Hiroshi Mukaide(向出博)Time Traveler

法学部は 「自由と民主主義」という価値観を 現実世界で具体化するために必要な「法の支配」を実現する人材を育てる場 - 進路に迷ったら 法学部に行こう

 
岸田首相は、「法の支配」という言葉が大好き。
確かに、この言葉通り、世の中の全ての仕組みや制度やルールは、法律で表現され、コントロールされている。

だから、法律を学ぶということは、この世界を学ぶことと同じ。
それなのに、最近、法学部やロースクールの人気がなくなっているらしい。
法学部OBとしては、残念でならない。

「ガバナンス」とか「コンプライアンス」なんて聞いたことが無かった昭和の時代でさえ、「法学部はつぶしがきく」と言われていた。

当然のことながら、「ガバナンス」「コンプライアンス」が溢れかえっている今こそまさに、法律によって現実世界を司る法学部生が、活躍できる時代だろう。

司法試験や公務員試験ばかりでなく、民間企業に入っても、法律の知識は、圧倒的に有利。
それなのに、なぜ法学部が不人気なのか、不思議でしょうがない。
 
「法の支配」、国家権力を法で拘束し、濫用させないという英米法の基本理念。
この言葉を現実に即して解釈すれば、「法を司る者が、この世界を支配する」という俗物的な意味でもある。
 
子供の頃から理系を目指していたのに、思いも寄らず、中央大学法学部に入ってしまった私は、法律には全く興味がなかった。

興味がないというよりは、法律というものの存在すら、ほとんど意識したことがなかった。
 
そんな人間だったから、法律を学び始めて、六法全書を読んだとき。
この世の中は、全て法律によって表現されていると分かって、本当に驚いた。
 
たくさんの人間の、様々な意識と行為によって日々生み出される、複雑で捉えどころのない現実世界。
 
そんな現実世界を、膨大な文言を駆使して抽象化し、仮想現実世界として再構築したのが法律。
そんな現実世界を文字に落とし、規範化した法律の集大成が六法全書だ。
 
六法全書は、現実世界を投影した仮想現実の世界。
まさに、現実世界のガイドブックなのだ。
 
それを学ぶことができるのが法学部。
なんと素晴らしい学部なのかと感動した。
 
法が全てを支配するこの世界の帝王学。
それが、法学だと言っても過言ではない。

企業に入ってから、それは確信に変わった。
現実世界での様々な経済活動も、全て法律に従って行われているからだ。
 
営業活動の最終目的である契約を司るのは、民法、商法などの契約法。
事業活動の主体である会社を規制する会社法。
経済活動を規制する金融商品取引法や独占禁止法や労働法などなど。
 
とにかく、この世界は、何から何まで全て法律で表現されている。
そして、その法律が、この世界を律している。
だから、法律を学んで、司る人間は、法律を知らない人間相手なら、無敵。
 
日本とは比べものにならないレベルの法律、訴訟社会のアメリカでは、とにかく弁護士無しでは何もできない。
 
極端な例になるが、日本でも、法に則っているから、裁判官は、犯罪者に死刑を言い渡すことができる。
 
思えば、社会が今よりシンプルで、法律など意識しなくても、常識だけで十分だった昭和の時代。

まだ、法律の専門職に就きたいから法学部という時代ではなかったのに、なぜか法学部は人気があった。
おそらく、就職先の幅が広く、総合職人材としても有利だったからだろう。

それから時を経て、社会が複雑化し、アメリカのような法律社会となった今。
法律を学び、法律を自在に操る力を付けた法学部生は、総合職ばかりでなく専門職として、日本ばかりでなく世界で活躍できる時代になっている。

だから言いたい、「進路に迷ったら、法学部に行こう」と。

AIの時代が進んでも、生身の人間が存在する限り、法律家は、AIの代理人として生き残れる。
さしずめ、AIの代理人のトップが、首相ということだろう。




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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