不思議な。

次作のアイディアが浮かばなかった。

去年の秋のころ。

土を触りながら考えてみよう、と。
連日土を触っていた。
アイディアは思い浮かばないけれど
作っていることが幸せだった。

その時に、誰かに見られているような
感覚が何日間か続いた。
しかし特に気にとめず時間はすぎた。

ある日急に
次作のアイディアが浮かんだ。
久しぶりにアイディアが浮かんで
喜んでいた。
そのアイディアは、今までを
総称したようなもの。
ざっくり言うと「命」のような。

そのアイディアが浮かんでから
しばらくして体調を崩した。
風邪でもなく、身体がだるく重い。
しばらく様子をみて検査をした。
妊娠していたのだ。

あの時、誰かに見られていた感覚の
隣に、私がどんな人間か
見られているような感覚を覚えている。

私のことを見て来てくれたのかな。

その数ヶ月前に叔父を亡くし、
悲しい気持ちでいたけれど、
最初に叔父の写真を取り出し
ボロボロ泣きながらお礼を言った。

あの不思議な感覚から9ヶ月。
もう少しで生まれてくる。

どんな子だろう。
この子から沢山学び成長していきたい。

そしてあの時浮かんだアイディアで
展覧会もしてこの子に見せたい。