名家に生まれて「首相」への道を真っしぐらに歩んだ、類い稀な幸運に恵まれた安倍元首相が活躍できたこの国について考えてみた。
日本は、勤勉な国民の弛まぬ努力と忍耐のおかげで、世界でも類を見ない安定した経済を構築し、平和な日々が続いてきた。
そんな安定した日々の中、いつの間にか、政治家や経営者などの支配層の世襲化が進んだ。
安定していたからこそ、いったん政治家や経営者に成り上がってしまえば、失脚や下剋上の心配もなく、その地位を世襲化できる。支配層にとっては素晴らしいことだ。
ところが、安定した経済のこの国も、ここ30年は成長とは無縁。
そのせいで、支配層に成り上がるためのチャンスは減り、成功への道は狭まるばかり。
国民の階級の固定化の始まりだ。
「裸一貫」実力だけで成り上がれた高度経済成長期のようなチャンスがなくなったので、どうしても支配層におもねるしか成り上がる手立てが無くなった。
だから、有力な政治家や経営者との密接な関係を築けるかどうかが成功の鍵となってしまった。
そのせいで、有力な政治家や経営者のもとに成功を目指す人々が群がり「利権や金」を貢ぐ「縁故資本主義」、「縁故民主主義」の時代へと向かっている。
支配層に「富と権力」が集中する「縁故資本主義」、「縁故民主主義」を何とかしない限り、この国の「格差拡大」は止まらない。
このままでは「自由と民主主義」は形骸化し「階級社会」へと真っしぐらだ。