みかんのつぶやき。植物とか妄想とか愚痴とか情報のゴミ。

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コンコンとサッシをノックする音。


誰かいるの。まだ夜明け前なのに目


が醒めたじゃない。


電気をつけて、外を見る。


一匹のチャトラの猫がこちらを覗い


ている。


えっ、うそ。その姿はおよそ2年半


前に虹の橋のたもとに旅だった我が


愛猫ミミではないか。


額のM字模様、クレオパトラライ


ン、尻尾の先が鍵の字のように曲が


っているところ。なにから何までミ


ミなのだ。


ミミ、あんた生きてたの。


サッシを開けると、するりと中に入


って来た。


両の前足をあげて自分の頭を私の手


に擦りつける仕種。


若いときのミミそのもの。ぽっちゃ


り体形に戻っている。


どこにいたの。今まで寂しかったじ


ゃないの。


抱き上げてほほずりする私。


ゴロゴロと喉を鳴らす音が懐かし


く、愛おしい。


お腹すいてないの、水、あるよ。と


皿に水を入れて差し出す。


ピチャピチャと美味しそうに飲んで


いる。


そのうち、夜明けが始まった。外は


暗闇から群青の空に変化する最中、


ミミは不意に外に出て行った。


待って、どこ行くの。私も慌ててサ


ンダル履いて外に出て行く。


ミミは外で私を待っていた。そし


て、走っては私を振り返りながら、


待つ。また走り、振り返っては待つ。


何回繰り返しただろう。


気がつくとシャッター通りである商


店街の入口に来ていた。


夜は完全に明け切らず、まだ、ほん


のり薄暗い。

続く

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