番外編 ヨソの犬の話

春に　知人の犬が　亡くなった
３ケ月が経ち　いまだ　彼女は泣いている

　　あの子の匂い　温もり　毛の感触
　　体が覚えていて　忘れられない

すごく　わかるよ　ホントだよ

　　毎日泣いても　まだ泣ける

そうだよね　ビックリするくらい　泣けるよね
でもね　大丈夫　時間って　すごいんだ

ちぎれるような悲しみから　一歩一歩　遠ざかる
あふれるような愛おしさは　ちゃんと一緒に　連れて来る

今は　いっぱい泣いて　ゆっくり思い出して　少しずつ元気になって　
いつか　たくさん可愛かった話をしよう


きっと　虹の橋のたもとは
飼主待ちのワンコで　ぎゅうぎゅうなんだろうな

深夜の犬散歩

午前１時　月明かりの中　コンブと散歩に行ってきた
先月後半から今日まで続いた　仕事でテンテコマイの日々

　　コンブ　お待たせ　散歩に行こう
　　ごめん　今日もこんな時間に　なっちゃった

１日２回の散歩は　ここんとこ　ずっと　昼と深夜だ
夜型の私は　ちょっとテンパるとすぐ　朝寝　昼起きになってしまう

ひんやりした空気の中　怪しげに鳴く鳥　ご機嫌なカエル
突然出くわし固まるキツネ　防風林の上に滲む半月

ちょっと楽しい　コンブとふたり　誰もいない深夜の散歩


ムクも　夜散歩が大好きだった

他の犬に吠えずにいられないムクは　誰にも会うことのない夜の住宅街を
あっちこっち　寄り道しながら　のんびりいそいそ　散歩する

私も　他の犬に気を付けたり　飼主さんに気を遣ったり　しなくていい
月を見ながら　小さく歌いながら　のんびりゆっくり　散歩する

ムクが　年老いて走れなくなってからは　深夜限定ノーリード
ムクは　私が付いてくるものと信じ　振り返ることなく　先を歩く

　　少しは　私がいるかどうか　気にしてみたらどうなの
　　こっちは真っ暗な中　黒いお前を見失わないよう　目を凝らしてるんだよ
　
ノーリードでも走り去ることなく　いつものコースをぐるりと回り　家に帰る
自分の意思で　一緒にいてくれてるんだと　何度でも　うれしくなる


いつものように　ムクを思い出しながら　コンブとの夜散歩
急に足が止まる　コンブが　びっくりして　振り返る

　　大変だ　コンブ　　ムクの命日　過ぎちゃった

６月２日は　修羅場の真っ最中　仕事と仮眠の繰り返しで　必死だった
合間合間に　コンブの散歩とご飯　ものすごい早さで　時間が過ぎていた

　　あー　やっちゃった　まだ　たった２回目の命日だったのに
　　ちぎれるほど悲しく　どうしようもなく辛かった　ムクの日なのに

ムクは旅立ち　私はここで　食べて眠って仕事して　毎日を生きている
ムクを失った悲しみよりも　ムクと一緒に過ごした楽しい記憶が　大きくなる

　　ごめん　ムク　ちょっと遅くなったけど　お前の好きだった　パンとお魚　買ってくるよ
　　お供えするよ　一緒に食べよう　　コンブにも　分けてあげていいかな
　　いっぱい思い出すから　今晩ちょっと　そこから遊びに　来てくれないかな


　
『ムクちゃん、パンを買いに行く』ご近所のAちゃん画

なんてことない 独り言

全然　ブログを書けないでいる
現実の時間が流れ出し　自分の生活でいっぱいいっぱい

もうすぐ２回目の　ムクの命日が来る
二年前の今日　ムクは　余命宣告をされた

命日に合わせて　旅立ち　書いちゃおうかな
そう思って　当時のメモや　LINEを整理し始めたけど

やはりいまだに　胸が詰まる
旅立ちの前に　まだまだ　書きたいことがある

ムク　ごめん　やっぱり　もうちょっと待って
来年は　ほら三回忌だし　何か分からないけど　区切りっぽいし

もう１年　お前のことを書く　チャンスをちょうだい


それと　二代目コンブのブログ　こっちに引っ越してきてもいいかな
ガラケー終了にともない　あっちのアドレスが　使えなくなっちゃう

それに　コンブに対する想いと　ムクの想い出が　もう一緒くたなんだ

今まで書いた　コンブのブログ　どうやって移したらいいのかな
地味に　コピー＆ペーストしてくしかないのかな

こうなると　まだ　あまりたくさん書いてなかったのは　幸いかも

コンブは　元気だよ　全然　懐いてくれないけど　ちょっと　慣れて来たよ
ムクと　全然タイプが違って　それもまた　面白くて可愛いよ

正直　一年以上経つのに　こんなに懐かないものとは　思わなかった
手ごわいな　元野良犬　負けないぞ　可愛がっちゃうぞ


来年の命日まで　ちょっと頑張って書くよ　会いに来るよ
またね　ムク

ふたり暮らし107 巨峰じゃない

コンブは全然　庭でいい顔してくれない
今年の野菜たちは　コンブの小屋に持ち込んでの　撮影となった

　　ちぇー　ムクはいつでも
　　いいよーって　一緒に写ってくれたのになあ

なんて思ってたら　思い出した　ムクも最初は　逃げ回ってた
置かれた野菜から　急いで離れて　遠巻きに見てた

もう少し仲良くなったら　コンブも　いいよーって　付き合ってくれるかな
何年経っても　庭で仁王立ちかも知れない　まあ　それでもいいんだけどさ

ムクとコンブ　違うとこ　似てるとこ　どっちも可愛い　どっちも面白い
よかった　どっちでも　楽しくてしょうがない


　今日はブドウだね！

そう　ムクが来る前　引っ越してきてすぐ
張り切って　巨峰の苗木を　植えたんだ

　えー　巨峰には見えないけど

そう　巨峰は　大きくなる前に　枯れちゃって
残った巨峰の根っこから　また新しい木が　ぐんぐん伸びて来たんだよ

でも　どうやら　接ぎ木の苗木だったらしくて　原種に近い実がなったんだ
その実は　巨峰みたいに大粒じゃないし　色も薄くて皮も硬い

でもね　ほったらかしてても　ちゃんと実るんだよ　すっごく甘くなるんだよ
いいでしょ　そういうたくましいヤツが　大好きなんだ

　じゃあ　結果オーライだ！

いーや　むしろ　望むところだ！

ふたり暮らし106 ムクと札幌大球

　キャベツだ！

　美味しそうだね♪


いやいや　ムク　私が買ったのは
　札幌大球の　種なんだ

　デカッ！？


なんでかなー　大きくならなかったなー
こんな写真　撮りたかったのになー



　合成じゃん！！

ふたり暮らし105 ムクの庭とコンブの庭

ムクは　ウチの庭が　大好きだった

散歩から帰って来ても　どんなにたくさん歩いてきても
必ず　庭に行きたがり　リードを外し　ひと遊びした

フェンスで囲まれた庭の　隅々まで見回りチェックし
目の前の道路を通る　散歩犬たちに吠え
草の上にひっくり返り　陽の光を浴びて　ぷーぷー寝てしまう

ムクが　庭を楽しんでる間に　私は　ちょこっと　畑の世話をする
そんな　一生懸命に畑を作る気は　なかったんだけど
ムクに付き合ってるうちに　なんだかんだと　野菜ができる

