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CBDT

今、「決め方の科学 事例ベース意思決定理論」(イツァーク・ギルボア、デビッド・シュマイドラー著)という本を読んでいる。一年近く前に近所の大学の生協書籍部で買って読まずにいた本だ。

事例ベースの意思決定理論は「CBDT」(Casa Based Decision Theory)と略されるが、簡単に言うと、人間は過去の事例との類似性に基づいて意思決定しているとして、意思決定を説明する理論だ。

これに対して、これまで経済学の世界で主流だったのは期待効用理論・EUT(Expected Utillity Theory)だ。こちらの方は、将来起こりうる事象の全てに効用(自分の評価)と生起確率を割り振って、効用の期待値を最大にするように行動するというものだ。ポートフォリオ理論をはじめとして、「行動ファイナンス」以前の投資理論は基本的にEUTの枠組みの上に出来ている。

CBDTでは、たとえばある問題に対するある行動の選択肢は、「過去の事例の選択肢に基づくその結果の効用(評価)」と「ケースの類似性」の積が、過去に幾つあったかで評価される。たとえば、夜飲んだあるビタミン剤Xが+2に相当する効果を持ったことが4回あれば、同様の夜のシチュエーションでこのビタミン剤を飲むことの評価値は+8になる。ここで、別のビタミン剤Yが一回だけ+4という経験があっても、YではなくXが選択される。人間は自分の経験に基づいてものを決めやすいし、習慣に強力に左右される。また、ビタミン剤X、Yが効く程度とその確率とを抽象的に評価して意思決定するというような決め方はあまりしないだろう。ただし、この人の最低満足ラインを「3」と定義すると(3が0になる)、Xは-4、Yは+1と評価されるから、Yが選択されるといった、満足化原理的な行動についても分析できる。

実例を解釈する場合に、EUTでは起こりうる物事の状態と確率を、CBDTでは経験と類似性に関する定義を適当に拡大して操作すれば、どちらでも良さそうだが、「過去の事例との類似性とそれが何回あったか」という思考方法は、株式市場などの投資家の思考方法やストラテジストの論理構成に非常によく似ているので、CBDTは市場の分析に便利に使えるかも知れない。概念の枠組みとして便利だというのは重要なことだ。

具体的にどう使うかはこれから考えてみることにするが、ちょっと面白そうだと感じている。この種の理論的な枠組みはしばらく頭の中に入れておいて、熟成させないと味が出ない(熟成させるつもりが単に忘れることもあるが)。折に触れて考えてみることにしよう。

仕事への応用、という意味では、本命は株式市場に関するレポートに書くことだが、たとえばナンパ師の声掛けの戦法選択の記述などに使えそうだから、「日経ビジネスアソシエ」の連載(恋愛と経済理論をゆる~く結びつけるエッセイ)のネタ候補の一つに入れておこう。
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コメント
 
 
 
Leon Santana (Ruby Hobbs)
2007-12-21 22:42:56
dishwashing quinonization palaemonidae sailable squamatine sarcoline fourierism epigenesis
Ah 9
http://www.btinternet.com/~digitalart/

龠龠龠
 
 
 
Leon Santana (Ruby Hobbs)
2007-12-21 22:42:57
dishwashing quinonization palaemonidae sailable squamatine sarcoline fourierism epigenesis
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Leon Santana (Ruby Hobbs)
2007-12-21 22:42:58
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http://www.btinternet.com/~digitalart/

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