大卒予定者の内定率が「就職氷河期」を下回る水準にまで悪化した就職難。就職しても3割が3年以内に離職するという現実もあることから、文部科学省は2月末、大学や短大での「職業指導」(キャリアガイダンス)を平成23年度から義務化するよう大学設置基準を改正した。単に「キャリア教育」などの科目を設けるだけでなく、従来の専門教育に職業指導の要素を融合させる動きもあり、教育現場の模索が始まっている。(鵜野光博)
春休みでも学生の姿が絶えない宇都宮大(宇都宮市)の「キャリア・カフェ」。就職情報検索や、学生同士で情報交換する場として昨秋から活用されている。開設したのは同大のキャリア教育・就職支援センター。長崎労働局長など厚生労働省で雇用政策畑を歩んだ末廣啓子氏が同センター教授に着任したのは、平成19年4月だった。
着任当初は驚きがあった。「世の中が変わっていることが、大学の中に伝わっていない」。非正規雇用の増加など、企業側の大きな変化を知らないまま、学生たちは「自己理解」と「適職」にこだわっている。「企業が求めるのは即戦力」という考えも現実とズレていた。「働く企業人を連れてきて、現実を正しく知らせたいと思った」
キャリア教育の授業を行うかたわら、初年度の秋に大学が開いた「キャリアフェスティバル」では企業の人事責任者を招き、1年生も対象に、企業が学生に何を望んでいるかに触れさせた。3年目の昨秋、学部の授業でもキャリア教育を将来的に展開できるよう、各学部から1名の教員が参加してワーキングチームを発足させた。
各学部が縦割りで「隣の学部が何をやっているか分かっていない」ことも着任当初は驚きだった。「縦割りの学部に、キャリア教育という横串を刺したい」と末廣教授。「就職は私の仕事じゃない」という教員の声も聞かれるが、「文章力など社会で必要になる能力は、本来なら専門教育でこそ身に付くもの。既存の授業でキャリア教育らしいものをリストアップすることから始めて、就職支援センターだけでなく、大学全体の問題として取り組む形を作りたい」と話す。
◇
文科省によると、学部の授業でキャリア教育を行う例では、筑波大が各専門分野に「学問と社会」科目を設け、その分野を履修することが自分や社会にどんな意味があるかを考えさせるなどの取り組みがある。
同省によると、職業意識の育成などを目的とした科目は、大学全体の4分の3で既に設置されている。義務化でさらに広がることが予想されるが、同省の関係者は「『キャリア教育』という名の授業をやってほしいという意味ではない」とも強調。「専門をきちんと学ぶことが最大のキャリア教育となることが本来は望ましい。カリキュラムの見直しが必要であり、大学の教育改革にもつながる」と指摘している。
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同省によると、職業意識の育成などを目的とした科目は、大学全体の4分の3で既に設置されている。義務化でさらに広がることが予想されるが、同省の関係者は「『キャリア教育』という名の授業をやってほしいという意味ではない」とも強調。「専門をきちんと学ぶことが最大のキャリア教育となることが本来は望ましい。カリキュラムの見直しが必要であり、大学の教育改革にもつながる」と指摘している。
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