現在、上記の本の解説の仕事をやっております。
マツノ書店さんからのご依頼です。
マツノさんの復刻のお仕事をてつだわさせていただくのはありがたいことに、今回で二度目となります。
いつもマツノさんには史料でお世話になっているので、とてもうれしいご依頼です。
ところで今回の上記の本。
これはたいそう読みやすく、しかも名文でつづられております。
戊辰戦争をメインに敗軍視点で描かれたものですが、
戦だけでなく、そこに至るまでの幕末の政治や主な事件は網羅されています。
中でも奥羽の戦乱と函館戦争を詳しくドラマチックに扱っているので、ぜひ、会津や新撰組ファンの方には手にとっていただきたい一冊です。
会津・北越戦争では智将山川、鬼佐川の面目躍如、
函館でいえばアボルダージュも二股もやや漢文調の胸躍る文章で描かれており、
土方歳三や大鳥圭介が生き生きと活躍します。
もちろん野村や駒井などもきっちりと抑えられており、
会話文も出てきて光景がありありと目に浮かぶようです。
入手が困難で、今までは気軽に読むことができなかった本ですが、ようやく復刻となりましたので、興味のあるかたはぜひ手に入れられてください。
(近日、マツノさんから案内が出ると思います)
たとえば、こんなふうに会話が入ります。
「督将土方歳三は慨然として、天を睨んで大息あり。
『さらば是より敵を五稜郭に受けて大鳥圭介と共に防がん』と。
その夜のうちに二股を発し、長躯して間道より五稜郭の本営に向かう。」
二股のラストです。
他所の敗報を受けて、引上げを命じられたシーンですね。
史料としてではなく、読み物として楽しむタイプの本です。