趣味で小説を書いていると、やがてコンテストなるものに興味が湧いてくる。小説サイトの運営主催のものやら大手出版社とコラボしているものやらコミックスコラボの漫画原作やら、いろいろ様々なコンテストが随時開催されている。
受賞すれば賞金だけでなく書籍化も叶ったりする。コンテスト受賞からの書籍化さらにプロの作家へ、という夢を抱いているアマチュア作家は多い。
コンテストへエントリーし、プロの厳しい審査を経て認められ、受賞するのは嬉しい。嬉しいに決まっている。嬉しくないはずがない。
しかし…。
受賞したら書籍化するという約束が守られないケースがあるのだ。
もちろん、そのコンテストの企画段階では、企画サイドは約束を守るつもりだったはず。しかし近年の、本が売れない出版不況によるためなのか、賞金は支払われたものの、いつまで経っても書籍化されない、あるいは企画サイドから受賞した作家へ「書籍化できなりました」などと宣う。これは作家や作品のせいではなくて100パーセント企画サイドの問題だ。
この「やっぱり書籍化できなくなっちゃいました」ケースで問題になるのが著作権の所在だ。通常、コンテスト受賞作品の著作権は企画サイドと作家の両者にある。だから受賞した作家が「書籍化してくれないなら別の出版社で、あるいは別のコンテストへ受賞作品を出したい」と願っても規約や著作権で縛られてしまい、自分の作品であるにもかかわらず、自分の自由にできない法的な縛りが発生する場合がある。
実際に私自身が過去にこのケースの罠にはまった。コンテストに受賞し賞金ももらった、でもいつまで待っても書籍化の約束が果たされない。でも著作権およびコンテスト規約の縛りによって受賞作品を取り下げることも他所のコンテストへエントリーすることも不可能。
仕方なく書籍化されるのを待っているうちに、そのコンテストを企画したサイト自体が消滅してしまい、約束は反故になった。
なんだかなあ、である。
大手サイトの「小説家に◯ろう」などでも同様のケースが発生したのを、被害にあった作家本人のSNSで拝見した。
嬉しいはずの受賞および書籍化なのに、なんだかなあ、である。
コンテストへエントリーしようと思っている作家様は、コンテスト規約や著作権の所在について、事前に十分に調べてからエントリーしたほうが良いと私は思う。
過去の自分自身の不愉快な経験から、趣味作家の方々が私のような愉快な思いをされないように、創作意欲に水を差すような実話をご紹介しました。
なんだかなあ…。