妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

『あまちゃん』24週、夏ばっぱやメガネ会計ババアたちが見てきたもの、これから見るもの。

2015-09-19 18:58:33 | 朝ドラ
『あまちゃん』24週、「おら、やっぱりこの海が好きだ!」の感想まとめ。

『アマゾン』や『小林感』のネタが出るってことは、もう最終週が近いんだべな。



個人的に今週のMVPはメガネ会計ババアといっそんと梅さんにあげたい。

現実に起きている豪雨災害、南米での地震……災害を描くということの難しさを改めて考えた回でした。






関連リンク

『あまちゃん』23週、まとめその2.さよなら、またね、ただいま、おかえり。

『あまちゃん』23週、まとめその1.あまちゃんの描いた東日本大震災

『あまちゃん』22週、まとめその2。132回を通して描かれた幸せの形。

『あまちゃん』22週、まとめその1。前髪クネ男の功績を真剣に考えた。

以前のもの、本放送当時の記事はこちら。
朝ドラ感想記事のまとめ。





■それが現実。




海の中のことは飛び込んでみないと、潜ってみないとわからなかった。
そうやってアキはやってきた。
でもウニがいなかった。
水面から顔を上げたときのアキの表情。

 

長いわ!とひとしきり笑ったあと、ふと気づく。
直ったジオラマと片付いた観光協会、時間の流れと人の力を感じる。




■奇跡の車両と鉄道マンたち


 

嬉しさと悲しさの入り混じった一同の表情の中に、鈴木のばっぱの涙が光る。
あの日、あのとき、鈴木のばっぱは笑顔でゆべしを配っていたけど、本当は怖かった。
親子連れも中学生も、みんな怖かった。

このドラマ、よくよく考えたらもはや三鉄の車両そのものがMVP、地元そのものがMVPだべなあ……

 

「国営でも民間でもない、第三セクターだからこそ」
大吉さんのプライドが光る。

無線のときも思ったけど、いつもふざけてる吉田が真面目な顔するとハッとする。

 

レールウォークにて。
大吉さん、嬉しそう。

あの日ブレーキをかけて、恐怖を堪えてトンネルを抜けて、そんな大吉さんが命賭けて守った北鉄。
みんなに愛されてるよ。





■メガネ会計ババアが言うから、言葉のひとつひとつに体温を感じる。




「被災者が要るって言ってんだから残せ!」
この言葉をメガネ会計ババアが言ってるだけで涙が出そう。

 

「ふ……ふ……」
「風評被害か?」
「んだ」
「ふ…ふざけんな!」


響く弥生さんの言葉。
ドラマの中とはいえここまで風刺できる作品も少ない、というよりもうないような気がする。



息子の命を流し、その命が残したものすら流した海を、恨みもせずに今日も笑う。明日も笑う。
メガネ会計ババアの気持ちは核心まではわからない。
でもその言葉にと笑顔には重みを感じる。



「ウニは銭だ!」

こういうことを弥生さんでも花巻さんでもなく、メガネ会計ババア(多分作中で一番被害が大きい?)に言わせるからこのストーリーの重さを改めて実感する。




■笑おう。


 

津波で流された線路を、ユイちゃんが歩むはずだった道を、途切れた時間を、目の当たりにして声を失うアキ。
昨日の首脳会議では物の被災の大きさが問われ、改めて心の被災が問われる。

「みんなみんな多くのものを失い、それでも笑ってるんだ」

みんなの大切なものを、アキの思い出を流した海を見つめながら。
それでもアキもみんなもやっぱりこの海が好きなんだよなあ。
地元、故郷ってそういうことなのかもなあ。



■ミサンガに込められた魂を結ぶ人たち。


 

 


底引き網ミサンガ。
怒涛の展開だった22週、23週からひと段落した24週。
復興に向けて話が進んでいくんだけれど、それでも凝縮されてるのは言葉がしっかり地に足ついているからだと思う。

まだ生臭い底引き網を迂闊に使えない理由、それを『逆転』の発想で捉えるアキと夏ばっぱ。
漁師の魂に、海女の魂、琥珀の魂までしっかり結ばれたんじゃあ、簡単には解けないよストーブさん。

