絵描き ももみのブログ

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『センセイの鞄』再び

2010-12-27 | 2010年以前の日記

『センセイの鞄』を読み返した。泣くためではなく

あらためて、とてもいい。

時々「書き写したくなる本」というのがあって、これもそう。

 

ツキコさんの心情が痛いほどよくわかる。

センセイの心情は書かれてないんだけど、なぜだかよくわかる。

ツキコさんとセンセイ、出会えてよかったねえとしみじみ思う。

 

センセイの、予想を裏切る行動がおかしい。

たとえば、まじめな話になりそうなとこで、

ツキコさんのポカンと開いてる口に指をひゅっと差し入れたり。

居酒屋で絡んできた男の、ピアスを盗んだり。

 

そして最後の方のこの一行。

     一度だけ、センセイが携帯電話をかけてくれたときの話をしようか。

ここでもう、じわっとくる。

この一文だけ調子が変わるんだ。 

「しようか」で、あ、過去のことなんだ、と

 

「袖すりあうも多生の縁」という言葉の意味を、この小説で知った。

ツキコさんと同じく、「多少」、つまりちょっとだけ縁がある、と思ってた。

多生とは、「生き物は何回も生まれ変わる」という仏教の考えからくる言葉なんですね。

「多生の縁」とは「前世で結ばれた縁」という意味だそう。

    「人と人とは、誰もそうでしょう、たぶん」

たんたんと言うセンセイが、いいです。