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やまぎわ大志郎が政治の現場で日々感じた事を綴ります。

1月10日(水)ホンジュラスに中米を見る

2007年01月10日 | Weblog
 朝一番でエルサルバドルからホンジュラス・テグシガルパに飛んだ。飛行時間は小一時間、たしかにエルサルバドルはハブとなりえる。ホンジュラス訪問の目的は同国が国際捕鯨委員会に捕鯨支持国として加盟してくれるよう働きかけをするためだ。東京での下情報ではもう加盟の意思はほぼ固まっていて、後は大統領に直接会って駄目押しをすればオーケーだとのことだった。ところが世の中そう甘くはない。
 結局、大統領と外務大臣との会談はキャンセルを余儀なくされた。代わりに副大統領や外務次官に対してクジラを含めた生物資源の持続的利用の必要性を訴えたが、まだ時間がかかりそうな話である。またその他農牧大臣、国会議長、副議長とも会談したが、これらの皆さんはまだクジラ問題について充分な知識を持ち合わせていない状況であった。それでも確実な一歩ではあったと思うが、問題の本質は政治的な配慮であることを忘れてはならない。
 なぜ大統領や外務大臣が日本からの使者との会談を拒んだのか、それは紛れもなくアメリカへの配慮である。ここには中南米各国の地理的要因も含めた複雑な思いがある。古くはスペイン人の植民地支配に始まり、「バナナ共和国」という小説になったとおりアメリカ企業を中心とするバナナプラントによって国の基本インフラを作ってもらい、いまなおエルサルバドル同様人口のかなりの割合がアメリカに出稼ぎに出ており、その送金が同国GDPの主要な部分を占めている国である。アメリカという超大国のお膝元にへばりついた弱小国の集まりが中米各国であり、そういった国々は超大国に対して内心面白く思っていない部分があったとしても、超大国の存在なしには生きていけない現実がある。たしかに日本もODAを中心に同国の発展に寄与してきたが所詮結びつきの強さが違う。日本の言っていることは正しいと思うし、普段日本にはそれなりに世話になっているからご恩返しもしたいけどそれはアメリカと利益相反しない範囲でお願いしたいというのが中米各国の本音であることを我々は忘れてはならない。
 そして無理をして国際捕鯨委員会に加盟をしてもらった各国がどのような帰着になっているか、最初は日本の捕鯨再開を支持するとして加盟をしたはずのパナマ、ベリーズはいまや完全に反捕鯨に寝返った。多少ましなコスタリカは加盟はしているものの会議は常に欠席。日本を必死に支持してくれたニカラグアもこの1月に左傾政権に変わり先行きは不透明である。無理をして戦いを挑み返り討ちにあう苦い経験は第二次世界大戦で我々は経験済みなのではないだろうか。それよりもアメリカと粘り強く交渉を重ね、お互いに妥協点を見出す努力をするほうがずっと建設的に思えてならない。とにかく中米はそっとしておくか、あるいは逆に国際捕鯨委員会には入らないように働きかけをするほうが長い目で見たときには日本に利すると思う。持ち帰ってよくよく検討したいと思う。
 ちなみに国際連合における安全保障理事会改革と常任理事国を目指すという日本の目標も同じものの見方が必要だと常々主張している通りである。結局はアメリカ抜きに世界は動かない現実があり、実はアメリカと最もひざを詰めて交渉ができる位置に日本はあるとの誤解が不毛な失敗を繰り返させている。もうぼちぼち目を覚ますべきだ。日本はもっとしたたかにならねばならぬ。

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