旅立ち前ー2
迎えを頼んだ日系人の彼は非常に不機嫌な顔で来た。
朝になってもその不機嫌さは変わらずブスっとして口も聞かない状態だった。
奥さんに「どうして?」と理由(わけ)を聞くと「ケガをしたから」と云うことだった。
パーティを台無しにしたには違いないが何だかこちとらも非常に不愉快だ。
早々に帰宅したいので送ってくれと言うと返事も無く、マンハッタンまでさほどの距離ではないのに駅で降ろされた。タクシーを呼べと言われないだけましかナ。
頭部にはグルグルに巻かれた包帯が痛々しく、どうにかなりそうな頭痛が絶え間なく襲ってくるというのに―。
因みに奥さんは現役の看護士だったがケガした当初から帰宅までの行動を考えると
「ホントに看護士?」と疑いたくなる態度だった。
そして夢遊病者みたいにフラフラしながら、電車を乗り継いで気合でアパートにたどり着いたが、部屋に入るなり服を着たままベッドに倒れこんでしまった。
病院から言われた通り4、5日して抜糸に病院に行ったが勿論ニュージャージー州ではない。
紹介された病院は綺麗なところだったので安心したが、手荒く抜かれた痛みは今だ残っている頭痛に拍車をかけた。
だがそれより困ったのはちょうどカギ裂きになった10センチ四方のヘアーがカット(剃りこみ)されており、そこに縫い目に沿ってバンドエイドがちょこんと貼られたことだ。
どう見てもまったく大したケガではないようで友人達も話の割には「なぁ~んだ」と云う顔を会う奴、会う奴にされた。
しかし、もっと深刻な問題があった。
と云うのもケガをした側(ちょうど頭の右半分)が麻酔にかかったままで感覚がない。しかも何か変に痒いのだ。
このまま心配事をのこしたまま旅にでることも出来ずNYU(ニューヨーク大学)の病院に勤めている知人にドクターを紹介してもらい診てもらった。
受付ではいの一番に保険の有無を聞かれた。
前述しなかったが最初の病院も抜糸の病院も同じで払えるか払えないかが大問題。
私の場合保険に加入していたので問題はなかったがアメリカでは国による健康保険制度がないため、ハッキリ言って金の無いものは私立病院等の
いい医者にはかかれない。
以前シカゴで友人が交通事故に遭い病院に運ばれたがその跳ねた奴(申し訳ないが奴と呼ばせてもらおう)が医師で自分が勤めている私立の病院には
運ばず、真向かいにある市立に運んだのだ。
その病院の入ったところにでっかいゴリラの写真が掲げてあり、そこに大きくこう書いてあった。
「前(通りの)の病院はお金さえ払えばサルでも診る」
さて、診察結果は
「脳波は問題ありませんが麻酔の方は神経に入った為消えるのは1年くらいかかるでしょう」
「これから中南米に旅行しようと計画しているのですが」
「旅行しても問題ありませんよ」
しかし、またレストランでアルバイトをさせてもらい体調を整えながら様子をみた。
予定より1ヶ月遅れとなったが頭部右半分に麻酔を残したまま出発した。
迎えを頼んだ日系人の彼は非常に不機嫌な顔で来た。
朝になってもその不機嫌さは変わらずブスっとして口も聞かない状態だった。
奥さんに「どうして?」と理由(わけ)を聞くと「ケガをしたから」と云うことだった。
パーティを台無しにしたには違いないが何だかこちとらも非常に不愉快だ。
早々に帰宅したいので送ってくれと言うと返事も無く、マンハッタンまでさほどの距離ではないのに駅で降ろされた。タクシーを呼べと言われないだけましかナ。
頭部にはグルグルに巻かれた包帯が痛々しく、どうにかなりそうな頭痛が絶え間なく襲ってくるというのに―。
因みに奥さんは現役の看護士だったがケガした当初から帰宅までの行動を考えると
「ホントに看護士?」と疑いたくなる態度だった。
そして夢遊病者みたいにフラフラしながら、電車を乗り継いで気合でアパートにたどり着いたが、部屋に入るなり服を着たままベッドに倒れこんでしまった。
病院から言われた通り4、5日して抜糸に病院に行ったが勿論ニュージャージー州ではない。
紹介された病院は綺麗なところだったので安心したが、手荒く抜かれた痛みは今だ残っている頭痛に拍車をかけた。
だがそれより困ったのはちょうどカギ裂きになった10センチ四方のヘアーがカット(剃りこみ)されており、そこに縫い目に沿ってバンドエイドがちょこんと貼られたことだ。
どう見てもまったく大したケガではないようで友人達も話の割には「なぁ~んだ」と云う顔を会う奴、会う奴にされた。
しかし、もっと深刻な問題があった。
と云うのもケガをした側(ちょうど頭の右半分)が麻酔にかかったままで感覚がない。しかも何か変に痒いのだ。
このまま心配事をのこしたまま旅にでることも出来ずNYU(ニューヨーク大学)の病院に勤めている知人にドクターを紹介してもらい診てもらった。
受付ではいの一番に保険の有無を聞かれた。
前述しなかったが最初の病院も抜糸の病院も同じで払えるか払えないかが大問題。
私の場合保険に加入していたので問題はなかったがアメリカでは国による健康保険制度がないため、ハッキリ言って金の無いものは私立病院等の
いい医者にはかかれない。
以前シカゴで友人が交通事故に遭い病院に運ばれたがその跳ねた奴(申し訳ないが奴と呼ばせてもらおう)が医師で自分が勤めている私立の病院には
運ばず、真向かいにある市立に運んだのだ。
その病院の入ったところにでっかいゴリラの写真が掲げてあり、そこに大きくこう書いてあった。
「前(通りの)の病院はお金さえ払えばサルでも診る」
さて、診察結果は
「脳波は問題ありませんが麻酔の方は神経に入った為消えるのは1年くらいかかるでしょう」
「これから中南米に旅行しようと計画しているのですが」
「旅行しても問題ありませんよ」
しかし、またレストランでアルバイトをさせてもらい体調を整えながら様子をみた。
予定より1ヶ月遅れとなったが頭部右半分に麻酔を残したまま出発した。