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映画感想文 Vol.39 「TAKESHIS'」

2006年04月12日 | 雑記
TAKESHIS' (2005)
☆(判定不能)



評判は本当に賛否両論らしいですけど、その気持ちはわかります。

見終わった率直な感想を言えと言われてもこれは北野武の夢(寝る時に見るほうの)を映像にしたものなので、しいて言うなら、面白い、面白くないで判断できる類の映画ではなく、観た人が好きか嫌いかで分かる映画だと僕は思った。

それで言うならば、僕は好きです。

武さんの頭の中を覗いている感じに近くて、武さんが見ている夢をそのまま映像に起こした印象を覚えた。

これは、今まで観たことのない映画のスタイルで、本当に映画という映像をDJがスクラッチしたみたいになっている。起承転結などはない。映画をリミックスしているから、どこが始まりでどこが終りとかもない。だから、いつ終わるんだろう、と思いながら観れたし、どこで終わるかは全く想像がつかなかった。

斬新なものを作る人は好きなので、僕はこの映画を好評価する。けれど、高評価かどうかは測定できない。むしろこの映画は測る事はできない。だって、自分が見た夢に、起承転結かどうとか、オチがどうとか、キャラがどうとか、文句の付け様がないからだ。

だから、最初に言ったように、ストーリー重視型の人は、ただ「面白くなかった」「意味不明だった」という感想を言うだろうし、何でも受け入れられる人は、好きか嫌いかで判断できると思う。


何度も言うけど、こんな映画は観たことない。
起承転結がないのに、ずーっとぼーっと観ていられる。で、気付いたら終わってる。観終わると、何も残ってない。だから、「どうやった?」と感想を聞かれても、「僕は好きかな」としか言えない。そういう人が大半だと思う。

この作品で、改めて僕は、北野武監督をすごいと思えました。
きっと誰も思いつかないだろうし、どのプロットにも当てはまらない。

きっと、観た人が困惑しているのは、この映画が初めて観るタイプの映画だからで、こういう映画がこれから何本も出ると、慣れてくると思う。

そういう意味では、最初に動く映像を見た人間の反応に近いかもしれない。列車がスクリーンに近づいてきて、本当にぶつかると思って劇場を飛び出した人のように、この映画を観た人も、どう言っていいかわからないのだと思う。


これは、あまり客が入らずに興行的に滑ったらしいですけど、「売れる作品=名作」では決してないし、むしろ名作で売れる作品の方が珍しい。しかもこれは、芸術的な作品だと思うから余計に判断しづらい。本当にピカソの絵と同じだと思う。

「TAKESHIS'」は、難しく考えて観るのではなく、感覚で観る映画だろう。

何も考えず、ただぼーっと受身で観る。


まだ観ていない人で興味がある方はぜひ。
ただ、映画とはこうだ、という先入観を持ってる人はちと辛いと思う。


ちなみに、ジャケットも僕は好きです。


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