goo

【楽天証券】バランス・ファンドを巡るあれこれ

 楽天証券のホームページの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「第222回 バランス・ファンドを巡るあれこれ 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 バランス・ファンドとは、内外の株式・債券といった複数のアセット・クラス(資産分類)に投資するタイプの運用商品を指します。「株式が国内・海外合わせてこれくらい」といった大まかな性格が決まっていて、アセット・アロケーションをプロの運用者に任せることが出来る点が売りになっている場合が多いでしょう。

 実は、私がファンドマネジャーになって、はじめて担当したファンドは、こうしたバランス・ファンドでした(当時の野村投信の「株式型エース8602」という投資信託でした)。
 個人的に、自分が運用する対象としてであれば、バランス・ファンドが大好きです。アセット・アロケーションを変更出来る自由度は、ファンドマネジャーにとって戦略の幅が拡がって、心地のいいものでした。

 しかし、運用商品としてのバランス・ファンドに対しては、だいたいにおいて、私は否定的な立場です。

 マネー誌などで「バランス・ファンドは初心者向け」だという意見をしばしば見かけます。しかし、バランス・ファンドに投資した場合、運用の中身が実際にどうなっているのか把握できないことが多いし、ある程度分かったとしても、今後はどうなるのかについて曖昧さが残ります。
 バランス・ファンドは、それだけリスクの把握が難しい商品です。「初心者向け」だといっている人は、おそらく、投資の初心者がリスクの把握を放棄することを前提としているのでしょう。もちろん、これは不適切且つ無責任です。

 また、NISA口座でバランス・ファンドを買うのも正しい選択ではありません。
 NISAは運用益が非課税になる仕組みなので、自分の運用全体の中で期待リターンの高い資産の運用をNISA口座に集中させることが「得」になります。NISA口座でバランス・ファンドに投資すると、NISAの非課税のメリットを、その分薄めてしまうことになるからです。

 加えて、バランス・ファンドに投資するよりも、バランス・ファンドと同等のリスクを自分で組み立てる方が「安上がり」です。
 また、バランス・ファンドの売り文句として登場する「プロによるアセット・アロケーションの付加価値」も、資産配分のタイミングで安定的に成功する運用者を見つけることが難しいのは、資産運用業界の常識です。だからこそ、機関投資家の運用の世界では、投資家自身が資産配分を決めて、アセット・クラス毎に運用を任せる相手を選ぶスタイルで運営することが標準になっています。
 
 残念ながら、バランス・ファンドの側に有効な反論はありません。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【夕刊フジ】... 【Fanet Money... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (mimi)
2014-06-09 13:02:40
いつも熟読させて頂いております。
下記のバリュー平均法について山崎さんの記事が読みたいです。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-2521.html
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。