リビングで夕食を作りながら、息子が弾くピアノを聴いている。
なんだか幸せなひととき。ここちのよい時間。
私が弾いて欲しいと頼んだショパンのバラード。あの羽生君のショートプログラムの曲。
息子は高3の春にピアノのレッスンをやめてから、気晴らしなのか以前よりも自宅でよく弾いている。
高3まで習っていたといっても、真剣にやっていた訳でなく、部活が忙しかったので自宅での練習はほとんどせず、先生のお宅へ練習に行くという感じでゆるく続けてきた。
だから小学校1年生からずっと続けこられた。 最初は厳しい先生だったけれど先生がご多忙になってしまいレッスンができなくなってしまった。しっかり教えて下さっていたので残念だった。仕方なく途中で若くて優しいお姉さんの先生にかわった。
でもそれがかえってよかったのだと思う。息子はピアノが好きみたい。私の時みたいにピアノがリビングの置物になっていない。
そんな感じでゆるく続けてきたので、楽譜なしで弾けるレパートリーはゼロだけれど、レッスンをやめて部活も引退してからは、自宅で気晴らしに毎日のように弾くようになった。
お馴染みのショパンの曲を自分で練習したり、過去に先生にレッスンして頂いた曲の中でお気に入りのものを弾き直したりと。
もちろんCDのようにはいかないけれど、ここちのよいピアノの音色を聴きながら、夕食を作るのは楽しい。
こんなふとした瞬間に、満たされた幸せな気持ちになる。
でもこの当たり前の日常の風景も、近いうちに当たり前でなくなるのだと思うと淋しい。
今年は、ずっと続けてきた仕事もかわる。 当たり前だと思っていた日常はいつまでも続かない。
今を大事にしなければ。 若い時にはなかなか感じなかったことだね。