　ズッキーニ　デカいよね

ムクー　聞いてよー

残念ながら　コンブはそんなに　ウチの庭が　好きじゃないんだ
まだ　慣れてないせいかも　しれないけど
庭に連れてったら　仁王立ちで　私をにらみつけるんだ

ちょっと　コンブをほったらかして　畑の世話をしようものなら
何とか庭から脱出しようと　小さなすき間に鼻をねじ込み　バタバタしてる

のんびりしてよー　楽しんでよー

今年は　コンブを家に入れてから　ひとりで畑の世話してた
来年は　一緒に庭で過ごせたらいいな　好きになってくれないかな

ムクと過ごした　幸せな時間
コンブにも　たくさん幸せで　いて欲しんだ

　だからなんで　こんなデカくするの　ズッキーニ！！

番外編 一緒くた

最近は　ムクの思い出と　コンブの今が　一緒くたになってしまう
分けて描くのが難しくて　どうしようかと思ってるうちに　時間が過ぎる

まあ　いいや　アッチにもコッチにも
書きたい方に　二匹のかわいい　ウチの犬の話を書こう

どうせもう　どっちに何を書いたか　自分でも　分からなくなってるんだ
何度も同じ話をする　おばあちゃんのように　書きたいことを　何度でも書こう


追い詰められて　どうしようもなくて　ギリギリで始めた　このブログ

時間が経って　こんな気持ちになれるとは　思わなかった
ムクのことを楽しく　少しだけさみしいけど　思い出せることが　うれしい

がんばって生きてる　かわいいコンブが　
がんばって生きた　かわいいムクを　思い出させる

ゆるゆる　気楽に　一緒くたで　続けます

ふたり暮らし104 ハロウィンかぼちゃ

　カボチャだ！

　デカくない！？


いやいや　ムク　私が買ったのは
　この種なんだ

　あっ それなら小さいか。。。

そう　農薬の希釈を間違って　枯らしちゃった
それで　MAX　なんだよ　残念ッ！！

　残念ッ！！

番外編 ご無沙汰です

今　テンテコしてて　全然書けない
※ ウチの犬２ 参照

すごく書きたい　ちゃんと全部　ムクの思い出を書きたい
なんなら　旅立ちを書く覚悟もできた　

だけどその前に　まだまだ　書きたい話があるんだ
ヨボヨボのムクだって　超　可愛かったんだ

***

hys1110さん
ココのママさん
happybonnieさん

すごく　つらくって悲しくって　ちぎれそうだった時
コメントをくださって　ありがとうございました

余裕がなくて　全然　お返事できなかったけど
それでもいいって書いてくださって　何度もコメントくださって

本当にうれしくって　泣きながら　何度も何度も　読み返してました

みなさん、同じ思いをされてる　今　幸せに過ごしてる犬がいる
そう感じるだけで　とても救われる思いでした

返事もできなかった　失礼過ぎる私に
温かい言葉をかけてくださり　本当にもう　感謝しかないです


ちょっとずつ　過去のコメントにお返事しても　いいかなあ
ムクの話を　思い出しつつシッカリ書くような　余裕はなくても
ちょこちょこ　お返事は　書けそうな気がする

イッキに全部とは　いかないけど　ひとりよがりな　お返事だけど
返していきたいな　きっと　ゆっくりになると思うけど

たくさんの人　たくさんの犬　たくさんの命のおかげで
えいやっ　と　前を向くことができた　

たくさんの　すべてに　感謝

ふたり暮らし103 かかりつけ医

先生はカルテを見て　ちょっと考えてから　言った

　　　今　ムクちゃんは　お腹を壊し　治療中です
　　　怖がりで　神経質なこの子には　あれもこれもの治療は　負担になるし
　　　薬が重複するのも　どうなのかなあ　と思います

　　　そこで提案なのですが　人間にも動物にも　自然治癒力というものがあります
　　　なので今は　この子の自然治癒力に期待して　この出血は　様子見にしませんか

えーっ　そんな診断があるの？　　びっくりした　でもすごく　うれしかった

結論からいうと　その時の出血は　自然治癒力とやらで　治まった
お腹の治療に専念してるうちに　それ以上　悪化することなく　治まったのだ

ムクは　最後まで　そこの病院に　お世話になった

聞きもしないのに　徹底的に　病状や治療法を　説明してくれる先生だった
こうでこうだから　こういった治療をしたいと思うがどうだろう　と聞いてくれた

変型した背骨の痛みを緩和する　すごい高いサプリを勧められても
副作用皆無で　かゆみだけを止めるという　怪しげな薬を勧められても
この先生が勧めるのなら　と　安心して　受け入れることができた

突然の余命宣告も　その後の治療の選択肢も　淡々と　ハッキリ教えてくれた
その先生だから　信頼してたから　落ち着いて　受け入れることができた


その話は　もう少しあとで　書こう
まだちょっと　書きたくない感じ　自分勝手な　わがままブログ

もう少し　続けます

ふたり暮らし102 かかりつけ医

とにかく　ムクは
病院にお世話になることが　多かった

尿道炎は繰り返され　ことあるごとにお腹を壊し
吐き戻しも多く　お腹が空っぽだと　胃液まで吐いてしまう

指や体を　舐め壊し　搔き壊し　咬み壊し　血がにじむ

散歩中　急に　ギャン！と叫び　うずくまり
30秒後に　普通に歩き出すという　謎行動が　何度もある

その度　いろんな病院を渡り歩き　いろんな先生に会う
なんだか　ピンと来ない　ダメではないけど　任せる気になれない


ある時　お腹を壊したムクを連れて行った　実家の近くの病院
待合室でビビるムクを　励ましつつ　仰向け抱っこしていたら
下腹部から　また出血してることに　気が付いた

　　　あー　まただ　お腹壊してるのに　尿道炎もかー
　　　ムク　可哀想に　踏んだり蹴ったりだね　泣きっ面に蜂だね
　　　また　薬が増えちゃうね　ムクは　薬ばっかり飲んでるね

