金曜ロードショーにて『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』観ました!
こちらはその感想です。
以下ネタバレを含みますのでこれから観るんだい、という方はご注意ください。
『The RING2』のネタバレも若干含みます。
また、グダグダと愚痴を述べていますのでその点もご了承ください。
観ながら思ったこと
1.邦題の「それが見えたら終わり」が絶対に余計
2.画面がトッテモ明るい
3.これ、ホラーなのか?
結論:邦題にギャグにされた要素を絞り込めなかった映画/スティーブン・キングイコールホラーではない
1.邦題における副題「それが見えたら終わり」が絶対に余計
正確に時間を測ったわけではないが、ラスボスが出てくるのが早い。秒速だ。
もう少し我慢できない?と突っ込みたくなる。これは『The RING 2』のサマラちゃんにも言えることなのだが「だってもう前作で面割れてるし?」というふりきりかたはやはりいただけない。
小出し小出し、というより思わせぶりを何十回と繰り返して終盤やっとこさ出演かなう不遇なジャパニーズホラーのボスが観たら嫉妬に狂うに決まっている。
しかもやっと出番キタァ━━!との喜びもつかの間「やっぱり一番怖いのは生きている人間だよ・・・(しみじみ)」というオチが待っているのだから笑えない。
そういう意味で、この『IT』におけるラスボス(イットあるいはペニー・ワイズ)は最初から最後までバンバン出張る上、子供たちがやることなすことにこれでもかと盛大に怖がってくれてさぞ嬉しかろう。
だから最後も鉄パイプやらなんやらでボッコボコに物理的に殴られかなり痛い思いをしても頑張って暴れまわっているのだ。
だからこそ、邦題における副題が致命的。
話が逸れてしまったが「それが見えたら終わり」ったってだってもう見えちゃっているのだ。
別に観客になら構わないだろ?と思うだろうが、開始15分ほどから主人公格の子供たちも順々にそれを見ている。
え、良いのかな?良いのかな?見えてるけど・・・良いのかな?と最後までそんな気分を引きずったまま終わる。
まあもう最後まで見えているし良い・・・のか?
そもそも映画冒頭はほぼ原作どおり。文句垂れたが「それが見えるのは最初」。
だからこそこの副題は余計、余計というよりもはや致命的。
2.画面がトッテモ明るい
とても明るい。夏休みが始まった日から話が展開していくということもあり、空も川もとても青く晴れやかで町もうきうきとした雰囲気。
しかし主人公たちが冗談を言い合って笑っているときも、いじめっこにフルボッコされているときも、皆で楽しく遊んでいるときも、ピエロと恐怖の鬼ごっこをしているときも、とにかく同じレベルで画面が明るい。
明るすぎてペニーワイズの役者さんが人間であることを隠すどころか完全に白日のもとに晒すレベル。これは制作スタッフに悪意すら感じられる。
演技の良し悪しは私にはよくわからないがこれではどんなに頑張っても化け物役を演じるには無理だろう。
なんていうか、非常に生命力にあふれているペニー・ワイズさんである。
金曜ロードショーの時間帯でもとても明るいので、朝見たらハレーション起こして画面が見えなくなるのでは。
3.これ、ホラーなのか?
確かに『IT』には原作にもさまざまな要素がある。ホラーだとか友情ものだとかファンタジーだとか。
だからそもそもキング史上最恐小説という煽りからしてちょっと違うだろうと。
もちろん、原作はあくまで原作なのだから完全ホラーにしたいならそれでも良いだろう。
しかし散々ホラー的な映画ですよ、ホラー小説の巨匠キングの最高傑作ですよ、とか喧伝しておいて蓋を開けてみたらただの青春ファンタジーでは納得がいかない。
何事も必要以上にハードルを上げることと詐称はよくない。期待すればするほど評価は厳しくなるし、嘘をつかれたらこちらだって悲しい。
そもそも煽りCMや邦題以前に、ホラーにしたいなら子供たちの明るさ・無邪気さとの異常なコントラストを出して欲しかったし、
青春ファンタジーにするならもっと1人ひとりのなにかこう、内面的な描写に時間を割くべきである。
原作が長編なのだから要素を絞らないと大変なことになるという典型的な例だ。
結論:邦題にギャグにされた要素を絞り込めなかった映画/スティーブン・キングイコールホラーではない
理由はすでに述べたとおりである。
「それが見えたら終わりなのに」→「すぐに見えた」との矛盾を映画開始数分で観客に植え付け、
ホラーと煽るわりに画面がハレーション起こすほど青春要素が強いが、青春というにはファンタジーが強く、さらにペニー・ワイズさんが出張りすぎてもうぐちゃぐちゃである。
これは「キング=ホラー」という刷り込みが産んだ悲劇でもあるだろう。確かにその誤解はしかたない部分もある。
それでも映画を一度でも見たならば「それが見えたら終わり」はつけられないのでは。
要素を絞り込めなかったことも大いに問題ありだが、邦題にフルボッコされ「ジャンル:ギャグ」にされた。
そんな映画であると私は結論づける。
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