平均寿命が延びて、今や「人生100年時代」などと言われている。
しかし、自分の裸の姿を見れば、現実に引き戻されるはずだ。
これは老人だけの話ではない。
若者だって体を鍛えなければ、無残な姿になってしまう。
だいたい、元気なままで、人生100年を謳歌できる人間など、あまりいない。
高齢な政治家や企業経営者も、スーツを着て、髪の毛を染めていれば、何とか年齢による見た目の衰えをごまかせる。
しかし、裸の姿は残酷だ。
だぶだぶになった二の腕や太もも、たるんで変色した臀部や股間、醜く膨れあがった腹。
人間というものは加齢により、若い頃とは別人のようになってしまう。
犬や猫、牛や馬などは、加齢で外見が大きく変化することは、あまりないように見える。
体毛のせいかもしれないが、おそらく、裸の外見に変化が生じる前に、死んでしまうからだろう。
しかし、人間は、裸の外見に大きな変化が生じても、まだまだ生き続ける。
医学の進歩のおかげだ。
そうは言っても、もし世の中の人々が、老いも若きも、裸で生活していたとしたら、老人の姿を見て「人生100年時代」などと言い出す人は、一人もいないだろう。
もし、この国の政治家や企業経営者が、スーツではなく、裸だったら。
「こんな人達に、国家や企業を任せておくことなどできない」と誰もが思うのではないか。