評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
水瀬ケンイチさんと共著の「ほったらかし投資術」が出ました
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/e3/146bdbc42f32e1c350b5b4cddf183703.jpg)
「ほったらかし投資術」(水瀬ケンイチ、山崎元著。朝日新書)が12月10日に発売された。当ブログでは、自著の宣伝はやったりやらなかったりなのだが、共著者の水瀬ケンイチさんのブログの販売への貢献が非常に大きいので、私としても、何も告知しないのは肩身が狭い。
内容は、個人投資家向けのインデックス投資ガイドブックで、水瀬さんの投資体験記、私の理論編、インデックスファンドの商品ガイド、インデックスファンドのファンドマネジャーへのインタビューなど盛りだくさんなものになっていると思う。
水瀬さんは既に有名な方だが、人気の投資ブログ「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」の管理者で、ご自身がインデックス投資家でもある(本職は堅い会社の会社員で愛妻家だ)。
水瀬さんとは、過去3、4度お会いしたことがあるだけだったが、ブログを読んで、(1)情報提供が正確で且つ対象に対する敬意がにじみ出ていること、(2)文章が上品であること、などに好感を持ち、是非共著でお願いしたいと私から頼んだ。印税の配分は50%ずつ折半でお願いした(水瀬さんの方が文章量が多いが、快諾してくれた)。おかげで、幅広い読者にとって、読みやすい本になったのではないだろうか。
ありがたいことに、12月14日に5千部ほどの増刷が決まった。増刷が決まると、著者としては責任を果たしたような気分になって(出版社に損をさせなかったという程度の意味ですが)、ほっとする。
唯一の心残りは、こうして本が出来上がってみると、帯にある「賢者の運用術」の方がいいタイトルなのではないかという気がすることだ。毎度のことながら、本のタイトルは難しい。
以下に「前書き」を掲げる。当ブログは、アフィリエイトに体操していないので、本書をネットで購入されたい方は、できたら、水瀬さんのブログ、「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」(http://randomwalker.blog19.fc2.com/)経由でご購入下さい。
★「ほったらかし投資術」の前書き
この本の目的は、手間いらずで、同時に合理的なお金の運用方法を「運用が仕事でも趣味でもない普通の人」に広く伝えることだ。
これは、私(山崎)の前著『超簡単お金の運用術』(朝日新書)と同じだが、結論を「強く」伝えることに重きを置いた前著に対して、本書は「やさしく、丁寧に、惜しみなく」伝えることを目指した。
お伝えしたい運用方法はインデックスファンドへの投資であり、これは前著も同じなのだが、読者がより納得・安心してインデックス投資を行うことができるように、インデックス投資をテーマとするブログを運営されている水瀬ケンイチさんを共著者にお迎えした。水瀬さんのブログは運用・証券業界も注目する人気ブログだが、丁寧で正確な情報提供と、ソフトで率直な語り口が特色だ。加えて、水瀬さんご自身がインデックス投資を実践されているので、理論や方法だけでなく、インデックス投資家の「気持ち」をお伝えすることができる。本書では、内外の株式に、インデックスファンドを組み合わせて投資することをお勧めしているが、著者も組み合わせの効果を目指すことにした。
この作戦は成功したと思う。本音を言うと、水瀬さんが共著を引き受けてくれた時点で、私は「しめた!」と思ったのだった。たとえば、インデックス投資の実際をガイドしている第三章(水瀬さん執筆)を見て欲しい。これだけ具体的でかつすっきりと分かるインデックス投資の手引きは、少なくとも書籍としてはこれまでどこにもないはずだ。
良き共著者を得たことで、私は、安心してインデックス投資に関する持論を展開することができた。詳しくは、第二章で述べたが、「市場が効率的だから、インデックス運用がいい」のではない。「市場が効率的であってもなくても、インデックス運用は有利」なのだ。
