評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
若者に「モーレツ社員」と「ごますり」の方法を教えるべきか?
ムン・ヒョンジン「サムスン式 仕事の流儀 ~5年で一流社員になる」(吉原育子訳、サンマーク出版)という本を読んでみた。
日本でいうと30年前に存在した「モーレツ社員」と「ごますり男」になるための具体的な方法とそれがいかにメリットのあることなのかが、具体的且つ論理的に臆面も無く書かれている。上司との付き合い方、役員のアテンド、顧客への贈り物、飲食のマナーにドレス・コード、書類の作り方、出張の準備など、たぶん、現在45歳以上の日本のビジネスパーソンには、おなじみのことばかりだ。率直にいって、当たり前すぎて参考にはならない。知ってはいるけれども、敢えてそうはしない、というようなことも多い。
期待する若手社員になら、「君はここに書いてあるサムスンの社員像よりも、ましな人物になってね!」といいたいところなのだが、一方で、ちょっと待てとも思う。
今の会社の上司や先輩社員は、この本に書いてあるような内容を、親切に、事細かに、後輩に教えることはないだろう(個人的には、わざわざそれをやらなければならないレベルの組織では働きたくないとも思う)。一つには先輩の側の照れもあるだろうし、もう一つには「ウチの会社は凄いのだ!」という高揚感がほとんどの会社にないからだ。ウチの会社で評価される人間になるには、こうしなさい、と後輩に教える先輩像が想像しにくい(或いは、そんな先輩は人間として面白くない人だろうとも思う)。
たとえば、「ごますり」にしても「モーレツ社員」にしても、その原理と基本を知っていて、そうしないのと、単に嫌いだからそうしないのとでは、行動に差が出来る。自分が与えるイメージや人間関係の作り方も含めてビジネスの能力であるという考え方は知っておいてもいい。これらについて、日本人が書いた本は妙に精神論的になる傾向があるが、この本は、直接的且つ論理的だ。
だから、申し訳ないけれども「つまらない」と思う一方で、この本は妙に捨てにくい。もしかしたら、これから社会に出る学生には貴重な「資料」であるのかも知れない。彼らにとっては、たぶん、一読の価値があるだろう。「モーレツ社員」と「ごますり」について能率良く理解するためなら、これはいい本だ。ただし、彼らには、会社に入ってからこの本を再読するような人にはなって欲しくない。一度読んだら、考え方だけ覚えて、捨てて欲しい。学生に紹介するなら、注釈付きで紹介すべきだろう。
さて、学生に紹介すべきだろうか。止めておくべきか。今の段階ではまだ迷っていて、この本を、捨てるか(自分のためなら躊躇なくそうする)、スキャンして保存するか(後で取り上げる可能性があればそうする)、本のまま保存するか(学生に紹介するなら本があった方がいい)、結論が出ていない。
日本でいうと30年前に存在した「モーレツ社員」と「ごますり男」になるための具体的な方法とそれがいかにメリットのあることなのかが、具体的且つ論理的に臆面も無く書かれている。上司との付き合い方、役員のアテンド、顧客への贈り物、飲食のマナーにドレス・コード、書類の作り方、出張の準備など、たぶん、現在45歳以上の日本のビジネスパーソンには、おなじみのことばかりだ。率直にいって、当たり前すぎて参考にはならない。知ってはいるけれども、敢えてそうはしない、というようなことも多い。
期待する若手社員になら、「君はここに書いてあるサムスンの社員像よりも、ましな人物になってね!」といいたいところなのだが、一方で、ちょっと待てとも思う。
今の会社の上司や先輩社員は、この本に書いてあるような内容を、親切に、事細かに、後輩に教えることはないだろう(個人的には、わざわざそれをやらなければならないレベルの組織では働きたくないとも思う)。一つには先輩の側の照れもあるだろうし、もう一つには「ウチの会社は凄いのだ!」という高揚感がほとんどの会社にないからだ。ウチの会社で評価される人間になるには、こうしなさい、と後輩に教える先輩像が想像しにくい(或いは、そんな先輩は人間として面白くない人だろうとも思う)。
たとえば、「ごますり」にしても「モーレツ社員」にしても、その原理と基本を知っていて、そうしないのと、単に嫌いだからそうしないのとでは、行動に差が出来る。自分が与えるイメージや人間関係の作り方も含めてビジネスの能力であるという考え方は知っておいてもいい。これらについて、日本人が書いた本は妙に精神論的になる傾向があるが、この本は、直接的且つ論理的だ。
だから、申し訳ないけれども「つまらない」と思う一方で、この本は妙に捨てにくい。もしかしたら、これから社会に出る学生には貴重な「資料」であるのかも知れない。彼らにとっては、たぶん、一読の価値があるだろう。「モーレツ社員」と「ごますり」について能率良く理解するためなら、これはいい本だ。ただし、彼らには、会社に入ってからこの本を再読するような人にはなって欲しくない。一度読んだら、考え方だけ覚えて、捨てて欲しい。学生に紹介するなら、注釈付きで紹介すべきだろう。
さて、学生に紹介すべきだろうか。止めておくべきか。今の段階ではまだ迷っていて、この本を、捨てるか(自分のためなら躊躇なくそうする)、スキャンして保存するか(後で取り上げる可能性があればそうする)、本のまま保存するか(学生に紹介するなら本があった方がいい)、結論が出ていない。
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )
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【一度読んだら、考え方だけ覚えて、捨てて欲しい】
安直で解り易いハウツーものの便利さと限界でしょうね。
現場のハウツーを下味にして重ねて精神論で味付けされたビジネス本は、ドラッカーさんなど稀有でしかない。ビジネスを知らない若い頭が精神論の価値を十全に感知するのは、管理職になり人を使い始める相当先の話になって、精神ものは便利さに欠ける。
深みがなくても技能だけを高めて即戦力を要求する今の企業に対応するには、先ずはハウツーものから入るのがお勧めだと思います。それだけでは本人の為にはなりませんが、並行して深みを追い求めるかどうかは、本人の精神性次第だと思います。
まあ、此れからの人生が長い学生なら、アレかコレかの二者択一ではなく、挑戦的に「深いものに主軸を置いて、併せてハウツー」が妥当だと思いますが。「須らく、本物を目指すなら近道はない」ということでしょう。
草々
確かにハウツー本にしてしまうと薄っぺらい気がしますが、そもそも日本人やアジア人のコミュニケーションパターンは所詮目上の人間の虚栄心を満たし、自分の利益を確保することが鍵であり、もともと薄っぺらいことについて書くから薄っぺらくなるのだと思います。だからこういうわかりやすい本をどんどん出すのは、自分達の文化を本当に理解する上で重要です。
日本には以前20年以上住んでいましたが、日本人のコミュニケーションは苦手です。
http://getnews.jp/archives/88393
矢口語録
“日本人やアジア人のコミュニケーションパターンは所詮目上の人間の虚栄心を満たし、自分の利益を確保することが鍵”
みたいな感じで自分のことを見下していることくらいお見通しだよという上司も大勢いるから気をつけろってことなんじゃないですかね。
あんまり訳知り顔で目上の人間を甘く見ない方がいいと思います。
ぼんくらなようで結構見るところは見てますから。
私の個人的な意見では、今の若い人が読む必要はないと思います。使いやすい部下を作るためなら是非とも読ませたいですが、扱いにくいけれどこれまでにない発想が出来るような変なタイプの人をこれからは育てて行かないと行けないと思いますので!