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ダイヤモンド・ダスト  by  ジェフ・ベック

2016年02月15日 | 音楽全般

ジェフ・ベックは、エリック・クラプトンやジミー・ペイジと共に「世界3大ロックギタリスト」と呼ばれたロックギタリスト。

この「世界3大ロックギタリスト」は、ジミ・ヘンドリックス(ジミヘン)、エリック・クラプトン、そしてジェフ・ベックの3人をそう呼ぶ場合もある。

いずれにしても、ベックはそれほどロックファンから評価が高いギタリストである。

 

私がクラプトンを知ったのは、ビートルズによってロックに目覚めた頃。ビートルズのホワイトアルバム収録曲の「ホワイルマイギタージェントリーウィープス」でクラプトンがギターを弾いたことによって・・だった。

その後すぐに私はクリームのアルバムを買い、すっかりハマってしまい、その後彼のクリーム後のアルバムを何枚も集めたことで、しばらく私にとってナンバーワンロックギタリストであった。

 

 

で、クラプトンを知ることによって、ジミーペイジやジミヘンやベックの名前も知ることになった。

ペイジに関しては、ほどなくして私はレッド・ツェッペリンにハマることで、その良さを十分に味わうことになった。

 

ジミヘンは、高校時代の友人がジミヘンマニアのロックギタリストで、しかもその友人はディランファンでもあったから、けっこう私とは話が合い、おかげで彼からジミヘンのことをよく聞かされることになった。アルバムを自分でも買って聴いてみた。

 

そして、ジェフ・ベック。

私にとってベックは、世界3大ロックギタリストの中では、一番後に聴くようになったギタリスト。

ベックは、クロスオーバー(後にフュージョンと呼ばれるようになるジャンル)という音楽ジャンルが人気を集め出した頃、友人の影響で私は聴くようになった。

その友人はベーシストで、勉強がてらでもあったろう、ロックだけでなく、ジャズ系、フュージョン系のミュージシャンのアルバムを当時よく聴いていた。

ベックはロックギタリストでありながら、その範疇を超え、ジャズ系のミュージシャンと共に作ったアルバム「ワイヤード」で、当時人気絶大であった。

その友人の家に遊びに行くと、当時よくベックのアルバム「ワイヤード」を聴かされた。

 

「ワイヤード」を初めて聴いた時、私がそれまで聴いてきたロックとは異質のサウンドがそこにあり、斬新さと共に、凄みを感じた。

理論などよく分からなかったので、ただただ直感的に「なんか、こりゃすごいぞ」と思った。特に、その1曲目。

まさに「金縛り」にでもあったかのような凄みに思えた。

 

ベックのフレージングセンスは、もともと独自のものがあったが、その独自性はクロスオーバーという畑では、よく映える気がした。

 

 

ともかく、そのインパクトもあり、後日私は輸入盤レコード屋に、ジェフ・ベックのアルバムを買いに行った。

そして、「ワイヤード」はもちろん、もう1枚「ブローバイブロー」というアルバムの計2枚を買って帰った。

 

で、友人宅で何度も聴いていた「ワイヤード」をとにもかくにも自宅で聴いてみて、あらためて圧倒された。

で、「ワイヤード」を聴いた後、一緒に買ってきた「ブローバイブロー」も聴いてみた。

そうしたら・・「ワイヤード」とはちょっと感じが違うが、これが・・・実に素晴らしかった。

 

両アルバムを何度も聴くうちに、私はむしろ「ブローバイブロー」の方が、より好きになった。

いや、もちろん「ワイヤード」はやはりスゴかった。楽曲から漂ってくる緊張感は、まるでバトルのようにも思えた。研ぎ澄まされたセンスが、さらに鋭さを増している感じだった。

 

だが、それ以上に「ブローバイブロー」は、私にとってあまりに味わい深く、素晴らしすぎた。

「ワイヤード」のようなバトルのような緊張感というより、リラックスした中に緊張感もあり、なによりベックが情感を込めて、切々とギターで音楽を表現している感じだった。

もちろん、凄みのある曲もちゃんとあった。

 

ビートルズの曲を独自のセンスでカバーしたり、スティービーワンダーから贈られた「哀しみの恋人たち」という曲を「ロイ・ブキャナンに捧ぐ」というメッセージと共に変幻自在の音色で表現したり。

そう、「哀しみの恋人たち」1曲の中でのギターの音色の変化は職人技だった。曲のパートごとに音色を変えてみせたりしていた。

 

そして、名演ぞろいのこのアルバムの中に、「ダイヤモンドダスト」は収録されていたのだった。

 

曲のタイトルにウソがない、幻想的な曲調。どこかまるで映画音楽のような雰囲気。

独特の旋律。コード進行も秀逸。

一見難しく聴こえもした主旋律ではあるが、非常に美しくもあるメロディ。

ムーディでありながらも、甘くはなく、なにやら気品と深みがあり、渋くもあり、神秘的なものもある。根底には孤高さも感じ、それゆえ独特の存在感があった。

タイトル通り、ダイヤモンドダストの映像が浮かんできて、しかもそのまま吸い込まれていってしまいそうな魅力もあり。その魅力は、魔力にも近く思えた。

 

ほんと、この曲での「ダイヤモンドダスト」というタイトルは、よく名付けたものだ。まさに言い得て妙・・・そんな感覚になる、幻惑されそうな、イメージに溢れた名曲だ。

 

話によると、この曲の作曲者バーニー・ホランドは、第2期ジェフ・ベック・グループにいたメンバーが、グループ消滅後に組んだバンドに一時参加したギタリストらしい。

ということは、多少なりともベックとも縁があった人・・・と言ってもいいだろう。

 

この曲の良さもさることながら、こういう曲を選曲し、情感たっぷりに演奏・表現しきるベックのセンスや実力には、完全に脱帽だった。

深遠なストリングスのアレンジがまた、特筆もの。

 

一度でいいから、ダイヤモンドダストの映像をバックに、この曲を聴いてみてほしい。

これほどタイトルがイメージぴったりな曲は中々無いような気がする。

それほど、豊かなイメージをリスナーに与えてくれる名曲である。

 

人里離れた、どこかの山奥。

人はともかく、生きとし生ける動物など見当たりもしない、雪山。

木々は雪で樹氷と化している。

もちろん、地面など深い雪に埋め尽くされ、当たりは白一色。

そんな空間に、空気中の水蒸気が氷となって、輝きながら、舞っている・・・。

 

 

 

この曲がメインテーマやメインBGMとして採用された映像作品は・・・ドラマでも映画でも、CMでも、あるのだろうか。不勉強ながら、私はまだ見たことがない。

こんな強力なインストゥルメンタルナンバーは、中々ないと思うのだが。

 

もし使われていないのだとしたら、もったいなさすぎることに、とんでもない名曲が見落とされている・・・そう思う。

いや・・・私がたまたま見逃しているだけで、きっとあることだろう。

 

なんでも、ベックはこの曲の録音に、相当な時間を要したという。

それだけ心血を注いで、仕上げたのだろう。

その熱意は、この曲の出来を聴けば、よく伝わってくる。

 

 

この「ダイヤモンドダスト」を収録したアルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」は、ロックギタリストの残したインストゥルアルバムとしては、時代を超えて5本の指に入り続けていく名作アルバムだと私は思っている。

 

これまでも、今も、そしてこれからも。

長く。輝いて。

 

 

 https://www.youtube.com/watch?v=zzvG3q5Evlk

 

 

 


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