加えて、インデックス運用の最前線をお伝えするために、現役のインデックスファンド運用者である相川雅弘さんにインタビューでご登場頂いた。また、具体的な商品も実名をあげて評価しつつご紹介しているので、読者は、どのファンドを買ったらいいのか迷わずにすむはずだ。
結果として、新書サイズながら、盛りだくさんな内容の本になった。もちろん、価格は新書価格だ。インデックスファンドは、幅広い分散投資をローコストに(安い手数料で)提供するところに本領があるが、本書も同じ路線を目指している。
二〇一〇年一一月吉日
山崎 元
●
<読者へ>
早速で恐縮ですが、以下、訂正です。増刷の機会に可能な限り訂正する予定です。
(1) 68ページの2行目「1口9万円弱」となっていますが、1306の最低購入代金は10株の9千円前後です。(最小単位は十分小さいのですが、ETFであるため、少額投資の場合売買手数料の比率が高くなるので、やはり、積み立て投資には向かないと思います)
(2)p.93の相関係数の図に関するp.95の説明文で外国債券の説明文の記述の数字が間違っています。正しくは、外国債券と国内株式の相関係数が0.3、外国株式と先進国株式、新興国株式の相関係数が0.4です。
(3)152ページ、東証の乖離率ページのURLは、http://www.tse.or.jp/rules/etf/etfinfo.html に変更されています。大証の乖離率ページのURLは、http://www.ose.or.jp/market/trading_data/etf に変更されています。
(4)72ページ、(誤)「鴨が漁師の」→(正)「鴨が猟師の」、です。
以上の誤りに関するご指摘は、何れも、読者から、ツイッターないしはブログに対する連絡で頂いたものです。ご指摘に感謝します。(12月14日)
内容は、個人投資家向けのインデックス投資ガイドブックで、水瀬さんの投資体験記、私の理論編、インデックスファンドの商品ガイド、インデックスファンドのファンドマネジャーへのインタビューなど盛りだくさんなものになっていると思う。
水瀬さんは既に有名な方だが、人気の投資ブログ「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」の管理者で、ご自身がインデックス投資家でもある(本職は堅い会社の会社員で愛妻家だ)。
水瀬さんとは、過去3、4度お会いしたことがあるだけだったが、ブログを読んで、(1)情報提供が正確で且つ対象に対する敬意がにじみ出ていること、(2)文章が上品であること、などに好感を持ち、是非共著でお願いしたいと私から頼んだ。印税の配分は50%ずつ折半でお願いした(水瀬さんの方が文章量が多いが、快諾してくれた)。おかげで、幅広い読者にとって、読みやすい本になったのではないだろうか。
ありがたいことに、12月14日に5千部ほどの増刷が決まった。増刷が決まると、著者としては責任を果たしたような気分になって(出版社に損をさせなかったという程度の意味ですが)、ほっとする。
唯一の心残りは、こうして本が出来上がってみると、帯にある「賢者の運用術」の方がいいタイトルなのではないかという気がすることだ。毎度のことながら、本のタイトルは難しい。
以下に「前書き」を掲げる。当ブログは、アフィリエイトに体操していないので、本書をネットで購入されたい方は、できたら、水瀬さんのブログ、「梅屋敷商店街のランダムウォーカー」(http://randomwalker.blog19.fc2.com/)経由でご購入下さい。
★「ほったらかし投資術」の前書き
この本の目的は、手間いらずで、同時に合理的なお金の運用方法を「運用が仕事でも趣味でもない普通の人」に広く伝えることだ。
これは、私(山崎)の前著『超簡単お金の運用術』(朝日新書)と同じだが、結論を「強く」伝えることに重きを置いた前著に対して、本書は「やさしく、丁寧に、惜しみなく」伝えることを目指した。
お伝えしたい運用方法はインデックスファンドへの投資であり、これは前著も同じなのだが、読者がより納得・安心してインデックス投資を行うことができるように、インデックス投資をテーマとするブログを運営されている水瀬ケンイチさんを共著者にお迎えした。水瀬さんのブログは運用・証券業界も注目する人気ブログだが、丁寧で正確な情報提供と、ソフトで率直な語り口が特色だ。加えて、水瀬さんご自身がインデックス投資を実践されているので、理論や方法だけでなく、インデックス投資家の「気持ち」をお伝えすることができる。本書では、内外の株式に、インデックスファンドを組み合わせて投資することをお勧めしているが、著者も組み合わせの効果を目指すことにした。
この作戦は成功したと思う。本音を言うと、水瀬さんが共著を引き受けてくれた時点で、私は「しめた!」と思ったのだった。たとえば、インデックス投資の実際をガイドしている第三章(水瀬さん執筆)を見て欲しい。これだけ具体的でかつすっきりと分かるインデックス投資の手引きは、少なくとも書籍としてはこれまでどこにもないはずだ。
良き共著者を得たことで、私は、安心してインデックス投資に関する持論を展開することができた。詳しくは、第二章で述べたが、「市場が効率的だから、インデックス運用がいい」のではない。「市場が効率的であってもなくても、インデックス運用は有利」なのだ。
加えて、インデックス運用の最前線をお伝えするために、現役のインデックスファンド運用者である相川雅弘さんにインタビューでご登場頂いた。また、具体的な商品も実名をあげて評価しつつご紹介しているので、読者は、どのファンドを買ったらいいのか迷わずにすむはずだ。
結果として、新書サイズながら、盛りだくさんな内容の本になった。もちろん、価格は新書価格だ。インデックスファンドは、幅広い分散投資をローコストに(安い手数料で)提供するところに本領があるが、本書も同じ路線を目指している。
二〇一〇年一一月吉日
山崎 元
●
<読者へ>
早速で恐縮ですが、以下、訂正です。増刷の機会に可能な限り訂正する予定です。
(1) 68ページの2行目「1口9万円弱」となっていますが、1306の最低購入代金は10株の9千円前後です。(最小単位は十分小さいのですが、ETFであるため、少額投資の場合売買手数料の比率が高くなるので、やはり、積み立て投資には向かないと思います)
(2)p.93の相関係数の図に関するp.95の説明文で外国債券の説明文の記述の数字が間違っています。正しくは、外国債券と国内株式の相関係数が0.3、外国株式と先進国株式、新興国株式の相関係数が0.4です。
(3)152ページ、東証の乖離率ページのURLは、http://www.tse.or.jp/rules/etf/etfinfo.html に変更されています。大証の乖離率ページのURLは、http://www.ose.or.jp/market/trading_data/etf に変更されています。
(4)72ページ、(誤)「鴨が漁師の」→(正)「鴨が猟師の」、です。
以上の誤りに関するご指摘は、何れも、読者から、ツイッターないしはブログに対する連絡で頂いたものです。ご指摘に感謝します。(12月14日)
コメント ( 19 ) | Trackback ( 0 )
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このブログの読者は多かれ少なかれ山崎さんの著作に興味があると思うので、告知するのが著者にもブログ読者にも利点があるのではないでしょうか。
まあとりあえずAmazonで買ってきます(笑)
1306が積み立て投資に向かないとは、一度に、約1万円、2万円といった金額では、売買手数料が重いということ、それだけの理由です。
既に投資して持っている場合、持っている分には保有コスト(信託報酬)が小さくていい商品です。ご安心を。
これからの人は、ある程度まとまった金額で売買できる場合は1306を、売買金額が細かい場合は公募の投信(STAM、eMAXISなどのTOPIX連動インデックスファンド)を買うといいと思います。
まだまだ未熟者ですが、参考にさせていただいてます。
海外ETF(TOKやVWO)を購入する際の為替リスクや税金の面倒さが課題かと思うのですが、どのようにお考えなのでしょうか。
1680や1681は純資産が少なく乖離率が高いとのことですが、普通の人にとっては、買いやすいと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
あかんあかん、たとえネタとしていじられても、鬼才、で押すなら押す、勝負せんかいな、アカヒ新書の担当者殿。
この一文に期待大です。早速注文させて頂きます。
