左側から見た表情は悲しそうだった。だが下から見ると大きく口を開けて笑っているようで、右からは声を上げて嘆き悲しむように見えたという。池の近くで見つかったそのお面のような石は、島にない岩石で、人の手で作られたようだった。
▲「島」は小笠原諸島の西之島、先ごろ火山活動で拡大した後に初めて上陸調査が行われたあの島だが、「お面」が見つかったのは42年前の調査の時である。その前年の噴火を受けて行われた東海大学などによる調査だった。
▲18世紀にスペイン船に「ロザリオ島」と命名され、また19世紀に英国船が「失望の島」と呼んだ西之島である。「失望」とは何もない島だったかららしく、かつて人間が定住していた記録はない。はてお面は誰がいつ何のために……(青木(あおき)斌(ひとし)ほか著「海底火山の謎」)。
▲3年前からの噴火で以前の10倍以上の269ヘクタールに広がった島の面積である。こんな規模の火山島の出現はあまり例がないというから、神話の世界の天地創造を目の当たりにしているようなものだ。実際、この島の溶岩の分析から大陸形成の謎に迫る研究もあるという。
▲噴火で多くの生物が死滅した島内だが、先日の調査ではアオツラカツオドリなどの鳥類、オヒシバなどの雑草、ハサミムシなどが確認された。他の陸地から遠く離れた溶岩の島にさらにどんな生物が進出し、どんな生態系ができるのか。生命のドラマも始まっている。
▲環境省は生態系保全のため島の立ち入りを原則禁止するよう検討中という。この世に生み出した新たな土地で神さまはどのようなわざをふるうのか。邪魔をせぬよう見守りたい太平洋の創世記だ。
毎日新聞2016年10月29日 東京朝刊
<👀も>
協会のhpがgoogleで一発で検索できた。
マイクロソフト エッジにも1ページに載っていた。
よかったあ~!
yahoo Japanを数ページ見てみたが載っていなかった。表示の順位が、ずっとずっと後ろの方なのだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます