ヨッサリアンのアホ日記

滋賀近辺に出没する不良おっさんのウロウロ日記であります

夢中で描いているうちに・・・天才、藤田嗣治氏

2006-08-11 01:44:00 | ウロウロ日記

ヨッサリアン、たまにはわが猥雑な日常を抜け出して芸術の香りに触れんと、7月最後の金曜日、藤田嗣治の展覧会を見にいきました。NHKが大宣伝していましたので、最終日が近づいていたせいかウィークデーだったのですが会場の京都近代美術館は大混雑で少々うんざり、それにこの美術館、以前は石造りのなかなか雰囲気のある建物でしたが、いまは単なるキラキラピカピカの現代建築・・・・

藤田画伯は戦前に渡仏、戦時中は日本に帰国、戦後日本を捨てるようにして再びフランスへ、帰化、1968年没、享年82歳

作品は時代順に展示されているのですが、作品のよしあしは別として、圧巻はというか、群を抜いて圧倒的な迫力があるのは、なんといっても、戦時中に描いたいわゆる「戦争画」、展示されていたのは4点、そのなかでも一番圧倒されるのは「アッツ島玉砕」と題された作品

縦2メートル、横2メートル半以上の大きな作品、画面いっぱいにダークブラウンを基調として凄惨極まる戦闘場面、画面を覆う屍の山・・

北太平洋、アリューシャン列島のアッツ島、1943年5月30日、日本軍将兵2500名全員が「ギョクサイ」(米軍戦死者は600名、このとき大本営は米軍6000名に損害を与えたと発表したそうです)

この画、戦争画ですから軍からの依頼を受けて「戦意高揚」を目的に描かれたもの、したがって仁王立ちになって日本刀や銃剣をふりかざしているのはすべて日本兵、画面右下のほうに米兵たちの屍の山・・・

藤田氏は、最初は戦意高揚のつもりで描き始めたのでしょうが、有り余る才能を振るって、これでもかこれでもか無我夢中で描いているうちに戦意高揚というプロパガンダの目的なんか忘れてしまって、鬼気迫る作品になってしまった、というか単なる絵画の域を超えてしまった・・・この意味で、この作品は少なくとも藤田画伯の代表作の一つであることは確か

というのがヨッサリアンのちょっとマジメな感想です

(写真をクリックすると・・・・)