1308で何ら問題ありません。
本では、出来高の大きさ、信託報酬が1308に近い付いてきたこと、最小投資単位の小ささ、などから1306を「一般向き」と判断して取り上げましたが、1308でも問題ありません。信託報酬が低い点は相変わらず魅力的です。
基本的にはネット上の記事で既に書かれてある
内容が多かったとは思いますが、それでもそれ
らがまとめられていると参考になります。
次回作へのお願いとしては、マーケットから
逃げる(売る)時の考え方の方針を詳しくして
いただけると嬉しいです^^
前作の「お金とつきあう・・・」に少しありまし
たが、抽象的だったと思うので、いくつかの具体例
や考え方を述べていただけると楽しみが増します。
水瀬さんとの次回作を期待しておりますので。
先物は現月があるので、どうも面倒なんです。
1321は配当金もあるし、長期保有にも適しています。
1325、1343,1678も売買しています。
勿論、個別銘柄も保有しております。
そういう普通の人には読みづらく、実践もできない内容でした。
結果としては水瀬氏を代表とする“趣味に走っている連中”に支持されるだけですね。
なかなか読み応えのある良い本だと思います。
水瀬ケンイチさんのお人柄の良さが妙に印象に残りました。
ただ、タイトルの’ほったらかし’というのは2つの意味で誤解を招きそうです。
1)水瀬さんをはじめとしてインデックス投資ブロガーの方々は、リバランスやリレー投資やブログで御忙しそうで、ほったらかしには到底みえない。
2)投資だけではないですが、何かを運用しているときには絶えずチェックしなければならず’ほったらかし’というのは心構えとして疑問がある。
水瀬さんのパートで個別株式投資では、仕事に差し支えるということやQOL向上のことを言われているのでわかりますが、やはり’賢者の運用術’のようなタイトルの方が良かったんじゃないでしょうか。
私としては、p92からのアセットアロケーションのデータ(特に期待リターン)が更新されていてとても参考になりました。
次回は、インデックス投資家列伝のみなさんのアセットアロケーションの違いを解説するような本が出るとありがたいなと思います。
本の中でアセットアロケーションについて
【配分A】国内株60%+先進国株30%+新興国株10%
【配分B】国内株50%+先進国株40%+新興国株10%
【配分C】国内株50%+先進国株50%
の3つの例が掲載されていましたが、なぜこのように国内株の比率が多くなるのでしょうか?
(計算の結果だと言われればそれまでですが・・・)
インデックスが有利だというならば、それこそ「世界の株式市場のインデックス」でいいんではないでしょうか?(時価総額かGDPかの選択肢はありますが)
時価総額なら、ざっくりとですが
国内株10%+先進国株75%+新興国株15%
くらいだと思います。
この国内株の比率の違いについて、一度ご教授願えないでしょうか?
401KでETFの運用をするというのはどうなんでしょうか。買値にこだわるバカ投資家で個人運用のセンスはマイナス100点ぐらいの私でも冷静に運用できるでしょうか。ロハで専門家に尋ねる愚とは思いましたが、そこはご容赦ください。
私は職業柄、山崎様にインタビュー取材をさせて頂いたことが御座いますが、理路整然とした主張にはまったくブレがありません。時に冷たい印象すら受けます(芸能事務所に所属してバラエティ番組に出演されたときは笑ってしまいましたが)。
何しろ楽天証券に籍を置きながら、「ファンド・マネジャーが結局、プロらしさをつねに示すことができるのは、口先だけなのです」と投資信託を痛烈に批判するのですから(「みんなの海外投資」参照)http://www.minkaigai.com/archives/category/ima/shintakuただ者ではありません(発言させる楽天証券もただ者ではない)。
山崎様の批判的な御発言は、自ら投資の現場を渡り歩いた肌感覚に基づいているのでしょう。「手数料と運用能力を測りに掛けるとコストパフォーマンスが合わない」「さわかみファンドだって一種の宗教だ」というのが山崎様のポリシーですが、それはすなわち、日本のサラリーマン・ファンド・マネジャーの運用能力が低いことの証左ではないでしょうか(海外のファンド・マネジャーだって万能の神ではないとおっしゃるでしょうが……)。