ー 本物 vs 偽物 ー
朝起きたら昨日建てたばかりのトマトの覆いが倒れていた。1時間がかりで作ったのに、筋かいも入れたのに、と恨めしいことこの上ない。昨夜の雨に風が加わったせいである。
トマトは雨に当てるとひび割れると聞いた。だからビニールで覆う。
素人の分際で菜園など始めたのが運の尽き。種まきの時期、肥やしの作り方、水やり、防虫網を掛けるべきか、掛けなくてもいいか等々、わからないことだらけである。キャベツなどは未だもって散々虫に食われてしまう。
と言っても菜園の苦労などたかが知れている。会社の営業であれば、たとえばまずマーケットを区割りし、目標とするマーケットを決め、さらに自社製品の位置づけ、つまり高級品か普及品かを考えた上で見込み客に会いに行く。初対面で買ってもらったとしたら、それは運がよかっただけのこと。あとは日参する。紹介をもらう・・・。これが現実の世界、実の世界である。
ところが最近汗もかかず、頭も使わずに金を手にしたり、仕事を片付けることができるとされる魔法のランプがお目見えした。生成 A I である。A I は Artificial Intelligence 、人工の 知能 という意味らしい。人間が自分の脳細胞を使わない、いわば虚の世界の話だろう。
文書、画像、動画など生成 A I の世界市場規模は2030年までに30兆5000億円になるという予測もある(産經 2024.3.14)。
人間、良心に従えば明らかにおかしいのに、法律では禁じられていない場合、正しいことをするか、好都合なことをするかの選択に直面しジレンマに陥ることがある。
芥川賞で A I が使われたことは周知のとおりである。小説に限らない。仮に X という食品添加物があるとする。これを入れるとうまみが出るし食品に入れることは禁止されていない。ところが体内で他の添加物 Y と一緒になるとガンになる可能性があるとする。
上のふたつ、正しい選択はいうまでもなく芥川賞では A I を使わない、添加物では X を入れないことである。
残念ながら法律さえ守っていればいいという個人や会社は多く、正しい選択をするそれは少ない。そういう個人や会社の存在を許す、あるいは見て見ぬふりをするのであればそれはそれお国柄というものであろう。