良きにつけ悪しきにつけ、日本の戦後政治を担ってきた自民党、その最大派閥の安倍派が政治資金パーティーをめぐる裏金問題で危機に瀕している。
民主主義国家の政治家と言っても、結局、政治そっちのけで金集めに明け暮れているのかと思うとガッカリする。
この国の政治家は、強欲資本主義の権化となってしまったのか。
ただ、そんな政治家に同情したくなるくらい、最近の資本主義は狂っている。
アメリカの異常なまでの資本主義がその最たるものだ。
プロスポーツ選手に、数100億、いや1000億円を超える報酬なんて聞いたら、まともに働く気がしなくなる。
彼らから見たら庶民なんて虫ケラだろう。
よく考えて欲しい。
自由と民主主義と言う免罪符だけで、このまま異次元の格差を拡大して、そのせいで国民がヤケクソになったら、革命やクーデターだって起こるかもしれない。
それなのに、自由と民主主義国家の為政者たちは全く見て見ぬふり。
それどころか、今回の自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金問題を見ていると、為政者自身も、金、金、金でヤケクソになっているようだ。
もういい加減に、この異常な資本主義を抑制しないと、世界は、金の亡者となった為政者や軍事産業や武器商人に潰されかねない。
そもそも資本主義は、競争の勝者が富を総取りしてもかまわないという、平等を嫌い格差を是とする弱肉強食。
だから、一握りの人間が資本主義の勝者となって富を独占してもかまわないというとんでもないイデオロギー。
そんな競争の勝者の周りで飢えて命を失う人間が何億人いようと、資本主義の勝者たちは何もしなくていい。
国家予算のような莫大な富を独り占めして、好き勝手に使い放題。
同僚に高級自動車を送ったり、グローブを配っただけで、褒め称えられる大金持ちのスポーツ選手。
それにひきかえ正月返上で、命懸けで救助にあたる自衛隊員や警察官、消防士の皆さんは、黙々と尊い任務を果たしているのに無報酬。
本当に気分が悪くなる。
彼ら彼女ら大金持ちは、資本主義の勝者ではあっても為政者ではないから、たわいの無いことでも何かするだけで褒め称えられる。
冗談じゃない、あなたたちが使いきれないような大金を稼げるのは、名も無いたくさんの人々が国家や世界というインフラを維持しているからだろう。
話を戻そう。
狂ってきた資本主義のせいで、この国の為政者は自分たちの金集めに精一杯。
しかも、自分たちの政治責任を棚上げにして、資本主義の敗者に向かって「自己責任」だと突き放して知らんぷり。
所詮、この国の為政者にとっては、国民なんて選挙の票に過ぎない。
その票も金さえあれば買えるから、金の亡者になる。
とにかく為政者にとって、金にならない庶民なんてとうでもよいのだろう。
だから、大企業や富裕層にしか関心が向かなくなる。
資本主義は、残酷な競争至上主義。
その残酷さを「自由と民主主義」という耳ざわりの良いマジックワードで覆い隠しているだけ。
「競争」という言葉に「自由」を付けて「自由競争」とする小賢しいレトリックで庶民を騙している。
そもそも「資本主義」と「自由と民主主義」なんて共存不能な価値観だ。
競争の敗者にも自由や人権はあるが、金が無い限り、その自由や人権を享受することはできない。
そもそも日本人は、そんな資本主義の異常さを理解していないようだ。
よく聞く話だが、裁判で損害賠償請求をしている被害者が、加害者が謝ってくれさえすれば、お金は要らないと言うことがある。
被害者にそんなこと言わせる文化になっているこの国が恐ろしい。
違うだろう。
謝ってくれなくてもいいから、とにかく金だけはよこせというのが、狂ってはいるが正しい資本主義社会の文化。
それを理解してない日本人が多すぎる気がする。
そのせいで、日本は経済が停滞してきたとまでは言わないが、もっと資本主義に相応しい考え方を身につけないと、グローバルな強欲資本主義の世界で負け続けることになる。
ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスの戦いが続き、世界は迷走するばかり。
その中で日本のGDPは世界4位に陥落。
一人当たりのGDPにいたっては世界34位という体たらく。
早く、世界の中での日本の危うさに目覚めないと、安全保障も経済再建も政治浄化も立ち行かなくなる。
日本人に残された時間は少ないからだ。