新しいCDプレーヤーとアンプを遂に買いました。
4年ほど使い続けていたミニコンポのCDプレーヤーの具合が、ずっと悪かったんですが、とうとう完全に音が出なくなってしまいまして、先々週の土曜日に近所のヤマダ電機へ注文しに行ったのです。
ちなみに買ったのはCDプレーヤーがDCD-755SEで、アンプはAVC-1509で共にDENON。スピーカーは、ずっと使っていたBOSEのミニコンポのを流用です。ミニコンポとはいえBOSEのスピーカーは馬鹿にできませんからね。
まあ、正直どれも安物ですが、いままではミニコンポで聴いていたことを思えば、たいした進歩だと思うのです。
真っ先に聴いたのはアナログ盤のミルト・ジャクソン「バグス・オパス」
曲はもちろん「クリフォードの思い出」
死んだら棺桶に入れてもらいたい大愛聴曲です。
これで新しいアンプの実力を見せて頂こうと考えた訳です。
さて、どう出たか。まず感動したのは、ミルトのヴァイブの背後を彩るベニー・ゴルソンのテナー・サックスの輪郭がはっきり鮮明に聴こえたことです。
まえに使っていたミニコンポでは「なんだか背後で管楽器がモゴモゴ鳴ってるな」くらいにしか聴こえなかったんです。
良いです。まだ数枚しか聴いてませんが非常に良い感じ。
これから、しばらくのあいだ音楽三昧の軽い引き篭もり生活になるかも。
ミルト・ジャクソン「バグス・オパス」
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=TOCJ-6846
バド・パウエル
「バド・パウエル・イン・パリ」
大西順子
「楽興の時」
前回の続きになりますが、スイング・ジャーナル8月号の表紙、みなさんはご覧になりましたか?
なんと大西順子でした。90年代に国内ジャズ界を席巻した女王・順子が帰ってきたのです。
久々のニューアルバムのジャケットが表紙に使われたのですが、なんと妖艶なこと。
まあ、好みもあるとは思いますが、わたしとしてはジャケットの写真だけで参ってしまいました。
そこへきて昨日、タワーレコードへ寄ったらなんと順子の新譜が試聴可能になってるではありませんか。
大喜びでヘッドホーンを耳に押し当て、スイッチを入れます。
ううん・・・・・・面白くありません。
エリック・ドルフィーの作品が3曲収録されていましたが、ドルフィーの無機質な世界観を現代に再現したような演奏とでも申しましょうか。
もともと、わたしは彼女のピアノは苦手なんです。でも今回はジャケットが良かったし久々ということで期待したんですよ。
彼女のピアノのどこが苦手かというと、バド・パウエルのフレーズがほとんど出てこないからです。
ビル・エバンスなど例外はありますが、すべてのジャズ・ピアニストはパウエルを如何にして、みずからの肉として血にするか。それが究極の目標だと思うのです。
例えば「バド・パウエル・イン・パリ」という名盤があります。ここに収められた「言い出しかねて」という名バラードを聴いて頂きたい。
この演奏を聴いていると真夜中の湖の上、たゆたう一艘の小船に、たったひとり腰をおろすパウエルの孤独な姿が想起されます。
月光を浴び、たゆたう小船は50年代中期以後、精神を病んだパウエルの心の中そのものかもしれません。が、わたしには、その小船は例えようもなく尊く、美しいものに思えて仕方がないのです。
そして、この美しさはパウエルならではの世界。誰にも真似はできません。
真似などではなく、パウエルが編み出したバップ・ピアノの魅力に満ちたフレーズと湖上の小船の美しさを、いかにして自分の音楽に取り込むか。50年代以降のピアニストは誰もが、それに腐心してきたのです。
順子も順子なりのやり方で腐心しているのかもしれませんが、わたしは彼女のピアノからはパウエルを感じ取ることが出来ません。
まだ試聴しかしてなくて偉そうなことを言ってゴメンなさい。
バド・パウエル「バド・パウエル・イン・パリ」
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=WPCR-13188
大西順子「楽興の時」
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=TOCJ-68085
「バド・シャンク・カルテット」
スイング・ジャーナル8月号を立ち読みしていたら、バド・シャンクが4月に亡くなっていたという記事が載っておりました。
享年82歳だったそうです。
チャーリー・マリアーノも先頃、亡くなりましたが、御二人とも50年代のウエスト・コースト系ジャズを支えた代表的アルト・サックス奏者でした。
とくにアート・ペッパーが留置所行きになっていた50年代後半は、このふたりだけでイースト・コースト系のアルト奏者に対抗していたと言っても過言ではないでしょう。
本日は追悼の意味も込めて「バド・シャンク・カルテット」のご紹介です。
同名タイトルのアルバムがあるのでご注意ください。しかも、この2枚は参加ミュージシャンも録音年も、レコード会社も同じなので、まったくややこしい。
両方とも好内容ですが、こちらのほうがターンテーブルに乗る回数は多いかな。
神秘的なフルートが映える「水玉模様と月光」
音自体は小さいんですが、中身がぎっしり詰まった柘榴のように濃密なアルト・サックスを堪能できる「オール・オブ・ユー」 「朝日のように爽やかに」etc
実に名演ぞろい。
お釈迦さまは子供を食う鬼人に柘榴を与え、人肉を食べないよう約束させたそうですが、ここでのシャンクのアルトは、人肉の代わりに与えれば鬼人も喜ぶのではないかと言うほどの艶かしさです。
セクシーな節回しは、彼の他のアルバムでは、ちょっと聴けない特殊なものでしょう。
この録音の前の晩、果たしてシャンクの身になにがあったのか。 いろいろ想像したくなってしまう名演です。
