世界遺産大峯奥駆道を歩く その2

世界文化遺産大峯奥駆道を歩いた記録です。

水害で林道崩壊し七面山へ行けず釈迦が岳へ廻る 2012年5月20日

2012-05-21 18:40:19 | 大峯奥駆道を歩く

七面山は、大嶺奥駈道の75箇所ある「靡き」と呼ばれる行場の第45番靡き

なので、当然奥駈道からの、「祈りの道」、「参詣道」があるはずなのだが

奥駈の尾根道とは 谷を挟んだ向かい側の山なので 今は踏み後も 

よく分からない。

過去4回も道探しに挑戦したが 未だ果たせてない。

大嶺奥駈道を歩き通した私に残された課題の一つだ。

七面山から奥駈道へのルート探しに5度目のチャレンジに出かけた。

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夜明け前に休憩しに入った「道の駅大塔」では、周囲に仮設ハウスが

立ち並び去年の大水害の凄さを 未だに残していた。道路が復旧している

のか、不安を抱き車を走らせて、県道宇井篠原線まで来ると、「通行止め」。

迂回の林道へ廻れと立て札があり、その通り進む。

しかし篠原集落で、今度は林道が通行止め。

1時間も歩けば林道ゲートに着くだろうと、甘い考えで道に駐車して歩き出す。

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Map   

七面山登山口へは、林道ゲートから約1時間林道を歩いた所にある。

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171

272

375

林道を歩くと、いたるところで斜面崩壊していた。10箇所は軽く超える。

復旧工事は始まっているものの、まだ数年はかかるだろう。

台風水害の物凄さを、まともに感じながら歩く。

しかし90分歩いても、ゲートまでの半分程度しか来ていない。

林道ゲートから奥駈まで往復11時間の歩行予定なので、これでは

日のあるうちに下山するのは無理だ。

あきらめて、別の山へ向かうことにした。

午前6時に歩き始めて、午前9時に車に帰着。

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3 

迂回林道の「吉野辻」峠から七面山は見えたが、奥駈は雲の中だ。

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結局、大塔村に一番近い 釈迦が岳登山口へ行くことにした。

国道168号線を走っていると、「長殿水力発電所」が跡形も無く

土石流に飲まれてしまっているのを見て、驚いた。

凄まじい台風水害の爪痕だ。

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Photo

と言うことで、急遽旭登山口から釈迦が岳へ歩くことにした。

すでに出遅れているので、あまりとおくまでは行けない。

ピンクのラインで深仙灌頂堂(じんせんかんちょうどう)までを往復した。

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488

597

旭登山口に着くと、駐車場に車があふれて 入りきれず

たくさんの車が道路に駐車していた。私も道路に止めて10時に歩き出した。

今日は日曜日だったのだ。人が多いはずだが、熊も出てこないかもしれない。

私は別に足の速いほうではないが、それでもたくさんの人を次々に

追い越して歩く。

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694

尾根道の登山道を歩くと、正面に見える「奥駈道」は雲の中だ。

天気予報では、「朝晩は曇り、日中は晴れ」のはずだが天気が心配だ。

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62

千丈平付近では、たくさんの鹿たちが食事中。こちらを見もせずに

ひたすら食べ続けている。

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703

歩き出して2時間で、奥駈道に出た。

右は「前鬼方面」、左が釈迦が岳だ。

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805

釈迦が岳山頂は雲の中だ。

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908

雲の切れ間に、「宇無の川源頭部」が見え隠れする。

宇無の川やその支流、中の川は、渓流遡行愛好者の人気源流部だ。

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1010

釈迦が岳から、奥駈を南へ 深仙宿の山小屋へ歩く。

右手後方の尾根は 先ほど歩いた 釈迦への登山道だ。

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1312

岩場の横を下りる。

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143

急激な下りを、恐る恐る降りると 「深仙(じんせん)宿」が見えてきた。

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1525

深仙灌頂堂に着いて 高度計を見ると、釈迦が岳山頂からわずか

900メートルの歩行距離で 高度は300メートル以上下っていた。

この道が 険しい道のはずだった。

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169

深仙灌頂堂内部。灌頂(かんちょう)とは、密教儀式の一つで

密教最高位につく人の頭に「聖水」を注ぐ儀式。

空海が唐で会得して 経典、法具とともに持ち帰ったものらしい。

南奥駈の主「新宮山彦ぐるーぷ」さんの旗が左右に掛かっている。

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177

かの歌聖「西行」さんもここに来たらしい。

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183

深仙山小屋にてお昼ご飯。小屋のメンテをしている山彦ぐるーぷさんに

感謝しながらお弁当を頂く。

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1930

食事後、再びあの急坂を登り返す。一気に300メートルの登りは息が切れる。

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2043

奥駈は雨が降り出して、先がよく見えない。道を外さないように慎重に進む。

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215

2240

突然雲の中から、3人の修行僧の方たちが現れた。

お話してみると、若い修行僧の方たちだった。

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全長183キロの奥駈道を、吉野から本宮まで ここ数年にわたり

何回か往復して歩いてきたが、修行僧の方にお会いするのは

これが初めてだ。

今日は いろいろな方と奥駈の話も出来たし、七面山の情報も

頂いた。最後に 修行僧の方とも 出会えて奥駈道を歩いてよかった。

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2432

下山道に入り、「行者の隠し水」付近のテント場では雨の中3グループが

テント設営中だった。みなさん登るときにお話した人たちだから、それぞれ

挨拶してから下山する。下山時はまったく一人なので、「熊よけ」の

ベルを鳴らしながら下山する。

奥駈でも このあたりは特に 熊が多い。

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2545

降りしきる雨の中、駐車場まで帰着すると、あれだけ溢れ返っていた

車もほとんどいなくなっていた。残っているのは泊まる人の車だろう。

大半の人が、釈迦まで往復して早々と帰宅したようだ。

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せっかく釈迦が岳へ登りながら、「世界遺産大嶺奥駈道」 をちょっとだけしか

歩かないのは なんとももったいない気がする。

しかし釈迦が岳から、北の方へは300m前後のギザギザが連続し

南の方へ行くよりも、もっと険しい。よほどの山好きでないと、

歩かないのかもしれない。

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道中たくさん見かけた花

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01

わちがい草

05

種類は不明だが、あちこちに咲く奥駈のスミレ

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