さあ、リュクサンブール公園に向かって歩きましょう、サンジャック通り、カニシ通りを過ぎると、ポート・ロワィアルの駅が見えます。この駅は、アールヌーボー風の駅で私のお気に入りです。
この駅を過ぎるとリュクサンブール公園の入り口の《世界の四つの部分の噴水》(1867-1874)が見えてきます。四人の女性が地球を支えています。四人の女性はそれぞれ大陸を意味しています、やはり地球は女性によって支えられているのですね。
この噴水が設置されている部分はグラン・エクスプローラトウル庭園という名前がついています。
四人の女性はそれぞれ、ヨーロッパ・アジア・アフリカ・アメリカです、オーストラリア大陸はその時代にははっきりと認識されていませんでした。
そして、アメリカの女性の足を見てください、足に鎖がまかれていますね何で足に鎖がまかれているんでしょう、この像が作られたのは19世紀後半です、そしてこの銅像がここに置かれたときすでに奴隷解放宣言は出されていますが、作者は完全に奴隷制度は亡くなっていないということを意味したのです。ここに歴史が見えますね、ただ素晴く芸術性の高い銅像だなと感心してと売り過ぎてしまいますが、実はこの像には歴史が刻まれているんです。
この画像では見にくいので、トリミングしてみますね。
アメリカ大陸を表す女性の足には奴隷制を象徴する足かせがはめられています、女性は斜め上を見上げ手を振りあげて自由を強烈に希求する様を示しています。
《世界の四つの部分の噴水》のオリジナルはオルセー美術館に収蔵されています。また、この噴水は《天文台噴水》と表記されることもあります。
ここに置かれている《世界の四つの部分の噴水》がオリジナルです、2階のバルコニーから近いところに置かれているので上から撮ってみました。
どうですか? アメリカ大陸を象徴する女性の顔がはっきりと見えます、両手を高く上げて何かを訴えかけている表情が見て取れませんか。
この作品の作者はジャン=バティスト・カルポー(1827-75 フランスの彫刻家、画家)彼は19世紀のど真ん中を生きた人です、この作品の中に込められたものは気が付いただけでも、まだまだ地球が完全に把握されていない時代、そして何より人権についてはまだ奴隷制度が完全には撤廃されていなかった時代、ヨーロッパではその時代の世界の状況を受け取って、そういった歴史が木目込み細工のようにこの作品に組み込まれているそんなことを感じ取りました。