ほんの、ちいさな庵

至極普通の一学生が贈る、思いのまま気の向くままノンフィクション劇場。

今日も私に雪が舞い乱れる ~傷心編~

2005年04月29日 02時22分32秒 | 何か


第1話 接触編


前回の記事を見ていない方は先に↑を見るよーに!








・・・・・・・・。



さて、そーゆー訳で半強制的にそれぞれ1人だけ勧誘PR作業をさせられる事になった我等バイト2人。しかし、前述の通りロクな指示、アドバイスももらえず、あるのは手渡された数枚のマニュアルのみ。今思えば何でこの時点で文句を言わなかったんだろう、断らなかったんだろうとつくづく思ってしまう。


考えていることは恐らく同じ、しかしお互いにその事に一切触れぬまま、


私「・・・・行きましょうか。」

M「・・・・はい。」


2人は一体どこなのか分からぬ住宅地の奥へと重い足を運ぶ。そして多くの家々の並ぶ通りに到着。果たして、この状態で勧誘など勤まろうか。答えは否。そう思った私はそこでM氏に「試しにとりあえず私達2人でやってみませんか?」と提案。M氏もその言葉を待っていたのであろうか、少しホッとしたような表情を見せそれに同意してくれた。


私「まずここから行きましょうか、、、。」

M「そうですね。」


1件目にセレクトしたのは築10年、、、といった所か少しだけ古びた家。


M「じゃあちょっとやってみます。」


まずM氏が挑戦。ピンポーン、、、インターホンを鳴らす。しばしの沈黙、底知れぬ緊張、、、、。


「(ガチャ) はい?」


インターホンに出たのは声からしておばあちゃんらしき人。


M氏「え、、、あ、、、お、おはようございます。お忙しいところすいません。えっと、今日こちらの地域できゅ、給水管洗浄作業を行っている●●●の者ですけど、えと、あの、その際に (長いので省略) で、それと散水栓という外の水道の蛇口をお借りしますので、場所を教えていただきたいので玄関口までお願いします。」



こっちの姿が見えないことをいい事にM氏はマニュアルを見ながらインターホンに話しかける。しかも棒読み、しどろもどろ、噛みまくり。駄目だコリャ、、、。


「ウチは勧誘はお断りしてますので、、、。(ガチャ)」


まぁ、そんなもんだろう。1つ1つで落ち込んでたら絶対この仕事は勤まらねぇな。事前からこういう事は何となく予測していたので特に落ち込む事も無かった。そう、この時は。


私「じゃあ次、僕が行きますね。」


続いて私はさっきの家と少し離れた住宅をセレクト。インターホン越しにさっきと同じように応対。


客「結構です、帰ってください!(ガチャ)」


さっきよりも厳しい口調で追い返される。なんの、これくらいこれくらいこれくらい、、、、、。
ここから本番。ここからは2人バラバラになって1人でやることに。


客「ウチ、勧誘はお断りですから、、、。」


客「あ、もう間に合ってますので、、、、。」


客「ウチの主人、そういう免許持ってるので、、、、。」



どの家もほとんどありきたりな断り方、そしてバレバレの嘘をつき、話を聞こうともせずにインターホンを切る。
いくつ家を回ったであろう、、、回っても回っても断られるばかり。流石に(元々殆どなかったが)やる気も失せてくる。そして開き直り。もうどーでもいいや、どーせ断られるんだから。そんな感じで望み始めた次の家。


ピンポーン、、、

私:「朝早く申し訳ありません、あのですね、、、(略)」

多くの家を回ったためであろう、慣れ始めてきた口調で客を応対する。

客:「いいです、お断りします!(ガチャリ)」

やっぱダメか、、、開き直ったとはいうものの、徐々に精神的にも疲れが出始めてきた。肩をすくめてその家の前から立ち去ろうとしたその時である。


カチャッ、キキキキィー、、、。


私が気づくか気づかないほどの音を立ててこの家の少し離れた所にある小さな裏口が開いた。そこからコッソリとその家の娘らしき高校生くらいの女の子出てきたのである。しかし何故表口からではなく裏口から出てきたのだろうか?そんなこと決まってる、私を避けるためである。

彼女はドアから出るや否やそそくさと私の横を通り過ぎて住宅街の奥へと消えていった。






その時擦れ違い様に間違い無く見せた彼女の私に対する白い目


私から逃げるように走っていく彼女の後ろ姿


あの時、自分が嫌われた存在であるという事を恐らく生まれて初めて直接的に実感した瞬間であった。




心の傷がまた一つ。




(次回、~孤独編~ に続く)