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未完成様式とは ミケランジェロ アカデミア美術館 

2020年1月訪問 イタリアからコロナがなくなるまで書き続けます。

 

★未完成様式とは ミケランジェロ アカデミア美術館 フィレンツェ

 

 『ノン・フィニート様式』とはその作品が様々な理由で制作を中断されたものや、もともと未完成風のものを完成品として作成されたものと様々な理由がある作品です。

 それを私たちがどう捉えるのかということですが、理解するためのヒントが、『ミケランジェロ』の彫刻にあります、彼の作品の『ピエタ』ですが、『サンピエトロ寺院』のあるあの素晴らしい『ピエタ』完ぺきと思われる表現で、完成度も最高。

 しかし、彼が死の直前まで鑿を握って制作していた『ロンダニーニのピエタ』は未完成です、この二つの作品を見てあなたはどう感じるでしょうか?『未完成』であるから価値が低いと考えますか?『未完成』であるから芸術性が低いと考えますか?

 私個人の感想ですが、『ロンダニーニのピエタ』のほうが好きなのです、この作品の前に立った時には何の知識もありませんでしたが、その知らない『ミケランジェロ』が作品の前でまだ鑿をふるっているかの錯覚を覚えました。

 そんなことを考えながらこの『囚人たち4作』をご覧いただきたいのです。

『囚人たち』1530年頃

この作品は完成に近づいている作品と思われます。

うつむいた顔、顔を覆う腕、この囚人は絶望に打ちひしがれているのでしょうか。

角度を変えてみてみましょう。

打ちひしがれながら、足が前に出されています、歩かざるを得ない状況でしょうか。

左腕ももうすぐ大理石の中から現れそうです。

この大理石の中から生まれたいと必死にもがいている作品は、とりもなおさず、

生み出したいという『ミケランジェロ』のもがきなのではないでしょうか。


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