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=TOCJ-6375
杉山清貴
「コナ・ウェザー」
梅雨もあけ、早くも蒸し暑い毎日が続きますが、皆さん如何お過ごしでしょうか。
1980年代、音楽界では「夏男 杉山清貴」という時代が確実に存在しました。
その後チューブに、お株を奪われましたが(チューブも古いですけど)わたしの中ではいまもなお、夏そして海辺のBGMといえば杉山清貴なのです。
さて、杉山清貴ディスコグラフィ、前回の続きと参りましょう。
「リアルタイム・トゥ・パラダイス」をリリースした同年暮れぐらいに出たのが「コナ・ウェザー」です。
「リアルタイム~」まではオメガの延長線上にあり、本作からようやく杉山が自分で本当にやりたいことを、やり始めたという印象を受けます。
具体的には一曲目「コナ・ウインド」を聴いてもらえれば、ストレートにわかってもらえると思う。
ずばり、西海岸系ロックに傾倒する杉山がようやくレコーディングの際に、みずから采配を振るえるようになった記念すべきアルバム。それが「コナ・ウェザー」ではないか。わたしはそう解釈しております。
http://www.amazon.co.jp/kona-weather-%E4%BD%90%E8%97%A4%E6%BA%96/dp/B00005H0FY
「コナ・ウインド」
イントロのアカペラといい乾いたギター・サウンドといい、まさに気分はウエストコースト・ロック。
蒸し暑い日本の夏をイメージさせるチューブとは大違いです。
杉山みずからハンドルを握る、ロスの太平洋沿いのフリーウェイをひた走るドライブは、ここから始まりました。
レッド・ガーランド
「ガーランド・オブ・レッド」
「マイ・ロマンス」はエバンスに限る。
最近までそう信じていたのだが、レッド・ガーランドのほうが上だった。
「マイ・ロマンス」に関してはピアノだけを取ると、エバンスよりも深い。
ガーランドはピアノの一音、一音がポエムであり、紡がれるフレーズは真夜中の受話器に忍ばせた長い吐息のようだ。
そっと耳をかたむけてほしい。
明け方の濃紺に溶け入るような、愛する人へのガーランドの呟きがあなたには聞こえますか。
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=VICJ-41538
「ワルツ・フォー・デヴィ」
エバンスの演奏をきっかけに「マイ・ロマンス」という曲を好きになった。
ジャズ・ファンなら知らぬ人などいないであろう大名盤「ワルツ・フォー・デヴィ」に収録されたバージョン。ビレッジ・バンガードに於けるライブ録音だ。
わたしは、これを夜中に自室でひとり聴くことを、人生における贅沢のひとつに数えている。
聴くのは小鉄徹工房による円盤新世紀のアナログ盤。
最近、中古店に行ったら七千円くらいの値がついていて驚きました。ちなみにわたしは発売後、即購入しましたが。
ポール・モチアンのシンバルが「カシーュン」と演奏全体に張り巡らされており、その音がほかのジャズのレコードのシンバル音と比べて明らかに異質なのだ。
シンバルの概念を完全に越えてしまった美しさだ。
呪術めいたものさえ感じさせる。バンガードの夜がモチアンの両腕に幻想を宿らせたのだろう。
目を瞑ると知らない場所へつれて行かれそうで恐くなる。
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=VICJ-41612
杉山清貴
「リアルタイム・トゥ・パラダイス」
86年はファースト・アルバム「ビヨンド」を出したあと、シングル「最後のホリーナイト」をリリース、これも大ヒット。
勢いに乗って翌87年の初頭に出したのが、アルバム「リアルタイム・トゥ・パラダイス」でした。
「ビヨンド」はソロ・デビュー・アルバムということもあってか、バラードも含め重厚な作りになっていましたが本作は軽い感じです。
初夏を意識したのでしょう、タイトル曲などライブでも盛り上がりそうなノリノリの一曲。
「アローン・アゲイン」の続編的な雰囲気の杉山流青春ソングといった趣の「モノローグ」も秀逸です。
なおCDには収録されている「最後のホリーナイト」はアナログ盤未収録でした。当時はまだLPのほうが主流だったのでCDの売り上げを伸ばすためにとった策なのでしょう。
このあと杉山は「水の中のアンサー」「シェイド~夏の翳り~」という二枚のシングルを続けざまにヒットさせることになります。ソロ活動は順風満帆です。
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=VPCC-84502
アール・ハインズ
「アップ・トゥ・デイト・ウイズ・アール・ハインズ」
アール・ハインズは「ジャズピアノの父」と呼ばれた人。
「ルイ・アームストロングにも影響を与え、ジャズ・ピアノの基礎を築きました」
ジャズの本を読むと、ハインズについては大概そんなことが書いてありますが、無視してください。
技術云々を気にしだすと、せっかくの演奏そのものを楽しめなくなってしまいます。細かいことは気にせず、大らかなハインズ・ワールドに身を任せて欲しいのです。
ハインズのピアノは常に、飛び跳ねるウサギのように躍動しています。
この「飛び跳ね感」が最大の聴きどころなのです。
この、ピョンピョンした感覚は、ハインズならではのものです。
そして、ウキウキと可愛らしい飛び跳ねピアノに絡む、バド・ジョンソンの温かなテナー・サックスに癒されてください。
「コテージ・フォー・セール」での舌が回ってないような朴訥としたバリトン・サックスも、また可愛いんですよね。
http://www.neowing.co.jp/JWAVE/detailview.html?KEY=BVCJ-37079