秋風に高い空。
今日は土曜で午前授業だった。
いつもならこんな日にじっとはしていられなかったのに。
思わず行く当てもなくでかけることがあったのに。
寄り道もしないで帰宅。
ご飯を食べた後は音楽を聴きながら眠ったふりを4時間続けた。
いつからか身体が動かなくなっていたんだ。
心は萎れて、ついに美しい空に目を閉じてしまうことを勿体無いと感じなくなっていた。
気がつくと4時間。
夢か現かにわかに感じがたい時間だけが過ぎていった。
歌が聞こえた。
大好きなチェンバロが重々しいパイプオルガンの音と一緒に聞こえた。
淑やかな花が咲き誇る丘に踊る美しい人の声は遠く遠く。
目覚めて何かが変わったわけじゃない。
安らかな人が隣にいたあの日も還らない。
それでもその幻は然るべき出来事だったのかもしれない。