シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

「人道支援」という名のウソ

2010年08月25日 10時07分14秒 | Weblog
(韓国大手新聞、朝鮮日報 10.8.25記事抜粋)
 北朝鮮が韓国の哨戒艦「天安」を沈没させ、46人もの将兵を殺害してからわずか5カ月で、韓国側から突然、「北朝鮮にコメ支援を」という声が飛び出した。いつかこのような事が起こると予想はしていたが、それにしても早すぎる。北朝鮮は韓国で太陽政策が行われていたときも、韓国の艦艇を攻撃して韓国軍将兵6人を殺害した。今回も46人を殺害したが、特に問題は起こらなかったため、今後も必要と判断すればいつでも韓国の将兵や市民を殺害するだろう。 北朝鮮に支援を行う際に使われる言葉は「人道主義」というものだ。しかし、非人道国家に人道支援など行うことはできない。人道的な精神で北朝鮮を支援しても、金正日(キム・ジョンイル)総書記は軍事力の整備や自らの財産を蓄えること以外に関心などない。金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権が支援を行ったときも、北朝鮮で弱い立場にある人たちはその恩恵にあずかることはできなかったし、またそうした下層階級の脱北が増加し始めたのも、まさにその太陽政策が行われたころからだ。 これまで外部から北朝鮮に支援物資が入っても、それらが配給されたのは権力機関や軍ばかりだった。「北朝鮮にはあれほど多くの支援を行ったのだから、一般の民衆にも当然いき渡っているだろう」と普通は考えやすいが、実際は無条件で与えられることなどあり得ないと考えた方が良い。 元北朝鮮政府高官のある脱北者は「以前、海外の団体から栄養剤が支援されると、人民軍の第11号病院にそのすべてが回され、各軍で栄養失調を起こした兵士たちに栄養剤が投与された」と証言している。この支援物資を持って北朝鮮を訪問したある人物は、自分たちが支援した栄養剤が本来の目的通りに使用されているか疑わしく思い、突然該当地域の幼稚園に行きたいと申し出た。すると北朝鮮政府はそれをあっさりと認めたが、その日の夜のうちに11号病院から栄養剤の一部を急きょ幼稚園に送り、その外国人を安心させると、すぐにまた栄養剤を一つ残らず軍病院に送った。咸鏡北道地域にパン工場を建設し、現地の子供たちに分け与えていたある牧師は、「自分がいた3カ月間は子供たちも元気だったが、6カ月後に再び現地を訪れると、同じ子たちが骨と皮だけになっていた」と証言している。
 以前、中国で現地の北朝鮮専門家と対話する機会があった。記者はこの専門家に対し、「中国が北朝鮮を統制できないため、改革・解放政策に踏み切らせることもできず、核開発も阻止できなかったのではないか」と尋ねた。するとこの中国人学者は気分を害し、「1990年代後半に北朝鮮で数百万人が餓死したのは、中国が食糧支援を行わなかったためだ。中国の指導部が支援を行わなかった理由は、北朝鮮を改革・解放へと導くためだった。北朝鮮は自分たちが変わらなければ、生き残ることさえできない岐路に立たされていたからだ。ところが当時、韓国政府が北朝鮮に大規模な支援を行ったため、最終的に北朝鮮は改革・解放を行わずとも、10年にわたり持ちこたえることができた。核開発やミサイル開発も、そのため可能になったのだ」と反論された。
 「今、北朝鮮住民は飢えて困っているため、支援を行わねばならない」という考え方そのものは間違っていない。しかし、援助したコメが軍に回されても目をつむっているようではダメだ。かつてのように、モニタリングがまったく行われない状況で北朝鮮に支援を行っても、結局は権力者たちの力を強化し、住民への弾圧につながり、最終的には市場で必死に商売をしている人たちをも苦しめる悪循環を呼び起こすばかりだ。脱北者の多くは、「支援が増えると、それだけ住民への弾圧も厳しくなる」と話している。北朝鮮への支援について語るのなら、かつて莫大(ばくだい)な支援を行っても、それらが住民に回らなかった理由について、まずは検証しなければならない。同じような失敗を繰り返さないための対策と、支援を行うに当たっての基準を最初に定めた上で、その基準を北朝鮮が受け入れてから支援を行っても、決して遅くはない。

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