長けている気がするんですよね。
私は太宰の男性描写も好きですが，女性の心理描写にも定評があるみたいですし。

あ～今生きている作家を好きにならないと，新刊の楽しみがないんだけどなぁ～。笑



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＞画像　　二条城の庭園。
　　　　　右の方にあるギザギザしてるのは蘇鉄(ソテツ)です。
　　　　　冬はこうやって藁(だったかは覚えてない。)で防寒してあげているのだそう。