そうかあ、『結ぶ』ってのがキーワードになってユイちゃん再生につながるのか。





■優しくも厳しい夏ばっぱの言葉。


 

 

「海が荒れて大騒ぎしたのは、今度が初めてじゃねえ」

夏ばっぱは昭和の三陸海岸大津波も経験してる。
それでも海と共に生きていくその強さ。自然の多いこの国で人間が生きていくには、多分こういう心持ちが必要なのかもしれない。


「忠兵衛さんと引き合わせてくれた海が、おらたち家族のおまんま食わせてくれた海が、
 1回や2回へそ曲げたからって、よそで暮らすべなんて、おら、ハナっからそんな気持ちで生きてねえど」


夏ばっぱの口調は優しく、視線はまっすぐアキを見据える。
アキがこの海を大好きだと知っている夏ばっぱだからこそ、アキに伝えられるものがある。
アキはその気持ちをユイちゃんに伝えることができる。

そうやってミサンガみたくいろんな気持ちが込められて、結ばれていくのかな。





■鈴鹿さんの秘密


 

アキが去った後の東京。
鈴鹿さんとミズタク。
2011年夏というとある程度気持ちも落ち着いてきた頃だったか。
動き出した鈴鹿さんに一安心、したのもつかの間。

夏ばっぱが海と共に生きることを選んだように。
春子さんが帰郷ではなく東京での生活を選んだように。
アキが故郷で夢を叶えることに決意を固めたように。
鈴鹿さんも、「鈴鹿ひろ美」として自分の生きる道を決めたのかな。



「歌が下手じゃなかったら?」

鈴鹿さんは、春子さんと和解して声を取り戻したけど、その声を出す機会がまだなかったよね。

思えば若鈴鹿を映さなかったのはそういう訳があったのかな。
太巻の表情をあえて映してないのもまた秀逸。




あまり詳しくはないけど、「あまちゃん」に関わらず数あるドラマの好きな演出の一つ。
セリフ喋ってるところにそのセリフの内容に関わってる(と視聴者が推測できる)人物を映すっての。




■種市、北へ行く




気仙沼の震災後の水揚げのニュースが気になる種市。
「気になるのか」
と梅さん。

大将にも故郷はある。種市みたいに故郷を思いながら修行に励んだのかな。
そんな『東京の人』の優しさに思わず涙。


 

そして種市が北三陸に帰ってきた。
まずはユイちゃんと種市の再会。
わかってはいるんだけど、どきっとする。
元彼と元カノ。

そうだよね、ユイちゃんにはハゼヘンドリックスがいるんだもんね!
今更種市と、なんてないよね!

一瞬ドキっとしたのは、多分ハゼヘンドリックスを似顔絵ででしか見ていないからだろうし、種市と付き合っていた頃のユイちゃんは腹黒ユイちゃんだったから。
伏線とも思えなかった伏線が生きてくる。


「ユイは大丈夫だ」
そういえば種市は、3.11にそう言っていたっけ。
もしかしたらユイちゃんの『転んでもただでは立ち上がらない』、そんな強さを感じ取ってたのかもなあ。




■あんべちゃん、北へ行ってアキの背中を押す




あんべちゃんおかえり!

あんべちゃんがいたから、アキは東京で頑張ってこれた。
あの日アキを守ったのはあんべちゃんだった。
アキもGMTの面々も『その日』を乗り越えられたんだ。




そして落武者影武者問題

誰かは誰かの影武者で、その誰かも誰かの影武者で。
そんなコインの裏表みたいに人って繋がってるのかなあと、このドラマを観ていると考える。


 

「みんなの笑顔のために、もう一度海女カフェを」

アキの背中を押したのは、アキの影武者であるあんべちゃんの言葉。
ひとり故郷を離れて、都会でケバブと闘って、やるべこことをやって故郷に帰ってきた。
そんな生き方をしてきたあんべちゃんの言葉が、アキを突き動かす。

そうか、鈴鹿さんの影武者である春子さんの言葉が、鈴鹿さんを変えたんだ。
やっぱり親子だなあ。



「どうにかして元に戻さなくては」

撮影ではあれほどやった『逆回転』。
でも人の心には通用しない、過去には戻らない。
離れてからのユイちゃんがそうだったみたいに。

アキが変えるんじゃない、みんなが変わっていくんだ。
アキが思う「元に戻す」は「再生」に近い意味だろうな。

 

