https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30E420Q4A830C2000000/
【シリコンバレー=山田遼太郎】米半導体大手エヌビディアの株価が3日、前週末比で9%強下落した。同社の半導体を使って開発する人工知能(AI)の実需が伸び悩むなど、AIブームにくぎを刺す指摘が相次ぎ、投資家の警戒感が高まっている。重要な経済イベントを前に慎重姿勢が強まる中、こうした懸念材料に反応した面もありそうだ。
エヌビディア株は前週末比9.5%安の108ドルで3日の取引を終えた。取引時間終了後に2024年5〜7月期決算を発表した8月28日の終値から、3営業日で約14%下げた。売上高が前年同期比で2.2倍、純利益は2.7倍と力強い内容だったにもかかわらずだ。
投資家を慎重にさせているのが、同社の半導体を使って開発するAIの需要が市場の思惑ほど伸びていないという指摘だ。AIの用途が広がらなければ半導体の需要も伸び悩む。
米ベンチャーキャピタル(VC)大手、セコイア・キャピタルは、現在のエヌビディア製半導体の購入規模に見合ったAI関連の売上高を、各社がいくら必要としているか計算した。
マイクロソフトやアップルなど米巨大テックを含め購入企業全体で6000億ドル(約87兆円)必要なのに対し、実際は足元で1000億ドル程度にとどまると分析した。消費者や企業が使うAIサービスの実需が5000億ドル(約72兆円)不足している計算になる。
米投資ファンドのコーチュー・マネジメントはエヌビディア製を含めたAI半導体への投資が増え続けた場合、30年に購入企業全体で3.6兆ドルのAI売上高がないと持続的な経営ができないと指摘する。
身の回りのAIを使ったアプリを見渡すと、米オープンAIのChat(チャット)GPTは週あたりの利用者が世界で2億人を超え、22年11月の公開から急速に広がった。
だがそれに続くヒットアプリは限定的だ。特に消費者向けでは、チャットGPTに近い対話型AIサービスを手がける米キャラクター・ドットAIや米インフレクションAIが十分な収益を上げる見通しが立たず、24年に入って開発体制を大幅に縮小した。
伸び悩む実需を考慮し、購入企業が半導体投資を見直す可能性もある。QUICK・ファクトセットによると、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタの4社の年間の設備投資は、24年12月期(マイクロソフトのみ25年6月期)が前年比36%増を見込むのに対し、25年12月期は今期比1割の伸びにとどまる。
マイクロソフトのエイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は7月下旬、AI向けの需要が想定を下回った場合、エヌビディアが主に手がける高性能の半導体への投資を遅らせることが可能だと説明した。
株式相場の地合いも影響した。6日発表の米雇用統計や17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)など相場を大きく左右するイベントを控え、買いを抑え利益確定で売却するなど慎重な投資家が多い。こうしたタイミングでは通常より懸念材料への反応が強まり、株価下落を見越した売りが進みやすい。
エヌビディア株の行方は24年11月〜25年1月期に出荷を始めるという次世代のAI半導体「ブラックウェル」の販売が広がるかが焦点の一つとなりそうだ。
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-03-18/SAK9ZOT0AFB400
0345525onodera さんが 2023年09月05日 に書かれた記事をお届けします。 | ||||
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