ムクの順番が来て　診察室に入り　先生に診てもらう

　　　何？　どしたの？　出血？　あれ？　いつから？　えっ　今？

先生はカルテを見て　ちょっと考えてから　言った

ふたり暮らし101 名医 なんだけど

繰り返される　出血の理由が　分かった

たぶん尿道炎　と診断した近くの病院も　間違ってはなかったけど
尿道炎になるべくしてなった　原因と対策まで　踏み込んではくれなかった

ありがとう　名医！　すごいよ　名医！

でも　名医の元に通ったのは　その時の尿道炎が　治るまでだった
変わり者の名医は　自信の現れなのか　すべてがザックリしてた

診察台の上には　雑然と荷物が置かれ　使う時に　バサバサと除ける
むき出しの錠剤を　チャック付きのビニール小袋に　素手で数えて入れる
マジックで『朝夕２錠』とか　小袋に書き　そのままつまんで　渡される
診療明細はなく　『8,000円』とか　金額だけをメモ用紙に書いて　渡される

あのー　これは何ていう薬なんでしょうか　　おずおずと聞いてみる
チラッとこちらを見て　メモ用紙に　薬の名前だけ書いて　渡される
うーん　効能とかは　自分で調べろ　ってことなのか
それとも　どうせ聞いたって分からないだろ　ってことなのか

診察代がいくらで　薬代がいくらなのか　初診料すら　分からない
でももう　聞く勇気がない

尿道炎は　なんの問題もなく　順調に治った
おおもとの原因まで教えてくれて　本当に安心したし　感謝もしてる
でももう　行く勇気がない

怖いよ　名医！　変わり過ぎだよ　名医！

ふたり暮らし100 名医

えっ

いやいや　まだムク診てもらってないし
チラ見の目視だけで　尿検査もしてないし

驚きつつも　何か言いたげに　口をパクパクしてる私を見て
『尿道炎だよ』　と　もう一度　言った

　　いいかい　コレ　透かして見てみな
　　キラキラしてるだろう

渡されたスピッツを　灯りにかざすと
確かに　キラキラした粉みたいなものが　浮遊している

　　尿結晶だよ　コイツが尿道を　キズつけてる　だから　炎症を起こす
　　この犬は　結晶ができやすい体質なんだな

尿結晶？　ああ　だから何度も　繰り返されてたのか
モヤモヤしてたものが　スーッと晴れ　ものすごく納得した

　　以前のことは分からん　ただ今回は　間違いなく尿道炎
　　通常　尿結晶は食事療法で　対応するんだが
　　食事を変えたばっかりだって　言ってたね　まあいいわ
　　今回は　薬で様子見て　また炎症起こすようなら　考えよう

名医！　すごいよ　名医！！

前の病院でも　出血の度に採尿してたけど　結晶については触れなかった
まだ病院に来て　10分も経ってないよ　ムクを触るどころか　見てもないよ

すごいよ　なんて変わり者の　名医！！

ふたり暮らし99 名医

紹介してもらった病院は　
町の外れの外れの　坂の上の住宅街にあった

あまり　病院では見たことの無い仕様で
診察室へのドアはなく　ワンフロアがカウンターで
待合コーナーと診察コーナーに　区切られていた

受付もなく　看護師やスタッフもおらず
診察コーナー側に座っていた　医者と思われる人が

『はい』　と　不愛想に顔をあげた

トレーナーさんに　紹介されて来たこと
ここ３年　ほぼ半年周期で　出血を繰り返してること

オシッコの試験管（採尿スピッツ）を渡しながら
失礼のないよう　ドキドキしながら　説明する

医者はスピッツを受け取ると　灯りにかざし
私の説明終わりに　食い気味に

『尿道炎だな』　と　言った

ふたり暮らし98 名医

一発で　ムクのキツネを　落としてくれた　トレーナーさん
下腹部からの出血についても　気にしてくれていた

　　尿道炎…　なのかもしれないけど
　　ほぼ　半年周期ってのが　気になりますね
　　もしよかったら一度　こちらへ行ってみませんか

紹介されたのは　車で30分　となり町の外れの病院

　　先生は　すごく変わり者　でも私は信頼してます
　　遠いから　普段は行かないんだけど
　　大変な病気の子は　ここで診てもらってます

行ってみよう　今度出血したら　すぐにでも
尿道炎なら　尿道炎でいいんだ　その都度　治せばいい
ろくに検査もしないで　ハイ薬　ってのがイヤなんだ

ただ　変わり者かー　やだなー　大丈夫かなー
私は普段　取り繕ってるけど　ムク以上に　人見知りなんだ

いや　そんなこと言ってられない　わかってる
でもさ　ムク　できればもう　出血しないで欲しいなあ
変わり者の先生になんか　会いたくないんだよ

って　心の底から願ってたのに　ムクはまた　出血した

よし　朝イチでオシッコ採って　変わり者先生に会いに行こう
トレーナーさんイチオシの名医に　診てもらって来よう

期待と不安で　ゴチャゴチャだ