トンネルに向かって叫んだときのように、海に向かって叫ぶアキ。
でももうひとりじゃなくて、「がんばってね」の声がかかるのが暖かい。




■春子さんは北へは行かないけど北にいる。




「春ちゃんはいるんだよ、北三陸に」

大吉さんのこの台詞すごい好き。
アキやユイちゃんの言動の裏に。夏さんの気持ちの中に。心象風景の背景にいる春子さん。





■梅さん、北へ行く(48分で帰る)




大将もずっと種市を支えてきたんだなあって。

アキもお世話になった梅さん。
鈴鹿さんと出会ったのも無頼鮨だったし、叱られたのも褒められたのも無頼鮨だったね。
大将は全部観てたんだなあ。

勉さん、甲斐さん、大将。それぞれの目撃者がいるからストーリーが厚みを増す。




■ミズタクも北へ行く




春子さんは、きちんと中身があることは知ってる。
2人は結構長い付き合いだもんね。

懐かしいなあ、ユイちゃんを連れ出そうとして(語弊ぃ)海女カフェで春子さんが怒鳴ったあのころ。

 

 

そんなミズタクに正宗さんが「電波少年」を語りだす。

いろんな人のいろんな挫折と、それを乗り越えてきたここまでのストーリーを思い出させる言葉。
今、困難を乗り越えようとしているのが北三陸なんだよね。




■アキとユイちゃんは、お互いがお互いのメタファー


 

 

アキちゃんユイちゃんは類義語ではない。
相補関係の対義語、あるいはお互いがお互いを隠喩させているのか。
アキちゃんユイちゃんの上位にあるのが、あまちゃん。


つくづく言葉が面白いドラマ。



勉さんが扉を開けたらガラス越しに後ろのユイちゃんとコラボして、「とびきりの笑顔で待ってます」ってのは、演出さんの遊び心だと思ってる。


とある日の朝。
ウニ小屋の前にて。

 

お互いがお互いを一番知り合っているアキとユイちゃん。
ユイちゃんが待っているからアキは行ける。
なんてことのないワンシーンながら象徴的。



■転んでもただでは立ち上がらないユイちゃん


アキが唯一気がかりだったのがユイちゃん。
あの日、唯一笑顔を思い出せなかったユイちゃん。

 

みんながあの日から考えた。

「できることとやるべきこと」

まだ瓦礫の残る海岸と、課題だらけの首脳会議、ウニのいない海と、腹黒くないユイちゃん。
乖離が悲しい悲しいから復活したときち何倍も嬉しかった。

ユイちゃん、元カレとの再会で女スイッチ入ったか。
少し明るくなってきた兆し。



「私も今の自分嫌いじゃないよ。みんな優しく見守ってくれるから」

春子さんに荒っぽく可愛がられたことをきちんとわかってるユイちゃんえらい。

 



「ザックリしてんなあ!」からのこのへんのユイちゃん。
彼氏との再会で呑気に浮かれるアキに触発されて、元ヤン口調の美少女に腹黒さを垣間見る。

美少女あるあるの女スイッチを地でゆくユイちゃんに笑いつつ安心しつつ。

 

「ひさしぶり」

眉毛どこからの1年半以来の再会。

ユイちゃん、種市との再会に女スイッチを取り戻し、ミズタクとの再会にアイドルスイッチを取り戻し、GHQで総仕上げ。

人が人を癒すっていいね。





■地元に帰ってわかったこと




地元がみんな優しいわけじゃない。
傍目には好意的に見えても、容赦なく飛びかかってくる人もいる。
それを表した池田さんに、アキが今の想いを語る。

 

帰ってきたからこそ気がついた、みんなが笑顔でいられる理由。
みんな、面白いからやってるんだ。
面白いから笑ってる。


「ユイちゃんが頑張ってないように見えるのは違う。戦っているユイちゃんを無理強いしたくない。」

 

彼氏をとられるかも?!と戦慄を覚えた直後のアキが、ユイちゃんの気持ちを慮る。
アキの気持ちを一番知っているのはユイちゃんだし、ユイちゃんの気持ちを一番知っているのはアキだし。
2人は2人でひとつ。

