さて、9回にわたってお送りした、
記録から振り返る高校野球。
昨年、今年の大会を見て、
単純に『高校野球の傾向、変わったのかな?!』と思ったのがきっかけで、
勝敗の記録をひもとくことによってその傾向を考察しました。
最後は、そのまとめです。
≪記録から振り返る高校野球≫
1.各年代における勝率ランキング
2010年代ランク | |||||||
【春勝率】 | 【夏勝率】 | 【春夏合計勝率】 | |||||
1.北海道 | 0.600 | 1.関東 | 0.619 | 1.関東 | 0.599 | ||
2.東海 | 0.595 | 2.東北 | 0.576 | 2.東北 | 0.537 | ||
3.関東 | 0.566 | 3.近畿 | 0.541 | 3.近畿 | 0.520 | ||
4.北信越 | 0.522 | 4.北信越 | 0.492 | 4.北信越 | 0.500 | ||
5.近畿 | 0.500 | 5.九州 | 0.472 | 5.東海 | 0.473 | ||
6.四国 | 0.471 | 6.四国 | 0.368 | 6.九州 | 0.464 | ||
7.九州 | 0.449 | 7.東海 | 0.351 | 7.四国 | 0.417 | ||
8.東北 | 0.444 | 8.中国 | 0.348 | 8.北海道 | 0.412 | ||
9.中国 | 0.217 | 9.北海道 | 0.167 | 9.中国 | 0.304 | ||
2000年代ランク | |||||||
【春勝率】 | 【夏勝率】 | 【春夏合計勝率】 | |||||
1.東海 | 0.557 | 1.近畿 | 0.580 | 1.近畿 | 0.556 | ||
2.四国 | 0.547 | 2.関東 | 0.548 | 2.四国 | 0.544 | ||
3.近畿 | 0.530 | 3.四国 | 0.541 | 3.関東 | 0.526 | ||
4.関東 | 0.492 | 4.東海 | 0.494 | 4.東海 | 0.521 | ||
5.東北 | 0.491 | 5.北海道 | 0.486 | 5.九州 | 0.483 | ||
6.九州 | 0.488 | 6.九州 | 0.480 | 6.東北 | 0.473 | ||
7.中国 | 0.475 | 7.東北 | 0.464 | 7.中国 | 0.449 | ||
8.北信越 | 0.410 | 8.中国 | 0.432 | 8.北海道 | 0.423 | ||
9.北海道 | 0.294 | 9.北信越 | 0.375 | 9.北信越 | 0.387 | ||
1990年代ランク | |||||||
【春勝率】 | 【夏勝率】 | 【春夏合計勝率】 | |||||
1.近畿 | 0.568 | 1.近畿 | 0.586 | 1.近畿 | 0.576 | ||
2.関東 | 0.553 | 2.関東 | 0.563 | 2.関東 | 0.559 | ||
3.四国 | 0.517 | 3.四国 | 0.547 | 3.四国 | 0.534 | ||
4.中国 | 0.500 | 3.九州 | 0.547 | 4.九州 | 0.528 | ||
5.九州 | 0.487 | 5.北信越 | 0.432 | 5.中国 | 0.445 | ||
6.東海 | 0.444 | 6.東海 | 0.431 | 6.東海 | 0.437 | ||
7.北信越 | 0.429 | 7.中国 | 0.405 | 7.北信越 | 0.421 | ||
8.北海道 | 0.294 | 8.東北 | 0.341 | 8.北海道 | 0.319 | ||
9.東北 | 0.160 | 9.北海道 | 0.333 | 9.東北 | 0.302 | ||
1980年代ランク | |||||||
【春勝率】 | 【夏勝率】 | 【春夏合計勝率】 | |||||
1.四国 | 0.617 | 1.近畿 | 0.626 | 1.四国 | 0.583 | ||
2.関東 | 0.551 | 2.関東 | 0.554 | 2.近畿 | 0.566 | ||
3.東海 | 0.508 | 3.四国 | 0.552 | 3.関東 | 0.553 | ||
4.北信越 | 0.500 | 4.九州 | 0.540 | 4.東海 | 0.500 | ||
4.近畿 | 0.500 | 5.東海 | 0.494 | 5.九州 | 0.496 | ||
6.東北 | 0.487 | 6.中国 | 0.473 | 6.中国 | 0.471 | ||
7.中国 | 0.475 | 7.東北 | 0.362 | 7.東北 | 0.398 | ||
8.北海道 | 0.381 | 8.北海道 | 0.231 | 8.北信越 | 0.327 | ||
9.九州 | 0.371 | 8.北信越 | 0.231 | 9・北海道 | 0.298 | ||
まず、過去36年間での、9地区における勝率の動向から。
80~00年代までの30年間においては、
関東、近畿、四国の3地区がダントツの安定感を誇っており、この3地区が『高校野球3強』と言える。
この3地区で30年間1~3位を独占しており、いずれの地区のいずれの年代でも、
.500を大きく超える実績を残しているのはさすがだと言える。
関東は80年代の3位から始まり、2位、3位、そして1位と、確実な戦績を残した。
近畿は80年代にKKのPLなどの活躍で2位、それ以降1位、1位、3位と推移して来ている。
どの年代にも『核になるチーム』の存在があり、大きく勝ち数を伸ばして来た。
四国は70年代以降『野球どころ』としての地位をガッチリと固め、池田の大活躍が特筆される80年代に1位、90年代3位、00年代も2位と着実に歩みを進めてきた。優勝回数も、4県しかない地区ながらとても多い。しかし10年代に入り、この6年では初めて勝率5割を大きく割り込む.417で9地区中7位と低迷。東北・北信越をはじめとした他地区との対戦の中で、かつてのような優位性を出せなくなってきている。
”3強”以外では、
東海が4位→6位→4位→5位と確実な戦績だ。しかも、どの年代でも確実に5割近い勝率を残し、安定感という点では特筆される。
九州は優勝回数がかなり多いが、県によるばらつきも大きく、5位→4位→5位→6位と推移して来ている。常に5割前後の実績だが、優勝回数も多い沖縄をはじめとした『勝てる県』と『低迷する県』の勝率の差が大きいのが特徴だ。
ここのところ実力をあげてきた東北は7位→9位→6位→2位と飛躍的にその実績をアップさせている。勝率は、80年代、90年代は3割台だったものが、00年代で.473に大幅アップ。そしてこの6年間、なんと.537で関東に続き2位の実績を残し、イメージだけではなく、数字上からもキッチリと『強豪地区』の仲間入りを果たしたことが実証されている。
北信越は東北ほど顕著ではないが、8位→7位→9位→4位となってきており、10年代からの6年間では、初めて勝率が5割を超えた。東北に遅れること10年ほど、いよいよ北信越も、今後の大飛躍への足掛かりをつかんだということが言えそうだ。
北海道は9位→8位→8位→8位と『低値安定』にとどまっているが、00年代の駒大苫小牧の連覇、そして3年連続決勝進出や、15年春の東海大四の選抜準優勝など、時折キラリとした光を見せてくれる。課題は何と言っても初戦突破率。鬼門の初戦突破に向けて、北海道全体で何か対策を打つべきだ。
最後は中国。常に4割台中盤の勝率を残してはいるが、6位→5位→7位→9位と低迷を抜け出すどころか、やや深みにはまっている感がある。特に広島を除いた4県の勝率低迷は深刻で、ここらで強化策を打ち出さないと、追い上げ急な東北、北信越勢の後塵を、常に拝することにつながっていくかもしれない。