ポスターに写るユイちゃんがまっすぐアキを観ている。
この夏の海開きのポスター。





■クドカンが伝えたいこと


 

「いちいちしんみりすんな」
「今より悪くなることはない」


北三陸の欲の皮の突っ張った大人たちのしたたかな強さ。
その原動力は、他の誰かと比べるんじゃなくて過去の自分たちと比べてるところにあるのかもしれないって。



「だからこそここで本気出さねばどうする。いつまでたっても被災地だぞ。それでいいのか」

 

 

クドカンが描きたかった言葉の一つだろうなあ。
紅白で、宮本さんとクドカン並んで座ってたけど、何話してたのかな。

あんべちゃん、種市が帰ってきて、夏さんの言葉を浴びて。
動き始めた大人たち。
やっぱり「場所じゃなくて人」なんだ。


南部ダイバー、海女さん、観光協会、アイドル。
ひとりじゃできないことも、みんなと一緒ならできる。
予算がおりないなら自分たちで動けばいい。
銭は海にある。
なんだか本放送のときよりじんわり来るのはなんでかな。

ひとりじゃ描けないストーリーも、プロデューサーや演出さんや音楽スタッフ、美術スタッフ、そして役者さんがいることで完成する。
クドカンはそういうことも込めていたのかもしれない。



これは別のシーンなんだけれど、この窮地に追い込まれても笑顔を忘れない勉さんと足立先生。



勉さんはずっと北三陸を磨いてきたから。だから磨き続けてくんだ。
って、「琥珀は順調」がリアルにリアルになったからなあ。



何はともあれ大人たちが、頼もしい。
したたかでも議員バッチがシジミでも何でもいい。
とにかく前向きでひたむきで頼もしい。


こんな田舎、うらやましいなって。


 

「復旧さえすれば線路は日本中につながっているんだから、北三陸に限らず日本中に広めていけるんじゃないかって」

北三陸に戻ることを決意したミズタクの言葉。

線路がつながる。それに夢を乗せて走ることができる。
ユイちゃんが観たちぎれた線路を対義的に現してるし、ミズタクの言葉で「復旧」が「復興」につながることを改めて考える。



■震災後を描くということ




先週の鉄拳の紙芝居でもそうだったけども、義援金、震災婚……震災後にもいろいろあった。
忘れてたわけけど、そういうの続いて疲れてた頃の本放送だからドキリとしたし、再放送でも。

 

吉田は「種市はアキのことが気になってんだろ」という文脈なんだけども。
『時間が経ったけど東京では何が気になってるの?忘れられてない?』と聞かれたみたいでドキッとした。





■皮肉にも




国立競技場で大々的な披露宴をやろうとしてきた太巻だったけど。
その夢も今はもう……だからこう……

ってここまでタイムリーなのはなかなか奇跡的。
NHKはまさかここまで読んでたの?(そういうこと言わない

あまちゃん再放送がちょうど震災復興編に入って「4年半前はー」とか「本放送のときはー」と思い出している時期。
あの津波を彷彿とさせる豪雨災害、太巻の国立競技場ネタ、それからチリ沖地震

……なんかいい意味なのか悪い意味なのか神がかってんなあ……



当たり前だと思っていた幸せを奪っていくのが災害。
水、食べ物、ライフライン、思い出、人とのコミュニケーション……
震災でも豪雨災害でも、災害があるたびに「普通に生きていられること」との幸せを感じる。

2015年9月18日、南米チリ沖地震の津波が日本の太平洋沿岸に到達しました。
(なのでキャプチャ画像に、津波注意報が入っています)

発令された津波注意報、久慈に到達した津波。
18日はちょうどアマゾン小林回だったけれど、これがもし『潮騒のメモリー』回だったら、震災回だったら、夏ばっぱが海への想いを語る回だったら…
とか考えると、また全然違った感想になったのかもしれない。

災害を描くってこういうことなのかもしれない。
いつ起こるかわからない、予防のしようがない災害は、放送中に起こるかもわからない。
ここんとこ現実とのリンク感をやたらと感じてるけど、ある意味究極?な形で現実とドラマがリンクしてる。




クライマックスの盛り上がりが楽しみなのか、それとも寂しいのか、わがんねえよお!!!



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